WM-20
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WM20シリーズMk.92 FCSのCASレーダー。WM28のアンテナと同型である
種別射撃指揮装置
開発・運用史
開発国 オランダ
就役年1960年代
送信機
周波数Xバンド
パルス幅0.22マイクロ秒/0.45マイクロ秒
パルス繰返数3,600 pps / 1,800 pps
送信尖頭電力180-200 kW
アンテナ
アンテナ利得33.5 dB
ビーム幅捜索用:1.5×7.0度
追尾用:2.4度
走査速度60 rpm
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WM20シリーズは、オランダのシグナール(現在のタレス・ネーデルラント)社が開発した艦載用の射撃指揮装置(FCS)
来歴

1950年代、シグナール社は戦後第1世代のFCSとして、ボフォース 152mm砲用のM1、ボフォースMk.1 57mm砲用のM2、ボフォース 40mm機関砲用のM4を開発した[1][2]。M1・2はSバンドで動作し、送信機の送信尖頭電力は400キロワット、パルス幅は0.5マイクロ秒、パルス繰返数は1,000 ppsで、アンテナとしては円形のパラボラアンテナを用いた[1]。一方、M4はXバンドで動作し、特徴的な形のパラボロイドアンテナを用いた[1]

これに続いて開発されたM40シリーズでは、周波数はXバンド、またアンテナはエンクローズされたパラボラアンテナとなった[1][2]。アンテナはロール方向およびピッチ方向に安定化されており、空中目標に対してはコニカルパターン、水上目標に対しては楕円パターンでのスキャンを行った[1][2]。射撃計算およびレーダー情報処理のためにはSMRデジタルコンピュータが用いられていた[2]。M44はシーキャット個艦防空ミサイル、M45は砲熕兵器を管制するために用いられる[1][2]

そして1950年代後半、これらの後継機として開発されたのがM20シリーズであり、1961年ドイツ海軍ツォーベル級魚雷艇の就役とともに装備化された[2]。これはプログラム固定式のコンピュータを使用していたが、後にプログラム差し替え可能なコンピュータを用いたモデルも登場し、こちらはWM20シリーズと称された[1][2]。WM20シリーズのローンチカスタマーはノルウェー海軍で、1970年ストルム級ミサイル艇にWM26を搭載して装備化した[2]
設計

M20/WM20シリーズのレーダー送信機としては、M40シリーズと同系列のものが用いられた[1]。送信尖頭電力も同じく180キロワットが標準だったが、WM25では1 MWの交差電力増幅管 (CFA) を用いて200キロワットまで増強した[2]

M20/WM20シリーズの特徴として、追尾レーダーと送信機を共用する捕捉レーダーを導入した点がある[1][2]。これらは特徴的な型のレドームに収容されており、上側に空中目標追尾用のカセグレンアンテナ、下側に捕捉用の変形パラボロイドアンテナが設置された[1][2]。ビーム幅は、捕捉用アンテナでは1.5×7.0度(後に7.7度)、追尾用アンテナでは2.4度であった[2]。捕捉用アンテナは毎分60回転の高速で旋回しており、水上目標の追尾はこれを用いた捜索中追尾(TWS)として行われた[1]

レーダー性能はタイプによって異なるが、一般に、捕捉レーダーは水平距離にして16?17 nmi (30?31 km)、また高度7,600メートルまでの目標を探知できる[2]レーダー反射断面積(RCS)2平方メートルの目標であれば、距離30,500 yd (27,900 m)で探知、29,000 yd (27,000 m)で捕捉可能とされる[1]。一方、追尾レーダーは約15.5海里(29km)までの範囲をカバーすることが可能であり、RCS 1平方メートルの空中目標なら最大速度900 m/s (1,700 kn)まで、また同程度の水上目標なら最大速度34?55 m/s (66?107 kn)まで対応可能である[2]。また別体の追尾レーダーとしてSTIRを連接して用いることもできる[2]
各タイプ概要M22
M20
空中目標1個と水上目標3個を追尾し、空中目標と水上目標各1個について砲熕兵器で交戦しつつ、魚雷2本を管制する能力を有する[1]
WM20
基本的にはM20と同様の交戦能力を有するが、必要に応じて更に1個の水上目標と砲熕兵器で交戦する能力を付与することができる[2]。オペレータ3名または4名が配置される[2]
M22
フリゲートまでの大きさの艦に搭載することを想定して、単独で用いるほかに対空捜索レーダーと連接しても用いることもできる[1][2]。2または3基の砲熕兵器を管制する能力を有しており、砲熕兵器2基の場合は空中目標と水上目標各1個、3基の場合は更に水上目標1個と交戦することができる[2]。オペレータ2名または3名が配置される[2]
WM22
基本的にはM22と同様の交戦能力を有するが、中口径砲2基と小口径砲2基を同時に管制できる[2]


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