VOCALOID-flex(ヴォーカロイド フレックス)は2010年2月に企業向けの提供が発表された[注 12]、話し言葉の表現にも対応したバージョン[7]。音符の入力を元にしてピッチの変化などを作るのではなく手動で直接ピッチの変化や音素の長さを入力し[注 13]、それによって話し言葉、特にテキスト入力による音声合成とは異なる細かな抑揚の表現なども可能にしている[171]。音声のライブラリについてはパソコン向けのバージョンと同じものが使用できる[7]。用途は動画コンテンツのアフレコへの利用の他、ロボット、キャラクター玩具、工場現場や緊急時などのアラート音声といったものへの利用が考えられている[7]。2010年10月にはアプリケーションの開発コンテスト「Mashup Awards 6」にあわせ、VOCALOID-flexをWebサービスとして使用するためのAPIである「NetVOCALOID-flex API」が期間限定で開発者向けに無償で公開され、同技術を使用したアプリケーションの一般公募も行われている[172]。音声の制作にVOCALOID-flexを使用した一般市場向けの製品としては、2010年4月に発売されたゲームソフト『メタルギアソリッド ピースウォーカー』における、ゲーム中の音声の例がある[162]。一般ユーザーへの音声合成のサービス提供については、インターネットがガチャピンの声質でしゃべり声を作成できるサービス「V-Talk」を2010年10月18日に開始している[173]。 VOCALOID-board(ヴォーカロイドボード)は2010年10月に発表された、パソコン向けのVOCALOIDソフトウェアとほぼ同等の機能を備えた組み込み用のハードウェア。さまざまな電子機器に組み込むことで、パソコン上でのみ機能した従来のソフトウェアよりも利用範囲を広げることを狙った[174]。VOCALOID MIDIデータにより歌声を合成する「Playbackモード」、あらかじめ歌詞を入力しておき、MIDIキーボードなどのノートメッセージにより歌声を合成する「Realtimeモード」、VOCALOIDーflexと同等に動作する「VoiceSynthモード」の3つのモードを備える[174]。介護・エンターテインメント用ロボットやキャラクター玩具、カラオケ機器、電子楽器などへの応用が想定されている[174]。企業向けで一般ユーザー向けの提供は予定されていない[174]。 2012年3月に開かれた「インタラクション2012」にて、子音・母音を入力する文字キーで歌詞を、ピアノ鍵盤で音階を入力して、リアルタイムで歌唱が制作できるVOCALOID-boardを使用した試作品「VOCALOID キーボード」が発表されている[175]。2015年のニコニコ超会議では歌詞をあらかじめプリセットしておくことで演奏に専念することが可能になった改良版「VOCALOID キーボード」が公開された。そして2017年12月9日、「VKB-100」の製品名でVOCALOIDキーボードが発売された[176]。歌声ライブラリを切り替えてさまざまなライブラリが利用可能になり、スマートフォンやタブレット向けに配信されるアプリとBluetooth接続することでライブラリを追加したり、歌詞を入力することができるようになった。初期収録はVY1で、最大4種類のライブラリ(初音ミク・Megpoid・IA・結月ゆかり)を追加できる。その内最初の1つは無償で追加することができる[177]。 「ボカロネット 2016年9月27日にサービスが終了した[178]。 iOS上で動作するVOCALOIDを用いた製品については2010年12月から提供されている[179]。ヤマハが自社で開発した音楽製作ソフトやゲームソフトを発売しているほか、外部企業向けに仕様をまとめソフトウェア開発キット(SDK)『iVOCALOID SDK』も提供しており、2013年7月に『iVOCALOID SDK』を利用した製品の第一弾としてセガが『うた詠み575』を発売している[180]。 ニンテンドー3DS上で動作するVOCALOIDを使用した製品は2013年11月より提供されている。 NetVOCALOIDは、サーバ上にVOCALOIDを実装し歌声合成機能をネットワークを介して事業者向けに提供するSaaS型のサービス。一般ユーザー向けのサービスはヤマハ自体ではなく提供を受けた事業者が行い、入力内容は事業者によってNetVOCALOIDサーバへ送られ歌声の合成が行われる[188]。インターネットにつながっている機器であればVOCALOIDの機能を提供出来、スペックの低いパソコンや携帯電話やゲーム機といった機器からVOCALOIDを利用するサービス[188]、インターネット上のアバターに歌を歌わせる、ロボットへの応用、広告への利用といった展開も可能とされる[189]。 NetVOCALOIDを活用したサービスは、2009年4月9日にインターネット社の「ケータイがくっぽいど」、クリプトン・フューチャー・メディアの「ミクと歌おう♪」が開始されており[190]それぞれ携帯電話を通じて「がくっぽいど」、「初音ミク」の歌声を利用できる。
