X-MEN:アポカリプス
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X-MEN:ダーク・フェニックス』(2019年)
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『X-MEN:アポカリプス』(原題: X-Men: Apocalypse)は、マーベル・コミックのスーパーヒーローチーム「X-メン」をベースとする、2016年のアメリカ合衆国スーパーヒーロー映画。「X-MEN」映画フランチャイズの9作目で『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年)の続編。ブライアン・シンガーが監督、サイモン・キンバーグが脚本を務め、ジェームズ・マカヴォイマイケル・ファスベンダージェニファー・ローレンスオスカー・アイザックらが出演した。

本作は、1作目である『X-メン』へと繋がる内容となっており、シリーズ全体の歴史が一つとなると製作者は語っている。実際に、「X-MEN」が組織として正式に始動するまでが描かれるが、前作『フューチャー&パスト』にて歴史が改変されたため、直接的には1作目とは繋がらない、新たな時間軸の物語となっている。
ストーリー

紀元前3600年。世界最初にして最強のミュータントであるエン・サバ・ヌール(通称“アポカリプス”)は、その強大な能力によって人々から崇拝の対象となり、古代エジプトを支配していた。彼は肉体が老いると他のミュータントの体に自分の魂を移すことで永い時を生き続けており、新たにヒーリング・ファクター能力を持つミュータントの体に魂を移そうとする。しかし、兵士たちの反乱により儀式は妨害され、彼は崩れ行くピラミッドの地下深くへと落下していくが、4人の騎士が命を賭して守護したことにより傷一つ負わず、瓦礫の中で長き眠りに着く。

1983年。前作でミュータントの存在が公になってから10年が経ち、世の中はミュータントを好意的に受け入れようとしていた。図らずもその立役者となった“ミスティーク”ことレイヴン・ダークホルムは、東独にある地下闘技場を訪れ、大きな翼を持つ“エンジェル”と、瞬間移動能力を持つ“ナイトクローラー”ことカート・ワグナーが、金網に覆われたリングで戦わされている様子を目撃する。レイヴンは発電機に過負荷をかけて混乱を起こすとカートを救出し、エンジェルもその場から脱走する。

その頃エジプトのカイロでは、ミュータントを神の再来としてあがめるカルト集団の1つが偶然にもエン・サバ・ヌールを目覚めさせてしまい、その様子をCIA工作員のモイラ・マクタガートも目撃していた。エン・サバ・ヌールが瓦礫から脱出するために放った強大な力は世界中に影響を与えており、ジーン・グレイは自身のテレパシー能力によって世界が滅びる未来を悪夢として見てしまう。彼女を含む多くのミュータントを受け入れ、保護・教育する「恵まれし子らの学園」の“プロフェッサーX”ことチャールズ・エグゼビアは、自身の世界最高と称されるテレパシー能力でセレブロを使い、かつてキューバ危機の際に共闘したモイラが事情を知っていることを知る。翌日、チャールズは仲間のアレックス・サマーズを伴ってCIA本部のモイラを訪ね、エン・サバ・ヌールについての情報を手に入れる。

一方で、地上へと出てカイロの下町を観察していたエン・サバ・ヌールは、窃盗を行うために天候を操る能力を持った少女オロロ・マンローを助け、彼女の家へと招かれていた。そこで自身の能力を使い、テレビを通して世界中の言語と情報を学習すると、世界の発展が誤りであると判断し、“浄化”することを決める。彼はオロロの能力を進化させ、自らの騎士とする。

レイヴンは闇商人であるキャリバンにカートの偽造パスポートを作らせ彼と別れるつもりだったが、かつての仲間であり潜伏生活を送っていた“マグニートー”ことエリック・レーンシャーが妻と娘を喪ったと知り、カートの能力を利用して「恵まれし子らの学園」へと急行する。2人が去った後、キャリバンの店にエン・サバ・ヌールがストームと共に現れ、強力な能力を持つミュータントの情報を要求してきた。キャリバンは口を閉ざすが、用心棒のサイロックはエン・サバ・ヌールによる能力強化を受けると、エンジェルの居場所へと案内する。エン・サバ・ヌールはエンジェルの傷付いた翼を生体金属へと生まれ変わらせ、サイロックに続いて3人目の騎士を手に入れる。密告が原因となって妻と娘を喪ったエリックは、自身の正体を密告した同僚がいる工場の従業員を皆殺しにしようとするが、そこにエン・サバ・ヌールたちが現れた。エン・サバ・ヌールは全従業員を一瞬で床に埋めると、最後の騎士としてエリックを迎え入れ、彼の能力も強化する。

