各ウェブブラウザのWebGL機能対応度を示すデモの動作リストが存在する[7]。主要なブラウザの最新版は全てWebGL 1.0に対応している。WebGL 1.0を利用するには、グラフィックスハードウェア (GPU) がWebGL 1.0 (OpenGL ES 2.0相当の機能) をサポートしている必要があるが、後述するように、バックエンドにハードウェアベンダーが提供するOpenGL/OpenGL ESレイヤーを利用するかどうかは問わない。WebGLは実装形態を問わないAPI規格にすぎないからである。また、後述のセキュリティ上の問題から GL_ARB_robustness (OpenGL 3.2) もしくは GL_EXT_robustness (OpenGL ES 2.0) の対応が必要である。
WebGL 2.0のサポートには、Microsoft Windows上ではDirectX 11が、macOS上ではOpenGL 4.1が、Linux上ではOpenGL 3.3といくつかの拡張が、そしてその他のプラットフォームではOpenGL ES 3.0が必要である[8]。
なおWindows版のChromeおよびFirefoxはハードウェアベンダーが提供しているWindows用のOpenGLドライバーを用いるのではなく、ANGLE(英語版)[9]を経由することで、内部的にDirect3Dを使ってWebGLを実現している[10]。
ユーザーによる利用設定が必要になってしまい、またハードウェアアクセラレーションの恩恵は得られない方法だが、Mesa Off-screen rendering extension (libosmesa6) などを用いれば、ソフトウェアレンダリングによるWebGLの実行も実現可能である。
前述のANGLEや、ソフトウェアレンダリングによるWebGLを利用する場合などを除き、OpenGL 3.2をフルサポートしないハードウェアおよびデバイスドライバ環境では、ユーザーの自己責任のもと、ウェブブラウザ側で強制的に利用する設定をしないとWebGLを利用できない場合がある。
各ブラウザには、WebGLの動作がサポートされないGPUブロックリストが定められている。どのようなOSあるいはブラウザでWebGLを実行するにしても、ブロックリストに載っているGPUを使用する環境では、ユーザーの自己責任においてWebGLを強制的に有効にする設定をしなければWebGLは動作しない。 Firefoxなどでは、JavaScriptで型付き配列が使える[11]。型付き配列により生のバイナリデータの操作が容易になり、WebGLにデータを渡す際のパフォーマンスが向上する。 WebGLはMozillaのCanvas 3Dの実験から始まった。Mozillaは2006年に最初のCanvas 3Dのプロトタイプのデモンストレーションをした。2007年末に、Mozilla[12]とOpera[13]がそれぞれ別々の独自の実装をした。2009年初頭に、MozillaとKhronosがWebGLワーキンググループを始めた。WebGLワーキンググループはApple、Google、Mozilla、Operaを含んでいる。 2011年5月9日、WebGLに深刻なセキュリティホールが指摘された[14]。問題点は以下の2点。現在は解決済み。 規格そのものに脆弱性が存在するため、米国のセキュリティ機関US-CERTはブラウザでWebGLを無効にするよう勧告していた[15]。 Firefox 4 と Chrome 12 は標準状態でWebGLが有効になっており、セキュリティ問題を防ぐには手動でWebGLを無効にする必要があった。その後、Chrome 13 ではクロスドメイン問題が修正され、Firefox 5 ではクロスドメインは無効になったが、Firefox 8 から Cross-Origin Resource Sharing が利用可能になった。 DoS攻撃の方は、GL_ARB_robustness[16](OpenGL 3.2) または GL_EXT_robustness[17](OpenGL ES 2.0) を利用できるウェブブラウザに制限することで解決した[18][19]。 PixiJS や Three.js、C3DL、WebGLU など、WebGLを使ったライブラリが開発されている。
型付き配列
歴史
セキュリティの懸念
サービス拒否 (DoS) 攻撃 - WebGLでは制御構造をサポートするプログラマブルシェーダーを使えるが、GPU自体にバグなどがあると、OS全体をクラッシュさせたり、無限ループなどでデバイスドライバの応答を停止させるシェーダープログラムを実行させることができてしまう。
クロスドメイン画像盗取 - Cross-Origin Resource Sharing に未対応で、他のドメインで使われている画像を取得できた
ライブラリ
脚注[脚注の使い方]
注釈^ サムソンやHTCなどの一部の端末では 4.x から対応している。またAndroid 4.x の環境で「メニューボタン」の「設定」から「Labs」から「WebGL」のチェックボックスを「オン」にすることでWebGLを有効化できる場合があるが、Labsの名の通り実験機能である。
^ スマートフォンやタブレットなどの端末の製造メーカー・機種、GPUの製造メーカー・機種、グラフィックスデバイスドライバの開発元およびバージョンなどによっては、Google Chrome for AndroidのGPUブラックリストに含まれているためWebGLが動作しない場合がある。この場合、ユーザーの自己責任となるが、Google Chrome for Androidにて「chrome://flags」にアクセスして「ソフトウェア レンダリング リストをオーバーライド」を有効化し、「WebGL を無効にする」を無効化し、そして「今すぐ再起動」することでコンテキスト「webgl」または「experimental-webgl」でWebGLを動作させることが可能となる。
出典^ WebGLFinal
^ Tavares, Gregg (2012年2月9日). “ ⇒WebGL Fundamentals”. HTML5 Rocks. 2021年2月23日閲覧。
^ Parisi, Tony (2012年8月15日). “WebGL: Up and Running
^ WebGL Specification
^ WebGL 2 Specification
^ Opera Core Concerns - WebGL and Hardware Acceleration
^ Demo Repository - WebGL Public Wiki
^ WebGL 2.0 Arrives - The Khronos Group Inc
^ angleproject - ANGLE: Almost Native Graphics Layer Engine - Google Project Hosting
^ ⇒Windows上でANGLEを使って、WebGLレンダリング
^ JavaScript typed arrays - MDC Doc Center
^ ⇒Canvas 3D: GL power, web-style
^ Taking the canvas to another dimension
^ ⇒WebGL - A New Dimension for Browser Exploitation
^ 3D表示規格の「WebGL」に深刻なセキュリティ問題、主要ブラウザに影響 - ITmedia、2011年5月11日
^ ⇒GL_ARB_robustness
^ GL_EXT_robustness
^ Bug 93379 - WebGL Add support for EXT_robustness
^ Support GL_EXT_robustness in Chrome's WebGL implementation
関連項目
OpenGL
OpenGL ES
GLSL
en:O3D - Googleによる別のWeb 3D技術
WebCL - ブラウザ向けのOpenCL派生規格
Three.js
WebVR
外部リンク
公式ウェブサイト
WebGL - Mozilla Developer Network
表
話
編
歴
クロノス・グループの規格
COLLADA
EGL(英語版)
OpenCL
OpenGL
OpenGL ES