VOCALOID-board
VOCALOIDキーボード
VOCALOIDNET(ボカロネット)
ボカロデューサー - VOCALOIDの製品やDAWを持っていなくても、ブラウザ上でVOCALOIDによる楽曲制作が可能となる。
ボカロストレージ - ボカロデューサーで作られた楽曲をクラウド上に保存できる。
アプリケーションとの連携 - VOCALOID3 Editor、VOCALOID Editor for Cubase、iVOCALOIDからボカロストレージにファイルを直接アップロード、ダウンロードすることが可能になった。この機能により、ボカロデューサーで作成したファイルをボカロネット対応アプリケーションで編集して、ボカロストレージにアップロードして保存が出来るようになった。
iOS
iVOCALOID VY1
iVOCALOID VY2
iVOCALOID 蒼姫ラピス
パソコン用のソフトウェアと同様のピアノロール式のインターフェイスを採用した音楽製作アプリ[20]。当時発売されていたVOCALOID製品になかった単体での伴奏の同時再生機能も搭載している[20]。制作した楽曲のデータをメールに送信する機能を備えており、パソコンでの本格的な楽曲制作との連携が可能となっている[20]。当初iPad向けのアプリケーションとして発売されたが、2011年9月のアップデートでiPhoneおよびiPod touchにも対応した[181]。VY1の音声を使用した「iVOCALOID VY1」が2010年12月に[179]、VY2の音声を使用した「iVOCALOID VY2」が2011年9月に[182]、蒼姫ラピスの音声を使用した「iVOCALOID 蒼姫ラピス」が2012年11月に[183]発売されている。
VocaloWitter
VocaloWitter 蒼姫ラピス
iPhoneおよびiPod touch向けのアプリケーションで、ピッチカーブを描く方法による入力を採用し、直感的かつ手軽な音声合成を可能としている[20]。2010年12月にVY1の音声を使用した「iVOCALOID VY1t」が発売され[179]、2011年に現在の「VocaloWitter」(ボカロウィッター)に名称が変更された[184]。2012年11月には蒼姫ラピスの音声を使用した「VocaloWitter 蒼姫ラピス」が発売された[183]。
うた詠み575
セガが2013年7月に配信を開始したアプリで、五・七・五形式で言葉を入力することで正岡小豆と小林抹茶のライブラリの音声で俳句をよませることができる[130]。『iVOCALOID SDK』を利用した製品の第一弾[180]。
ボカロダマ
2013年9月に配信を開始した[185]ヤマハ自社開発のゲームアプリ[180]。ゲーム画面を流れる歌詞の一文字ずつが書かれた玉(ボカロダマ)を左右にスライドして、音階の割り当てられたパイプに重ねることで歌を歌わせることができ、ボカロダマを同じ色のパイプに重ねることで、収録曲の正しい音程で歌わせることを目指す[180]。音声はVY1を使用している[180]。
VOCALOID first
2013年11月に配信を開始した、音楽製作アプリ[186]。「iVOCALOID VY1」をはじめとする『iVOCALOID』シリーズがパソコン向けの製品に準じた本格的な音楽製作のスタイルに対応しているのに対し、本アプリは予め用意されたメロディー素材を組み合わせ、歌詞を入力することで音楽制作の経験が無くともVOCALOIDを用いた楽曲を制作できるようになっている[186]。VY1の音声を使用している[186]。
ニンテンドー3DS
大合奏!バンドブラザーズP
2013年11月14日に任天堂から発売された音楽ゲームソフトで、「アーチスト」というアバターに歌わせるための歌声合成エンジンとしてVOCALOIDの技術が用いられている[21]。ゲームに用意されている楽曲だけでなく、オリジナルの楽曲を作曲し、歌わせることも可能[187]。「アーチスト」はプレイヤーの顔写真と音声を元に作成することができ、音声にはプレイヤーの声の特徴が反映される[187]。
NetVOCALOID
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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