X-ファイル
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『X-ファイル』(エックスファイル、原題:The X-Files)は、1993年から2002年にかけてアメリカで製作されたSFテレビドラマ海外ドラマ)である。超常現象をテーマにしたストーリー展開や映画並みのロケが話題となり、世界中でヒットした。製作総指揮はクリス・カーター2016年1月からアメリカでシーズン10にあたるミニシリーズが放送されており、2018年にはシーズン11が放送された。

2024年7月30日、シーズン11のその後を描いた小説『The X-Files: Perihelion』が出版される予定である[1]
概要

本シリーズは、UFOUMAオカルトなど科学では説明の付かない超常現象のまつわる事件に、2人のアメリカ連邦捜査局(FBI)捜査官が取り組むという内容ある。超常現象に対し肯定的な男性捜査官モルダーと、懐疑的な女性捜査官スカリーの対照的なコンビが、対立しながらも信頼し合っていく描写も魅力である。モルダー捜査官は、幼い頃に妹を宇宙人に誘拐されており、「妹探し」がシリーズ全体を通してのテーマとなっているが、基本的には、毎回ひとつの事件に取り組むという一話完結の物語である。事件が万事解決するとは限らず、謎を残したまま終わることも多い。また、各登場人物に纏わる過去のエピソードや揺れる心理描写が描かれる。

その一方で非定期的に登場し、物語の根幹を成す「ミソロジー(神話)」が劇中で展開される。これは主にエイリアンに纏わるもので『米国政府が隠蔽を続けている異星人との接触・研究施設・解剖などの実験・秘密協定・誘拐事件と被害者の変化・人類の進化あるいは滅亡』という深遠かつ一貫性を持つシナリオが展開される。ここでは、秘密組織の内部告発者の登場と死。モルダーの妹サマンサ失踪に関する真相と謎。モルダーと宿敵キャンサーマンとの関係。誘拐され人体実験の被害者となったスカリー。スカリー、スキナーの生命の危機。モルダーの拉致と帰還といった主要登場人物に関する伏線の開示、新人物の登場、何者かの介入、生じる新たな伏線といった極めて重要なエピソードが語られ、物語の重要な転換点となると同時に謎が新たな謎を呼ぶ展開となる。また一話完結型のエピソードで醸成された各登場人物たちの関係性がミソロジーにおいて登場人物たちが危機を切り抜ける鍵となる。

シーズン初期は殺人事件に絡むシリアスで重苦しい雰囲気のエピソードがほとんどで、予算の不足により描写も曖昧であったが、人気を獲得しシーズンが進むにつれ、パロディ・コメディ・ファンタジー的なエピソードも披露されるようになり、予算をつぎ込んだ大掛かりなものも多くなる。その一方で全編モノクローム処理(第5シーズン「プロメテウス」)のエピソードなど視聴者やファンを飽きさせない様々な試みを行っている。またメイン脚本はシリーズ監督のクリス・カーター自身とハワード・ゴードングレン・モーガンジェームズ・ウォンらだが様々な脚本家・作家が参加。スティーブン・キング(第5シーズン「ドール」)、主演のデイヴィッド・ドゥカヴニー(第6シーズン「アンナチュラル」、第7シーズン「ハリウッドA.D」ほか原案多数)[注釈 1]ジリアン・アンダーソン(第7シーズン「宿縁」)[注釈 2]も脚本参加している。また同じくクリス・カーター製作の『ミレニアム』とのクロスオーバー作としてミレニアムの主人公フランク・ブラック(ランス・ヘンリクセン)が出演するエピソード(第7シーズン「ミレニアム」)もある。

シリーズ終盤は、モルダーがUFOに誘拐され、代わりにドゲット捜査官が登場。かつてのモルダーの立場(超常現象肯定派)をスカリーが、スカリーの立場(超常現象懐疑派)をドゲットが引き継いでいる。これらの展開により、内容の許容範囲が広がった上、ストーリーにめりはりがついたことで長期シリーズを作り上げた。

オープニングと本編の間に通常「THE TRUTH IS OUT THERE(真実はそこにある)」とのキャプションが入るが、いくつかのエピソードでは内容にまつわる重大なキーワードに変わることもあり、ファンの期待感を煽っている。

作中の時間経過は現実にあわせてあり、一話目では90年代前半だったが、ミニシリーズとして復活したシーズン10は2016年の設定になっており、99年から2000年に西暦が変わる話も描かれたことがある。

日本では1994年よりレンタルビデオがリリースされブームとなり、1995年よりテレビ朝日系列各局で第3シーズンまで放送された。日本ではアメリカほどの大ヒットとまではいかなかったが根強い人気を獲得。レギュラー放送終了後、第4シーズン以降のミソロジー系(いわゆる政府の陰謀や異星人・UFO絡み)エピソードのうち幾つかが「Xファイル -特別編-」として『日曜洋画劇場』の枠で放送された。また一部ローカル局では深夜枠などで、同シーズン以降をレギュラー放送していたところもある。

