WAR(闘)
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この曲では通常とは逆に、ジ・エッジがベース、アダム・クレイトンがギターを弾いている。ジ・エッジは「Seconds」の一部でリードボーカルも担当している。

また前作に引き続き音楽的実験も全開。「Sunday Bloody Sunday」「Drowning Man」では後にIn Tua NuaとThe Waterboysに参加するスティーブ・ウイッカムのヴァイオリンを、「Red Light」ではケニー・フラドリーのトランペットを、 「Like A Song…」「Red Light」「Surrender」ではThe Coconutsのバックコーラスをフィーチャーしている。またボノが「エッジのようにギターを弾くな。ミック・ジョーンズのように弾け」と盛んにけしかけたこともあって、エッジのギターのディレイもエコーも控えめである。が、細工を凝らしたせいでライブでの再現が難しくなったせいか、初期の代表作といわれるわりには、ライブで1回も演奏したことがない曲が3曲(「Drowning Man」「The Refugee」「Red Light」)、1回しか演奏したことがない曲が1曲(「Like a Song...」)含まれることになった。

当時、このような硬派なロックアルバムを発表することは、「恐ろしくダサいこと」(ボノ談)と思われていたが、果たしてアルバムはヒット。UKアルバムチャートでは初の1位に輝き、USでは初のゴールドディスクを獲得、、New Year's Dayという念願のシングルヒットも生まれた。

これでU2はほんの少しステージを上がることができた。

『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・グレイテストアルバム500』に於いて、223位にランクイン[1]
アルバム・ジャケット

このアルバムのカヴァー写真の少年は、ボノの友人であるグッギ(ヴァージン・プルーンズの元メンバー)の弟で俳優のピーター・ローウェンである。彼の写真は他にも『ボーイ』や『ザ・ベスト・オブU2 1980-1990』といったアルバムのジャケットにも使われている。純粋であどけない表情だった『ボーイ』から一転、鋭い視線を投げかけており、U2の姿勢を端的に表現している。
収録曲
ブラディ・サンデー - Sunday Bloody Sunday

セカンド- Seconds U2史上エッジが初めてリードヴォーカルを取った曲。当時、作詞の作業に孤独を感じていたボノはエッジに歌詞を書くように勧めた。作詞に興味のないエッジだったが、 「It takes a second to say goodbye」というフレーズを思いついた。曲のテーマは1979年のスリーマイル島原子力発電所事故を受けて世界中で盛り上がっていた反核運動。歌詞の「Drop The Bomb」は同じアイランドに所属するTrouble Funkというドゥワップバンドの同タイトルの曲からの引用[2]である。また途中挟み込まれるテレビの音は「Soldier Girls」という女性兵士の訓練模様を撮影したドキュメンタリー映画から採った[2]。ボノがウィンダムレーン・スタジオの待合室でテレビを観ているとき、このドキュメンタリーが流れて、曲に使おうと思いついたのだ。エッジはボノの歌真似をして歌っているおかげでファンの中にもボノが歌っていると勘違いしている人がたまにいる。

ニュー・イヤーズ・デイ - New Year's Day

ライク・ア・ソング - Like a Song...                ボノ曰く「この曲は僕たちが何者であるかを知らず、本物のパンクではないと考えいている人たちい対する批判の曲だ。こういったことは何度も何度も繰り返されている。みんな怒りが大好きだからね。陳腐なものなのに」[3]ということで、当時の音楽産業に対する異議申し立てのようである。

ドラウニング・マン - Drowning Man                   ボノが触りだけ書いたベケット風の戯曲からタイトルを拝借。エッジのバッキング・トラックとアダムのベース・パートにボノがヴァン・モリソン風に聖書を読むようにして即興でヴォーカルを乗せていった。「溺れる男」とはメンバーで唯一キリスト教を信仰していないアダムを指している。「Sunday Bloody Sunday」と同じくスティーヴ・ウィッカムがエレクトリック・ヴァイオリンを弾いている。                    サウンドチェックで何度か演奏されたことはあるものの、ライブでは1度も演奏されたことはない。

ザ・レフュジー - The Refugee                リリーホワイトを起用する前に後にリバーダンスで一世を風靡するビル・ウィーランと一緒に作った曲。アメリカをツアーで回り様々な人種の人々と交流したことで政治に目覚め、またケルト文化のルーツは北アフリカにあると論じたボブ・クインという映画監督が制作したドキュメンタリー映画「The Atlantean Trilogy」を観たことで、アイルランド人としてのアイデンティティに目覚めたボノ[4]は、この曲でアメリカへのアイルランド人の移民体験とアフリカ系黒人のそれを比較している(当時ボノはジョニー・ロットンの声がバクパイプに似ていると思って、彼とThe Chieftansを共演させたいと思っていたのだという[3])。

トゥー・ハーツ・ビート・アズ・ワン - Two Hearts Beat as One

レッド・ライト - Red Light                 ツアーで訪れたオランダ・アムステルダムで見た、赤い光に照らされてショーウインドウに佇む売春婦の姿にインスピレーションを受けた曲。バックコーラスにツアーでダブリンを訪れていたKid Creole & the Coconutsを起用。レコーディングは実際赤い光を照らして行われた。

サレンダー - Surrender              歌詞にはサディーという路上で暮らし売春をしながら、肉体と魂を同一化することに固執している女性が登場する。


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