Xabre(セイバー)は、SiS社が開発したビデオチップ(グラフィックアクセラレータ、GPU)、およびそれらの製品シリーズ名である。
Xabreという名称は、eXtraordinary, Advanced, Brilliant, Rapture, Enrichmentの5語より1字ずつとり、剣を意味する Saber の音に当てはめたものである。性能・価格的には、ローエンドからメインストリームクラスの製品である。
目次
1 概要
2 歴史
3 デバイスドライバ
4 採用製品
5 派生品
6 製品仕様
7 評価とその後
8 関連項目
9 外部リンク
概要[ソースを編集] ECS AG400T8-D64
(Xabre 400採用)
Xabreは、SiSによるビデオチップ「SiS 315」の後継製品で、コードネーム SiS 330 シリーズとして開発された。256ビットの3Dエンジンと128ビットの2Dエンジンで構成されるグラフィックスコアを持つ。
4P/2Tで構成されるピクセルピクセルシェーダー Pixelizer およびバーテックスシェーダー Vertexilzer を搭載することでDirectX 8.1に対応している。Xabre発表当時、Vertexilzerに関しては「コストを抑えるためにVertex Shaderは搭載していない」と説明されており、Xabre 600のデビューと同時期にドライバが完成するまでは、CPUによるエミュレーションによって代替としていた。
また、AGP 8Xバスを他社に先駆けて採用。SiSはAGP 8XならびにDirectX 8へ対応したXabreのデザインを 8X8 と呼んだ。Xabreの発表時はまだAGP 8Xの規格自体が正式に策定されておらずプロポーザル規格に準じた対応であったが、AGP 8xをサポートするSiS 648チップセットと合わせ、同シリーズのアドバンテージとして積極的にアピールされた。この他、2x/4xのFSAAに対応する Jitter-Free Anti-Aliasing およびディスプレイ出力の色調補正を行う Coloredeemer などの機能を搭載する。
さらにコンパニオンチップのSiS 301を併用すると、デュアルディスプレイ機能の Double Scene Technology を利用可能となる。これによりセカンダリの出力はVGAだけでなく、DVIまたはS-Video/NTSC/PALの出力も可能となる。実際にXabre 400/600を搭載したビデオカードの多くがSiS 301を搭載している。
動画再生支援機能としてはMCに対応し最大20Mビット/秒のビットレートでMPEG-1/2のハードウェアデコードが可能な他、スケーリングおよびインターレース補完、ダウンスケーリングにもハードウェアで対応するなど意欲的な実装となっている。
歴史[ソースを編集]
2002年4月: Xabre発表。ラインナップはXabre 400、同200、同80。
2002年11月: Xabre 600発表。
2003年9月: XabreコアのMirage2を搭載するSiS 760発表。
デバイスドライバ[ソースを編集]
Xabreのデバイスドライバ Xminator は、SiSより無償で提供されている。
採用製品[ソースを編集]
Xabreを採用したビデオカードは大手ボードベンダー各社よりリリースされた。特に、Triplex社より販売されたビデオカードは銀色の基板や、三角柱の独特なパッケージングデザインが話題になった。
2003年にはECS社からXabre200をオンボード実装したマザーボード L4VXAG が発売された。
派生品[ソースを編集] Mirage2を搭載するSiS 760GX
SiSは2002年、Intelプラットフォーム向けの統合チップセット"SiS 660"および、AMDプラットフォーム向けの統合チップセット SiS 760 を発表した。これらに統合される Mirage2 (旧称Ultra256)グラフィックスコアはXabre80がベースとなっている。
SiS 760はメインメモリの一部をVRAMとして使用するUMA以外にビデオメモリ専用に外部メモリを接続する Local Frame Buffer (LFB) をサポートする。LFBはメモリバス幅64ビットで接続され、UMAとの併用も可能である。LFBとUMAとの併用時にはメモリバス幅は128ビットとなる。
後にLFBサポートを省略した"SiS 760GX"も発表された。
製品仕様[ソースを編集]
製品名製造プロセスコアクロックメモリクロックメモリバス幅最大容量インターフェース
Xabre 600130 nm300 MHz600 (300×2) MHz128ビット128MBAGP 8x
Xabre 400150 nm250 MHz500 (250×2) MHz128ビット128MBAGP 8x
Xabre 200150 nm200 MHz400 (200×2) MHz128ビット128MBAGP 8x
Xabre 80150 nm200 MHz333 (166×2) MHz
or 166MHz (SDR)64ビット64MBAGP 4x
Mirage 2N/A133 MHzN/A128ビット
または64ビット128MBAGP 8x相当
XabreシリーズはGPU市場ではマイナープレイヤーに属するSiSの製品でありながら、多くのビデオカードOEMメーカーに採用された。また業界最大手のNVIDIA社が供給する競合製品であるGeForce4 MXシリーズへの値下げ圧力となるなど一定の成功を収め、SiSは前モデルであるSiS 315に続き、GPUベンダーとして一定の存在感を示した。
これはXabreシリーズが安価であることに加え、普及価格帯のビデオカード製品としては初めてピクセルシェーダ1.3を搭載し、DirectX 8.1に対応した点が大きい。(当時の競合となるGeForce4 MX、RADEON 7x00ともにDirectX 7世代であった)
その後、Xabreシリーズの後継製品として、Xabre II がたびたびアナウンスされた。これは8P/8Tで構成されピクセルシェーダ2.0およびバーテックスシェーダ2.0を搭載することでDierctX 9.0に完全対応し、0.13 μmプロセスルールで製造されるGPUであるとされていた。しかしXabre IIが正式発表されないまま、SiSはグラフィック部門を分社化する形でXGI社を設立。Xabreシリーズに関する諸権利はSiSに残されたが、以後SiSではディスクリート向けGPUの開発は行われず、Xabreシリーズも終了した。
関連項目[ソースを編集]
SiS
SiS 315
プログラマブルシェーダ
XGI Technology Inc.
外部リンク[ソースを編集]
⇒SiS(英語)
更新日時:2017年11月5日(日)16:15
取得日時:2019/08/08 13:15