Wikipedia:あらすじの書き方
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「第一巻では・・・」、「第一章では・・・」、「第三話では・・・」というふうに参照や見出しをつけることによって、具体的な作品構成を示すこともできます(特に長い作品では有効ですが、あまり細かく行いすぎて煩雑にならないようにしてください)。
他人のあらすじを参考にする

公式サイトのあらすじやファンサイトのまとめなどを参考にすることも、その物語の要点を絞るために役立つでしょう。しかしもっぱらこのような他の人がまとめたあらすじだけをもとにしてあらすじを書くと、しばしば物語の多くの重要な細部が書き落とされたり、物語全体の文脈や構造が見失われたりします。他人がまとめたあらすじを参考にしながらあらすじを書くときでも、必ず同時に作品そのものを参照して物語を確認するようにしてください。

ただし、このような公式サイトやファンサイト、情報誌や研究書など他人の著作で書かれている文章を丸写しにしたり、あるいは多少ことばを入れ替えただけのものを記事に書くことは著作権の侵害となりますので、決してしないようにしてください。
注釈を行う際の注意点

必要があれば、あらすじの中で作品に対する注釈を行うことも可能ですが、しかし独自研究にならないよう、非常に注意をはらって行わなければなりません。たとえば物語に存在するプロット上の矛盾などを指摘するためには、信頼できる情報源に基づく確固たる出典が必要です。

一般的に物語についてのこうした注釈は、「テーマ」「解題」「分析」などのような、作品外の視点から作品を解説しているセクションで行うほうがよいでしょう。いずれにしても、あなた自身の感想や見解、推測を記事の中に記述してはいけません。作品の分析や評価を記すときには必ず批評家や研究者の論評を出典とする形で行ってください。
適切な長さ

あらすじの長さに規定はありませんが、あらすじは極端に長くならないようにしてください[注 2]。長いあらすじは一見、多くの情報を読者にもたらすように思われるかもしれませんが、実際は読者に読むことを困難にさせ、またどこが作品の要点であるのかをわからなくさせてしまい、結局のところ読者にとってまったく役に立たないということになりがちです。

一方、あまりに短すぎるあらすじも問題です。たとえば『オデュッセイア』のあらすじを書くのに、「オデュッセウスはトロイア戦争からの帰途、さまざまな困難に出会うが、持ち前の機知で切り抜けて帰国し、国を乗っ取ろうとする男たちを殺して妻子との絆を新たにする」とするだけでは、作品の中の重要で特徴的な過程がほとんど何もわかりません。こういう場合、「さまざまな困難」を簡潔な方法で具体的に記したとしても、あらすじの焦点が拡散して読者の理解を妨げたりすることにはならないでしょう。

あらすじの長さは、必ずしも作品それ自体の長さに比例するわけではありません。長い作品であってもプロットが一直線で単純であればあらすじはさほど長くならないでしょうし、短い作品でも緻密で複雑なプロットであればあらすじもある程度長くなるでしょう。物語の重要な三要素は、「プロット」(筋)、「キャラクター」(人物)、「テーマ」(主題)です。この三つのどれかを理解する助けにならず、また作品の特徴的な部分として広く知られているわけでもないような瑣末な詳細は、あらすじから省略してください。
非常に長い作品の場合

何十巻も刊行されている大河小説のような非常に長い作品の場合、あらすじはどうしても長くなってしまうかもしれません。そのような場合、あらすじのセクションのなかに物語の内容に沿った適度な区切りをサブセクションによって設け、可読性を維持するようにしてください。このように長いあらすじを持つ記事の場合には、記事の導入部や概要に、物語の内容を知ることができるより簡潔なあらすじを入れておくことが推奨されます。

あらすじがどうしても長くなり記事全体の構成を損なってしまうような場合には、あらすじのセクションを独立した記事として分割することもできます。そのような場合でも、普通の長さの作品記事にある程度の長さの簡潔なあらすじを残しておくことによって、その詳細な子記事を見なくとも物語の内容が理解できるようにし、分割元の記事の体系性、包括性が損なわれないようにしてください。

ただし、あらすじの分割は非常に稀なケースであるべきです。あらすじがあまりに長いときは、まずは瑣末な情報を詰め込みすぎていないかを確かめてみてください。
ネタバレの扱い「Wikipedia:ネタバレ」も参照

百科事典としての性質上、ウィキペディアにはネタバレが含まれます。また編集者はネタバレに対して特別な配慮を行う義務を負いません[注 3]。その情報が作品の持つ重要性を説明し、あるいは物語全体の構造を説明するのに必要なものなのであれば、ネタバレを記述することに躊躇しないでください。またそれがネタバレであるからという理由で、記事から記述を除去したり、意図的にその情報を省略したりするべきではありません。

