Vorbis
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ウィキペディア記事の音声の再生方法については「Help:音声・動画の再生」を参照。

Vorbis
拡張子.ogg
MIMEタイプapplication/ogg
audio/ogg
audio/vorbis
audio/vorbis-config
開発者Xiph.Org Foundation
初版2000年5月8日 (24年前) (2000-05-08)
種別音声ファイルフォーマット
包含先OggMatroskaWebM
国際標準Vorbis I specification
オープン
フォーマット
Yes
ウェブサイトVorbis audio compression

libvorbis
開発元Xiph.Org Foundation

最新版1.3.7 / 2020年7月4日 (3年前) (2020-07-04)
プログラミング
言語C89
プラットフォームクロスプラットフォーム
種別音声コーデック
ライセンス三条項BSDライセンス
公式サイトOregon State University Open Source Lab
テンプレートを表示

Vorbis(ヴォルビス、ヴォービス)は、Xiph.orgが開発したオープンフォーマット非可逆圧縮音声ファイルフォーマット
概要

広く使われているMP3などのフォーマットは特許の制限を受けるため、それらの代替として誰でも自由につかえる圧縮音声フォーマットを提供することを目指して作られた。仕様はパブリックドメイン、核となるエンコード・デコードのリファレンスコードは修正版BSDライセンスフロントエンドツール類はGPLで提供されている。また、特許使用料も不要。

Vorbisは主にOggコンテナフォーマットに格納され、Ogg Vorbisと呼称される。単にOggといった場合は、他にFLACを格納したOgg FLAC、Speexを格納したOgg Speex、動画コーデックのTheoraを格納したOgg Theoraなどがある。また、VorbisはOgg用に開発されたコーデックなので当初はOggのみにしか格納できなかったが、後にMatroskaが対応した。Matroskaに格納したVorbisはMatroska Vorbisであって、Ogg Vorbisではない。

2010年には、Googleが開発しているオープンなコンテナフォーマットWebMの音声コーデックとして採用された。

拡張子は.ogg、まれに.ogaが使われる。.oggはかつてのOgg共通の拡張子であったが、現在それは公式には.ogxに変更されており、.oggは互換性のためにOgg Vorbis用の拡張子として残された。.ogaは、音声コーデックのみを格納したOgg共通の拡張子である。

これらはXiph.orgによって規格化されている。OggコンテナフォーマットはRFCで正式に文書化されている[1]
要項

VBRABRCBRをサポート(CBRMP3のようなフレーム単位の方式ではない)

オープンソース

パテントフリー

拡張性が高い

MP3などより音質が良いとされる

ギャップレスデコードに標準で対応

仕様
アルゴリズム
MDCT(Modified Discrete Cosine Transform:
修正離散コサイン変換
サンプリング周波数
8kHz - 192kHz (Typical rate)
チャンネル数
1ch(mono), 2ch(stereo), 4ch, 5.1ch, 6.1ch(最大255ch)
ビットレート
平均32kbps(aoTuV Q-2 mode), 平均45kbps(Q-1)?平均500kbps(Q10) (44.1kHz ステレオソース時)
チャンネルカップリング
ステレオモード時のみ対応(それ以上のモードに対応したエンコーダが現状無い)
ビットレート制限
エンコーダに依存
MIME Type
application/ogg, application/x-ogg, application/x-vorbis
ストリーミング
対応(プレイヤー側の対応が必要)
チェックサム
対応(デフォルトで有効)
コピーガード
未対応
タグ情報
Vorbis Comment (UTF-8)(一般的なID3タグには未対応)
コンテナ対応
Matroska (WebM), MOV, MP4, Ogg, OGMAVI, WAVは互換性に難有り)
ギャップレスデコード
対応(プレイヤー側の対応が必要)
ギャップレス再生
対応(プレイヤー側の対応が必要)
特徴
長所

