歌手ライブラリの音声素片は必要な音素の組み合わせを効率的に採取するために作られたスクリプトと呼ばれる専用の歌を録音し、そこから必要な部分を切り出して作成される。英語用のライブラリでは日本語に比べ必要な音声素片が多いことから必要とする録音も多く、データベースの容量も大きくなる[47]。スクリプトは多くの製品では歌詞に特に意味の無い「呪文」のようなものが使用されているが[48]、2010年9月に発売されたVY1で提供者のストレス軽減を狙い歌詞に意味のある単語を混ぜるといった工夫が取り入れられるなど、常に改良は進められている[2][49]。
また、過去の人の歌声を再現する試みも行われており[49]、2011年に昭和を代表する歌手である植木等(2007年没)のライブラリが発表されている[50]。ライブラリを作成するにはボーカルのトラックだけで、かつ必要な音素がそろった録音が必要であることから、亡くなった歌手の声を使ってライブラリを作るといったことは基本的には出来ないとされていたが[51]、植木のライブラリでは、植木の長男比呂公一の歌声で作られたライブラリに、両者の声の違いを数学的に抽出して作成した変換関数をかけるという方法で植木の声を再現している[50]。2014年には、シンガーソングライターhide(1998年没)の歌声をVOCALOIDを活用して再現した楽曲の発売が発表されている[52]。