たとえば、ある重要な推理小説があると仮定してみましょう。一般に推理小説のネタバレ、つまりトリックや犯人などの真相といったものをその作品自体を読む前に知ることは、その小説の読書体験を致命的に損なうことになると考えられます。しかし、もし百科事典の記事の中でトリックや犯人などの情報が伏せられていたら、事典の読者はその作品について具体的にどのような点で画期性があるのか何もわからず、したがってその作品に付されている内外の論評を理解することもできないし、その作品の歴史的な重要性を十分に理解することもできないでしょう。作品の重要な詳細を伏せたまま作品を紹介することは、公式サイトや販売サイトの役割であり、そもそも百科事典の役割ではないのです。

もっとも、あらすじにおける情報の取捨選択には熟慮を要します。ネタバレを書いてよいからといって、物語の流れや作品の重要性となんら関わりのない、ただのネタバレにしかならないような瑣末な細部をあらすじに記すべきではありません[注 4]。また、ただ読者にネタバレを言いふらすことを目的とするような編集を推奨しているわけではありません。物語のネタバレは、記事の中では物語の流れ全体を説明するための文脈に位置づけられているべきものであり、ただ作品内容を網羅したり、読者に暴露することを目的としてなされるべきものではないでしょう。
登場人物節との関係「プロジェクト:フィクション/登場人物と設定の記述」も参照

ウィキペディアにおけるフィクション作品の記事の中では、あらすじを説明するセクションとは別に登場人物を説明するセクション(「登場人物」や「登場キャラクター」のような見出しを持つもの)が設けられている記事が多数あります。そのほうがうまく物語を説明できるような場合には、もちろんこのようなセクションを設けることになんの問題もありません(もっとも、すべての作品記事に必要なわけでもありません)。たとえば、物語に深く関与する登場人物が多数いるために、あらすじのセクションの中では詳しい説明が困難な場合や、それぞれの登場人物が重要なサブ・プロットを持っているような場合には、登場人物欄を設けたほうがうまく作品を説明できるでしょう。

しかしながら、現在の日本語版では、このような登場人物欄が個別のエピソードで膨れ上がっていく一方、本来されるべきあらすじの説明はほんの数行しかない、という記事が多数存在するということがあります。こうした記事ではしばしば「あらすじ」では作品のごく始めの部分しか書かれておらず、物語の重要な展開は登場人物節を読まなければ何もわからない構造になってしまっています。

作品を主題とした記事を作る以上は、作品の内容は「あらすじ」節において物語全体の構造を示しながら説明すべきであり、登場人物欄はあくまでその補足であるべきです。あらすじの記述は、たとえ登場人物節の記述をまったく読まなかったとしても、その物語の全体的な流れを理解できるように記述してください[注 5]。この場合、あらすじの内容と登場人物節の内容とはある程度重複してもかまいません。
最後に

以上でウィキペディアにおいてあらすじを書く際の注意事項を説明しました。しかし「基本的な考え方」で述べたように、ウィキペディアにおける作品記事の目的は、それが現実社会のなかでどのように位置づけられるかを読者に理解させることにあります。したがって記事の中では、あらすじや登場人物など、作品内容の解説があるだけでは不十分です。記事を書く際には、その作品の成立や発表の経緯、その作品に対する専門家の批評、社会的影響など、その作品に関わる作品外部の情報をしるし、作品内の情報との間でバランスを取ってください。もし作品内容のほかにさほど書くことがないようなものであれば、その作品を記事にすることはさしあたり思いとどまったほうがよいかもしれません。
注釈[脚注の使い方]^ 必要があって作中の台詞や文章を引用しているような場合はもちろん例外です。
^ 英語版では、3-4段落(小説)、400語から700語(映画)、200語以下(TV番組のエピソードリストの中の1エピソード)、400語以下(TV番組の1エピソードごとの記事)。(いずれも単語数であって文字数ではない)のように、分野別のウィキプロジェクトごとにあらすじの長さの目安が設けられているものがあります。
^ 記事内のネタバレの存在に注意を促すテンプレートは、百科事典的でないものとして廃止されました。
^ このような細部まで書かれた(しばしば非常に長い)あらすじは、多くの場合執筆者が自分の作品体験をそのまま再現しようとすることによって書かれます。しかし「基本的な考え方」にも示したように、あらすじで必要なのは作品の魅力を伝えることではなく、作品の説明を行うことなのです。ウィキペディアの記事は作品の代替物ではないのだということを忘れないようにしてください。
^ とはいえ、登場人物節を持つ作品記事で、そのセクションが肥大化したために登場人物欄を独立した記事として分割する場合には、分割元の体系性が損なわれないよう、特に主要な人物の基本的な情報を残すようにしてください。分割元の記事と子記事との間である程度記述が重複してもかまいません。

関連項目

文書

Wikipedia:スタイルマニュアル (フィクション関連)

Wikipedia:特筆性 (フィクション)

プロジェクト:フィクション/登場人物と設定の記述

Wikipedia:ネタバレ

Wikipedia:過剰な内容の整理

プロジェクト:フィクション/過剰な内容の整理


テンプレート

Template:要あらすじ

Template:不十分なあらすじ

Template:長すぎるあらすじ


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