Vorbisは全てのビットレート域で既存コーデック(MP3)を超えるべく設計されている。現状の実装では、同レートのMP3より音質が良く、LC-
AACと同列もしくはそれ以上とされる。HE-AACやHE+PS-AACが得意とする32-48kbps周辺の低ビットレート域では、特許が使用できないために高域疑似補完技術(Spectral Band Replication)やステレオ疑似補完技術(Parametric Stereo)の実装ができないVorbisは、善戦しつつも不利とされる。
標準ビットレートは112kbpsで、この時の音質は、多くの人がCDもしくは圧縮前の音源とほとんど聞き分けがつかないとされる。
圧縮率の指定は通常、クオリティレベルと呼ばれる数値で指定し、範囲は-1から10までの範囲である。44.1kHz Stereo(2ch)のソースの場合、標準はQ3(112kbps)となっており、最大ではQ10(500kbps)、最低のQ-1では48kbpsとなる(aoTuVエンコーダーではそれ以下のQ-2を指定でき、32kbpsでエンコードできる)。

かつてはエンコード速度の遅さが指摘されていたが、Ogg Vorbis 高速化プロジェクトにより大きく改善されている。音質の点では、拡張性の高さを生かして幾重にもチューニングを施したaoTuV[注釈 1]が長きにわたって高い評価を得ており[2]、オフィシャルエンコーダのlibvorbisにも一部組み込まれた。Xiph.orgのVorbis開発の歩みが緩やかになっている現状において、Vorbisが企業の開発するLC-AAC等のコーデックに伍する品質を保つことができているのは、こうしたXiph以外の開発者の努力に負うところも大きい。サラウンド(マルチチャンネル)に関しては比較的使われていないこともあり、Vorbisにおいて注力されてこなかった分野だが、libvorbis 1.3.1ではサラウンド・チャンネルカップリングが実装され、5.1chの品質が向上したとされる。

Vorbisは標準でギャップレスデコードに対応している。ライブやダンスミュージック等といった、曲間のギャップが問題になるソースにおいて利点がある他、動画の音声として利用した場合でも映像と音声の同期ズレの原因とならない等の利点がある。Vorbisはプログラムからはサンプル単位で位置を指定して正確にデコードできるため、ライセンス料フリーであることもあって、パソコンゲームなどで多数採用されている実績がある[3]
ちなみに主要な音声非可逆圧縮で、ギャップレスデコードにフォーマットレベルで対応しているのは、Vorbisのみである。MP3とAACとMusepackはエンコーダーの独自拡張によってギャップレス情報を埋めこむことで擬似的に対応しているため、デコーダーも各独自拡張に対応している必要がある。ただし、Vorbisにおいても携帯プレイヤーなどではデコーダ側の実装問題でギャップレス再生できないことも多い。

短所

Vorbisは可変ビットレートが基本のため、
AVIなどのVBR音声コーデックを想定していないコンテナでの使用は、音がずれるなどの問題が生じる場合があり、OggコンテナやMatroskaコンテナなどを使用する必要がある。

VorbisはMP3より複雑な処理をする必要があるため、オフィシャルエンコーダの速度は比較的遅い傾向にある。

Ogg Vorbis 高速化プロジェクトのライブラリを使用することで、環境によってはオフィシャルより2?3倍、又はそれ以上速くなる[4]

ただし、現状のリファレンスエンコーダではABRエンコード(ビットレート指定エンコード)の際には、クオリティ指定エンコードの2倍以上の時間がかかる。これは、現状のABRエンコーディングの実装に由来するものである。

近年のハードウェアの進歩により、昔に比べるとエンコードの速度は問題とされなくなってきている。


対応プレイヤーが少ない

Vorbisに対応している携帯プレイヤーはiriverCowonなどの韓国メーカーのものがほとんどで、全体のシェアからすれば数は少なく、その点ではデファクトスタンダードであるMP3や、大企業の後押しのあるWindows Media AudioAACに大きく及ばない。この状況はハイレゾ対応携帯プレイヤーでも変わらない。ただし、Rockboxを対応している携帯プレイヤーに導入すれば、Vorbisを再生することは可能となる。

Android OSはVorbisのデコーダを内蔵しており[5]、その端末の急速な拡大によって再生環境の普及という面は改善されつつある。一方、iOSはOgg Vorbisには対応していないので、対応するソフトウェアをインストールする必要がある。


ユーザが自発的にエンコード環境を構築する必要がある

圧倒的な普及率を誇るMP3以外の非可逆圧縮音声フォーマットで、Ogg Vorbisと比較されるものは、プロプライエタリであるWMAとAACである。


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