レイヴンが訪れた「恵まれし子らの学園」では、アレックスの弟で、両目から破壊光線オプティック・ブラストを発射する能力に目覚めたばかりのスコット・サマーズが新たに編入しており、ジーンやカートを連れてショッピングモールへと無断で外出してしまう。CIA本部からモイラを連れて帰宅したチャールズは、再会したレイヴンからエリックの不幸を知らされると、セレブロを使ってエリックと交信し彼を保護しようとする。しかし、エリックは既にエン・サバ・ヌールへの協力を決めていて取り付く島がない。その場にいるエン・サバ・ヌールに気付いたチャールズは彼について探ろうとするも、逆にエン・サバ・ヌールによってセレブロが乗っ取られ、操られた兵士の手で世界中の核ミサイルが真上に向けて発射されていく。

セレブロはアレックスのオプティック・ブラストで破壊され、さらなる悪用は防がれるが、意識を失ったチャールズはエン・サバ・ヌールに連れ去られてしまった。さらに、それを防ごうとアレックスが放ったオプティック・ブラストが誤ってブラックバードのプロトタイプのエンジンに当たり、大爆発が起こってしまう。しかし幸いにも、10年前に助けたエリックが父と知り悩んでいたピーター・マキシモフが「恵まれし子らの学園」に到着し、爆発が起きる様子を目撃していた。ピーターは自身の超高速移動能力を使って、爆発を目の当たりにするモイラとレイヴンにハンク・マッコイ、学園内の教師や生徒たち、果てはペットの犬と金魚まで救出するが、爆発に最も近かったアレックスだけは既に犠牲となっていた。

直後に帰ってきたスコットが兄の死を知り慟哭していると、ストライカーが率いる部隊が突如として現れ、特殊兵器でモイラとミュータントたちを一斉に気絶させる。ストライカーはモイラ、ハンク、ピーター、レイヴンの4人を拉致するも、離れた場所にいたジーン、スコット、カートの3人は影響を受けていなかった。スコットたちはカートの能力でヘリに忍び込み4人を救出しようとするが、妨害装置の影響で能力を使用できず、そのままアルカリ湖の研究施設へ行き、そちらでの救出を試みることになる。

連れ去られたチャールズはエン・サバ・ヌールに従わされ、彼によって増幅されたテレパシー能力で世界中の人間とミュータントにエン・サバ・ヌールの言葉を届けさせられる。エン・サバ・ヌールはメッセージの最後、ミュータントに人々を襲わせようとするが、チャールズは逆に人々を守護するように伝えた上に、密かに自身がカイロにいることをジーンに伝えることに成功していた。

ジーンがメッセージの受け取りに集中したことでスコットたちの潜入が露見するものの、辿り着いた先で封印されていたウェポンXを解放したことで、研究施設の兵士は残らず彼に殺されてしまう。スコットたちは移動中にウェポンXに遭遇するが、ジーンが失われた記憶の一部を蘇らせることに成功すると、彼は雪の積もる森の中へ逃げていった。拉致された4人は無事に救出され、7人は研究施設の大型戦闘機に乗り込んでカイロへと向かう。

エン・サバ・ヌールはカイロの街を破壊すると同時に巨大なピラミッドを建造し、強化によって以前よりも強大な能力を得たエリックは世界中から金属を集めていた。チャールズはピラミッド内部に運び込まれ、エン・サバ・ヌールの新たな肉体として、その精神を移すための儀式が行われ始める。

カイロに到着した7人の内、レイヴンとピーターがエリックの説得を試み、モイラを除いた残り4人でチャールズを救出することになるが、ピラミッド外部ではオロロとサイロックが立ち塞がり、内部に瞬間移動したカートもエンジェルの急襲を受けていた。着々と進む儀式の影響でチャールズの頭髪は失われ、精神にも危機が訪れるが、間一髪のところでカートが到着して難を逃れる。カートたち4人の帰還を確認したモイラは戦闘機を発進させるが、エンジェルとサイロックによる襲撃から逃れるため、5人はカートの能力で脱出し、エンジェルは墜落する戦闘機と共に爆死する。

