X線撮影
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「レントゲン」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「レントゲン (曖昧さ回避)」をご覧ください。

Radiography単純X線撮影装置
系統筋骨格系
サブスペInterventional, Nuclear, Therapeutic, Paediatric
主要疾患ガン, 骨折
主要検査スクリーニング検査, X線, CT, MRI, PET, 骨スキャン, 超音波検査, マンモグラフィー, 透視
専門家診療放射線技師
アルベルト・フォン・ケリカーの手のX線写真。この画像透視によるものであるため、フィルムに写した場合と白黒濃度は逆になっている。動きを見る透視画像を行うときは、このような白黒反転した画像を見ることはある。

X線撮影(エックスせんさつえい、Radiography)は、エックス線を目的の物質に照射し、透過したエックス線を写真乾板写真フィルム・イメージングプレート・フラットパネルディテクターの検出器で可視化することで、内部の様子を知る画像検査法の一種である。

医療のほか、空港の手荷物検査や構造物の非破壊検査に利用されている。X線の発見者であるヴィルヘルム・レントゲンに因み、レントゲン撮影または単にレントゲンとも呼ぶ。医療従事者は X‐ray Photograph を略して X-P ともいう。.mw-parser-output .toclimit-2 .toclevel-1 ul,.mw-parser-output .toclimit-3 .toclevel-2 ul,.mw-parser-output .toclimit-4 .toclevel-3 ul,.mw-parser-output .toclimit-5 .toclevel-4 ul,.mw-parser-output .toclimit-6 .toclevel-5 ul,.mw-parser-output .toclimit-7 .toclevel-6 ul{display:none}
原理

最も一般的に知られている単純X線撮影では、X線照射装置とフィルムの間に体を置き、感光させて画像化する。X線は感光板を透過する際に乳剤を感光させるため、体がX線を通過させた部分では黒く写り、体がX線を阻止した場合には、その部分が白く写る。

診療では、前者の黒く写った部分を「明るい」、後者の白い部分を「暗い」と表現するが、これはすなわち、肺炎や腫瘍などでは、X線透過度が低くなって、フィルムに白い影を落とすところからきた表現である。X線の透過度が高い組織としては、皮膚や空気()、筋肉軟骨などがある。逆にX線の透過度が低いものとしてはや、組織をより明瞭に描き出すために入れる造影剤がある。

感光剤を塗りつけたフィルムの代わりに、IP(イメージングプレート)やFPD(フラットパネルディテクター)を使う、CR(コンピューテッドラジオグラフィー)が今は主流である[1]。またフィルムレスのX線写真も、大病院をはじめ普及しつつある。コンピュータX線撮影の項も参照。

手にX線照射し、プレートへ感光させる

フィルムをシャウカステンにセットし読影

X線撮影装置の開発

世界初のX線撮影装置は、ドイツ帝国シーメンスが開発に成功し、1898年に大日本帝国へ輸入されている。日本でも1909年に初の国産機を第三高等学校教授で理学博士の村岡範為馳(はんいち)が、島津製作所の全面協力で開発に成功している。『ダイアナ』と『ニューオーロラ』の2機種は、島津創業記念資料館に保存されており、実用的な安定性を誇っていた。
医療分野での利用

レントゲンがX線を発見して以来、医療分野では、主に骨や肺の病変を描き出す画像診断として積極的に利用されてきた。歴史については「診療放射線技師#歴史」を参照

X線撮影に比べMRICTのほうが画像の有用性が高い場合もあるが、X線撮影は簡便性や経済性に優れており、現在でも検診など大部分の診療施設で用いられている。救急では、CTは従来は撮影時間が長かったが、ヘリカルスキャン、MDCTの登場で撮影時間が減り、単純X線写真の割合は減ってきている。また、放射光X線を用いたCTでは非常に細かい部分まで分かるので顕微鏡的な画像が期待されている[1]。また、X線撮影装置は小型化する事も可能であり[2]、可搬型のX線撮影装置により患者をX線撮影室に連れて行かずに居室でX線撮影したり、また往診時に装置を携帯して在宅の患者をX線撮影する事も可能である。
単純X線撮影単純X線撮影詳細は「単純X線撮影」を参照

主な利用法として以下のようなものがある。

骨折・骨病変の診断 - レントゲンは骨病変の診断に最も有効であり、現在でも骨折の診断には最も有用な検査方法の一つである。特に頭部・頚部や四肢の骨折で有用性が高い。また骨粗鬆症骨塩定量にも用いられる。

歯科的診断- も骨と同じく硬組織であり、歯科診療の領域では頻繁に利用される。

胸部X線 - Chest X-ray(CXR)と呼ばれ、肺癌肺炎結核胸水気胸をはじめとし、非常に多くの肺病変の診断に利用されている。

腹部X線 - Abdominal X-ray(AXR)(臥位では flat plate)は、腸閉塞腹水、腹腔内、便秘胆石尿路結石の空気の様子を診断するのに利用される。

造影X線写真椎骨脳底の横断面血管造影図

X線を通さない造影剤(バリウムなど)を経口・経静脈的に投与したのちに撮影することで、普通は描出されない消化管や血管の様子をも描出できる。造影剤を使わないX線写真は、造影X線写真に対して単純X線写真と呼ぶ。

消化管造影検査

血管造影

コンピュータ断層撮影詳細は「コンピュータ断層撮影」を参照
透視

X線を連続的に照射し、テレビモニタを通じて映像を観察する。被曝量は多くなるが、病変によっては診断や治療に必要となる。
X線撮影による医原病

医用画像における実効線量
対象臓器検査実効線量(大人)[3]環境放射線
等価時間[3]
頭部CT単純CT2 mSv8カ月
造影剤を使用4 mSv16カ月
胸部胸部CT7 mSv2年
がん検診のための胸部CT1.5 mSv6カ月
胸部単純X線撮影0.1 mSv10日
心臓冠状動脈CT血管造影12 mSv4年
冠状動脈CT、カルシウム走査3 mSv1年
腹部腹部・骨盤CT10 mSv3年
腹部・骨盤CT、低線量プロトコル3 mSv[4]1年
腹部・骨盤CT、造影剤あり20 mSv7年
CT結腸検査6 mSv2年
静脈内腎盂造影3 mSv1年
上部消化管造影6 mSv2年
下部消化管造影8 mSv3年
脊椎脊椎単純X線撮影1.5 mSv6カ月
脊椎CT6 mSv2年
四肢四肢単純X線撮影0.001 mSv3時間
下肢CT血管造影0.3 - 1.6 mSv[5]5週間 - 6カ月
歯科X線撮影0.005 mSv1日
骨密度測定(DEXA法)0.001 mSv3時間
PET-CT25 mSv8年
マンモグラフィー0.4 mSv7週間

ジョンズ・ホプキンス大学医学部の研究によって、レントゲン検査で医療被曝を経験した女性は、レントゲン未経験者の同年齢の女性に比べると、ダウン症児が生まれる確率が7倍も高いことが明らかになっている。この報告の正確さは、他の研究によっても裏付けられている[6]という。


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