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MSX-AUDIO(エムエスエックス・オーディオ)は、1986年に発表されたMSXの拡張音源の規格名の名称、およびFM音源チップY8950の俗称である[1]。チップの表面には『Y8950』と『MSX-AUDIO』と書かれており、『Y8950』は販売元であるヤマハでの品番であり、『MSX-AUDIO』は開発元のアスキーでの品番である。 もともとはMSX2のオプション音源として開発されたもので、MSX-AUDIOというのは規格名である[2]。 しかし標準搭載される音源とはならずに、MSX2のオプション規格としてカートリッジの形態の周辺機器のみが商品化された。日本国外ではフィリップスより NMS-1205 Muziekmodule(ミュージックモジュール)、東芝より HX-MU900 MSX MUSIC SYSTEM という名称で発売された[3]。 国内では1987年に松下電器産業(当時)からFS-CA1のみが発売されており、その仕様がMSX-AUDIOと認識されていることが多いが、規格としてのハードウェアの定義は音源LSIにY8950、DACにYM3014、ADPCM/PCMデータ用RAMに256Kbit、プログラム用ROM128KiByte、プログラム用RAM4KiB、入出力端子としてミュージックキーボード接続端子、音声入力端子としてマイクレベルのミニジャック、出力端子としてRCAジャックを最低限の装備としている。同時に最大構成としてはその概ね倍の構成である、音源・DACを二つ、ADPCM/PCMデータ用にRAMを256K×8bit、ROMを256K×8bitにした構成とされている[4]。ただし、HX-MU900にはADPCM/PCM用のメモリーは搭載されておらず、海外ではその条件を満たしていない商品も存在している。 これらのハードウェアに加え、BASICのコマンドを拡張する拡張BASIC、アプリケーションから使用するために用意された拡張BIOSと、実際の制御を行うMBIOS(Music BIOS)などのソフトウェアによって構成される。 また規格としては実際に販売された製品の2つ分のハードウェアの搭載を想定しており、I/Oポートは二組分用意され、構成の設定として、割り当てるI/Oアドレスの指定以外に1つのカートリッジ内に搭載された2つのY8950を割り当てるという状態が定義されているほか、拡張BASICには機能は見当たらないものの、仕様書によれば拡張BIOS・MBIOSでは各々の制御をサポートする様に記されている[5]。 前述のとおり国内ではFS-CA1のみが発売されているが、YAMAHAのYIS805のカタログには[信頼性要検証]一時期「MSX-AUDIO(オプション)搭載可能」と書かれていたことがある。 結果として34,800円という値段の高さと対応ソフトウェアの少なさからほとんど普及することはなく、その後1988年に7,800円で発売されたMSX-MUSIC(YM2413)規格のFM Pana Amusement Cartridgeが普及、事実上の標準音源となった[1][2]。実現には至らなかったが、MSX3の段階でMSX-AUDIOをMSXの標準音源にしようと思っていたとMSXの提唱者である西和彦は語っている[6]。 また音源の俗称としてハードウェアとしての規格に準拠したY8950をMSX-AUDIOと呼称することもある[7]。 なおMSXturboRの高速モードではウェイトが不足し、内蔵ソフトウェアでは正常に演奏されない。[要出典][8] MSX2をキャプテンシステム、文字多重放送等のビデオテックス端末とするためのチップセットのひとつとして、アスキーより販売されていた。製造はヤマハで、ヤマハ社内のコード名はYM3801。 そのリリースの経緯から、MSXロゴが印刷されているが、実際にはMSX以外でも利用されている。SNE(シスネット)のサウンドオーケストラV/サウンドオーケストラVS/サウンドオーケストラMATEや、UNICA(ユニカサウンド)のUB-1、SCARABのAUDIO-98XXといったPC-9801用サウンドボード、MZ-2861用のADPCMボードMZ-1E35、アーケード基板などにも搭載された実績がある。 内部的に、FM音源部、ADPCM音源部、IO制御部と分かれており、FM音源部はYM3526と完全に同一である。
MSX-AUDIO
YAMAHA Y8950Y8950
ADPCM音源部は、1.8kHz - 16kHzでサンプリングでき、1.8kHz - 50kHzで再生可能で、音階が付けられる。