エリックの説得を続けていたレイヴンだったが、戦闘機の墜落を確認すると、ピーターと共に仲間のもとへと向かう。去っていくレイヴンたちを見送ったエリックは、かつてチャールズから掛けられた「まだ君の心はとても豊かだ。君の心には苦しみや怒りだけじゃなく善意も感じる」「君が必要だ」という言葉を思い出していた。

儀式の失敗により精神が移らぬまま目覚めたエン・サバ・ヌールは、チャールズを求めてピラミッド外部に現れる。そこをピーターが超高速移動で殴打していくが、動きを知覚したエン・サバ・ヌールによって動きを封じられてしまう。ピーターに止めを刺すべくサイロックが現れるが、それは変身したレイヴンであり、日本刀でエン・サバ・ヌールの首を切りつける。しかし、首の傷はヒーリング・ファクターによって瞬時に再生し、レイヴンは片手で首を絞められて変身が解けてしまう。レイヴンを救うため、チャールズは精神世界でエン・サバ・ヌールに立ち向かっていくが、逆に強大な精神力に手も足も出なくなってしまった。

現実世界でチャールズに近づくエン・サバ・ヌールの足を止めたのは、エリックが放った鉄骨だった。「私を裏切るのか?」というエン・サバ・ヌールの問いに、「俺は“俺たち(同胞であるミュータント)”を裏切っていた」[注釈 1]と返したエリックは、絶え間なく攻撃を仕掛けていく。ハンクやスコットも攻撃に参加するが、エン・サバ・ヌールの強大な能力の前には通じず、次第に圧倒されていく。

そんな中でも決して諦めないチャールズは、ジーンに自身の力を解放するよう訴え、ジーンは自身に眠る強大な力(フェニックスフォース)を解放する。優勢だったエン・サバ・ヌールは劣勢に追い込まれ、一転して逃走を図るが、憧れるレイヴンの姿を見て心を改めたオロロも攻撃に加わったことでそれも叶わず、自身の死が運命であることを悟って消滅した。

戦いが終わり、無事に現実へと戻ってきたチャールズは、自ら消去したモイラの記憶を元に戻す。事態を静観していたサイロックは密かに姿を消していた。

時が経ち、「恵まれし子らの学園」に戻ってきた一行は、ジーンがエリックと共に建物を再建する様子を眺めている。ピーターはエリックに息子であることを言い出せないまま学園に残ることを決め、オロロもそれに同調した。エリックはチャールズの誘いを断って再び道を違えるが、昔のように友として笑顔で去っていく。レイヴンは学園に残り、スコット、ジーン、オロロ、ピーター、カートの5人を新たなX-MENとして任命する。5人がトレーニングルームで訓練を開始し、敵ターゲットである複数のセンチネル[注釈 2]と対峙するところで、物語は幕を閉じる。

ポスト・クレジット・シーンでは、スーツ姿の男たちが清掃が行われているアルカリ湖の研究施設へとやって来て、ウェポンXの研究データを回収していく。X線写真や血液サンプルを納めた彼らのケースには「エセックス社(ESSEX CORP.)」のロゴがあった。
登場人物・キャスト

※括弧内は日本語吹替[4]
チャールズ・エグゼビア / プロフェッサーX
演 - ジェームズ・マカヴォイ内田夕夜)地上最強のテレパスであるミュータントにして、「恵まれし子らの学園」とX-MENの創設者。「恵まれし子らの学園」で多くのミュータントを保護しつつ、普通の人間と友好関係を築くために尽力している。強力なテレパシー能力を求めていたエン・サバ・ヌールによって、精神を移す新たな体として狙われることになる。
エリック・レーンシャー / マグニートー
演 - マイケル・ファスベンダー三木眞一郎)磁力を操るミュータントにして、チャールズの親友。前作での所業によって追われる身となっており、ヘンリク・グルスキーという偽名を使ってポーランドで潜伏生活を送っていた。その中で妻と出会い、娘をもうけている[注釈 3]。エン・サバ・ヌールが遠因となって死に掛けた同僚を助けたことで正体が露見し、家族を守るために警察の拘束を受け入れるが、鳥類に襲われて混乱した警察官が持っていた弓矢を誤射したことで、妻と娘を喪ってしまう。


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