IPアドレス枯渇問題に対応するためIPv6を前提とする構成がデフォルトになっている。Windows XPでは、IPv6を有効化すると、IPv4での性能が低下することから、IPv6を有効化しないように勧告する意見があった。しかし、Windows 7に至っては、ホームグループなどでIPv6が有効であることを前提としていることから、逆にIPv6を常時有効にすることをマイクロソフトが推奨しており、IPv6を無効化した場合の動作については、保証できないとされている。
IPv6のグローバルアドレスが設定されていない場合、マイクロソフトが無償提供しているTeredoによる接続サービスによるトンネリングを自動設定する。
IPv4のグローバルアドレスが設定されている場合、マイクロソフトが無償提供している6to4による接続サービスによるトンネリングを自動設定する。
ただし、ホスト名のアドレス解決においてホストにリンクローカルアドレスまたは Teredoアドレスしか割り当てられていない場合、DNSクライアントサービスはIPv4用のAレコードに関するクエリだけを送信するためIPv6アドレスが取得できず、URLで直接IPv6アドレスを指定したりしない限り、指定した相手にIPv6で通信することはない[21]。そのため、IPv6でインターネットを参照できる環境であっても、ホストにリンク ローカル アドレスまたは Teredo アドレスしか割り当てられていない場合、Internet ExplorerにIPv6のIPアドレスを持つサイトのURLをホスト名で指定しても、IPv6でアクセスすることはできない。この仕様は、IPv4を主に使用する環境での性能低下を回避するためのものである。 パワーマネージメントも機能が強化され、ノートPCにおける未使用時の画面の明るさの調節、未使用ポートの電源断、冷却ファンの設定に対応した。標準の電源設定ツールでは電源に関する分析と結果のレポート生成を行えるようになった。 6つの異なるエディションが提供されており、日本国内の一般ユーザーはHome Premium、Professional、Ultimateの3つが入手可能である[29]。 Windows Vistaではプレミアム エディションとして消費者用のHome Premiumとビジネス用のBusinessの2種類があり、双方で含まれる機能に違いがあったが、Windows 7はWindows Vistaとは異なり、上位エディションは下位エディションの全機能を備えている[30]。 マイクロソフトによれば、どのエディションを導入していても、Windows 7の全てのエディションの機能がコンピュータ上に保存されるようになっている[31]。利用者がさらなる機能を求めてWindows 7の上位エディションにアップグレードしたいのであれば、Windows Anytime Upgradeのアップグレード用シリアルナンバーを購入して入力することで、その購入したエディションの機能が新たに使えるようになる[31][32][33]。マイクロソフトは2009年6月25日にWindows 7のいくつかのエディションを、2009年7月31日にWindows Anytime Upgradeとファミリーパックの価格を発表した[33][34][35]。 欧州ではInternet Explorerを除いたエディションが用意される予定であったが[36]、最終的に中止された[37]。日本ではHome Premium、Professional、Ultimateの各エディションの新規購入版とアップグレード版の2つリテール パッケージが販売されている。
パワーマネージメント
ファイルシステム
Virtual Hard Disk の対応
VHDをディスクドライブとして認識、マウントが可能になった。EnterpriseおよびUltimateエディションではVHDからのブートに対応した。
SSDへの最適化
SSDと認識したドライブでは Windows SuperFetch、自動デフラグ、Windows ReadyBoost は無効化される。Trim コマンドに対応し、効率よい IO 操作に対応した。
パーティショニングの変更
パーティションが無いディスクドライブへWindows 7をインストールする場合、ボリューム内の構成が自動的に行われ、ブート パーティションとシステム パーティションが分離されるようになった。ボリュームの先頭に第1パーティションとして100MBが確保されブート パーティションに割り当てられ、Windows Boot Managerとその関連ファイルが収められる。以降は第2パーティションとして確保されシステム パーティションに割り当てられる。このパーティション分離はBitLockerを使用する際に必要な構成であるが、Windows Anytime Upgradeに対応するために、BitLocker を備えないエディションであってもこの分離構成が行われる。デフォルト状態ではブート パーティションへはドライブレターが割り当てられず、システム パーティション以降へCから順次割り当てられるため、一般的な利用者がブート パーティションを意識する機会は少ない。
マルチメディア
Media Foundation
Media Foundationで標準で対応するフォーマットとして新たにH.264、AVI、AACなどが追加された。ハードウェア デバイスはUSB Video Class 1.1 ビデオ キャプチャ デバイス、オーディオ キャプチャ デバイス、ハードウェア エンコーダーとデコーダー、ハードウェア ビデオ プロセッサをサポートする。
その他
プロセッサのサポート
64ビット版で最大256個(32ビット版では32個)の論理プロセッサをサポートする[22]。
表記ルールの変更
日本語版において外来語の表記ルールが内閣告示に基づき長音符を付加したものに変更された[23]。
Windows XP Mode
これはWindows Virtual PC上で動作するライセンス認証済みのWindows XP Professional SP3の仮想マシン環境[24]を提供するものである。Windows 7 Professional、Enterprise、Ultimateのみ無償でWindows XP Professional SP3のイメージが使用可能である。提供されるWindows XP Professional SP3のサポート期限はWindows XPに準ずる(2014年4月8日まで)。当初、Windows Virtual PC を使用するためには、CPUが Intel VTやAMD-Vなどの仮想化支援機能に対応している必要があったが、後にこの条件は撤廃された[25][26]。主に小規模の企業や開発者がターゲットとして想定され、Windows VistaやWindows 7で正常に動作しないアプリケーションを使用できるよう救済手段として用意された。Windows Virtual PC上でOSを稼働させているが、指定アプリケーションのウィンドウのみをWindows 7デスクトップにシームレスに表示させることが可能となっている。仮想マシン上での動作のため、パフォーマンスが犠牲になっている上、DirectXがフルサポートされていないので、昔のゲームを稼働させるなどの用途には向かない。仮想ネットワークからインターネットに接続可能な状態のため、Windows Updateやセキュリティ対策は仮想OSに対しても別途行うべきである。Windows XP Mode自体は VMware Workstation、およびVMware Player、Oracle VirtualBox などのWindows Virtual PC以外の仮想化ソフトウェアで動作させることも可能で、ライセンス上も問題ないとの見解がマイクロソフトより示されている[27]。上記のWindows Virtual PCの動作要件を満たさない場合、この方法が有効である。ただし、Windows Virtual PCに依存する機能は、この方法では動作しない。なお、Virtual PCにWindows XPを自力でインストールし、シームレスモードで使うことも可能である。
Windows Sensor and Location プラットフォーム
GPS や加速度計、カメラなど様々なセンサーを簡単に使用するためのものである。
光学ディスク
Windows Vistaと異なりBDに標準対応しており、OS標準にてCD・DVD・BDの読み書きに対応している[28]。
エディション
Starter(スターター)
最小限の機能しか持たないエディションであり、Windows Aeroには一切対応せず、また32ビットバージョンしか提供されていない。さらに、デスクトップの壁紙とビジュアルスタイル (Windows 7 Basic) はユーザーによる変更はできない。OEMライセンスを使用するシステムインテグレーターまたはコンピュータメーカーを通じてコンピュータ、特に画面サイズ対角10.2インチまで[38]のネットブックにプリインストールされる形でこのエディションを入手することができる[39][40][41]。パッケージでは販売されていない[38]。
Home Basic(ホーム ベーシック)
アルゼンチン、ブラジル、中華人民共和国、コロンビア、インド、パキスタン、フィリピン、メキシコ、ロシア、タイ王国、トルコなどのエマージング・マーケットで入手可能である[42]。