2008年までに202話と劇場版2作が制作され、2016年に新作テレビシリーズとしては13年ぶりとなるシーズン10が放送された。
あらすじ

FBIの捜査官フォックス・モルダーは組織内でもとびきりの「変人」として知られており、自他共に認めるオカルト信者かつ陰謀論者でありながら、数々の難事件を解決してきたキャリアを持つ。彼は事実上一人でX-ファイル課という閑職部門を担当していた。

そんなモルダーのもとにダナ・スカリーという組織内でもとびきりの才媛が送り込まれる。常識的かつ良識的な彼女は優秀な医師でもあり、「自分の目で見た事象しか信じない」、「噂やヨタ話の類いは一顧だにしない」という現実主義者。スカリーはモルダーが幼少期に起きた「妹の失踪事件」という過去のトラウマを引き摺り続ける幼稚な男として軽蔑と懐疑の視線を向ける。

こうしてちぐはぐなコンビを組むことになった二人は事件捜査の過程で「人智を超えた」としか表現しがたい事象に数多く遭遇する。スカリーは自身のアイデンティティーを揺さぶられ、また随所で発揮するモルダーのプロファイリング能力と優れた洞察力に認識を改める。共に事件に遭遇することで二人は信頼関係を醸成していく。

そんなとき、二人の前に内部告発者(ディープ・スロート)が現れる。彼は米国政府が極秘裏に異星人を捕獲し、殺害した事実を伝えるが、ほどなくしてモルダーを庇い死亡する。彼の死に関わる謎の男キャンサーマンはやがて二人の宿敵として立ち塞がる。それは後に続く様々な出来事のほんの序章に過ぎなかった。
スタッフ

製作総指揮:
クリス・カーター

監督:ロブ・ボウマン、クリス・カーター他

脚本:クリス・カーター他

音楽:マーク・スノウ

キャスト(準レギュラー含む)
主人公
フォックス・ウィリアム・モルダー(特別捜査官):
デイヴィッド・ドゥカヴニー(全シーズン)
1961年10月13日生まれ 身長183cm 住所はバージニア州アレクサンドリア Hegal Place 2630番地 42号室オックスフォード大学心理学を専攻し優秀な成績で卒業。突出したプロファイリングの才能を持つ優秀なFBI捜査官。X-ファイルの事件捜査については一見して事故や超常現象と無関係に見える事件についても、些細な矛盾点を鋭く突いて捜査を開始する。オカルトに関する知識と造詣が深く、UFOUMAに限らず、民間信仰魔術都市伝説といった多岐に渡る広範な知識を持ち、『人智を超えた力の存在』、『国家的陰謀』という切り口から真相に迫る。バッジナンバーはJTT047101111(第2シーズン「幼虫」)。1973年11月27日、妹のサマンサがエイリアンに誘拐される(第1シーズン「序章」、第2シーズン「リトル・グリーン・マン」ほか)。この一件はモルダーが凶悪犯罪課からX-FILE課に転属したきっかけにもなった(ちなみに、サマンサとは劇中において何度も再会しているように見えるが、それはあくまでも人工的に造られた彼女の単なるクローンである。本当の意味での再会は、第7シーズンで果たされることになる(第7シーズン、「存在と時間」Part.1、2))。優秀な捜査官でありながら、超常現象事件を追い続けているため周囲の人間から「変人(スプーキー)」と呼ばれている(第1シーズン「序章」、「スクィーズ」など)。ただし一時期、CSマンの言葉やシンジケートの策略によって、超常現象事件の正体は当局が責任逃れのために捏造した偽物だと思い込んでいたことがある[注釈 3]。第7シーズン最終回にUFOに拉致されて(第7シーズン「レクイエム」)以降、次シーズンはしばらく不在となり、生還したあともスカリー出産後にはさらに深まる危険から身を守るために姿を隠す(第8シーズン「誕生 Part.2」)。第9シーズンでスクリーンに登場するのは最終回のみである(第9シーズン「真実 Part.1」、「真実 Part.2」)。ヒロインであるスカリーとの個人的関係性(恋愛関係)はシーズン中盤以降は仕事面では阿吽の呼吸で信頼しあう得難いパートナー。私生活面では思春期の少年(モルダー)とうるさ型の母親(スカリー)といった具合でなかなか進展しない。普段のファッションは、ジーパンにグレー(第2シーズン「リトル・グリーン・マン」、第4シーズン「ツングースカ Part.1」ほか)、白(第6シーズン「ミラグロ」、第9シーズン「真実Part2」ほか)、紺(第2シーズン「地底」)、黒(第1シーズン「落ちた天使」ほか)の無地のTシャツ(特にグレーが多い)、時に上に革のジャケットを着るという出で立ちである。またOMEGAの時計を着用している(第6シーズン「月曜の朝」、「スイート・ホーム」。複数所持しているか、OMEGAを好んで購入しているようで「月曜の朝」では日にちと曜日表示がある時計が登場するのに対して、「スイート・ホーム」では日にち表示だけの時計を着用している)。ハンサムだがいわゆる「格好いい大人の男」的な魅力が希薄な人物であり、ひたむきなオタク少年がそのまま年を経たようなキャラクターが彼の魅力になっている。純粋で情に厚い性格だが少々おっちょこちょい。


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