VF-1_バルキリー
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(副機)液体ロケットブースター×3
推力(主機)11,500kg×2
(副機)8,333kg
最高速度M2.81(高度10,000m)
M3.87(高度30,000m以上)
武装マウラー RoV-20 11mm対空レーザー機関砲×2(J)
ハワード GU-11 55mm3連ガトリングガンポッド×1
選択式装備AMM-1 対空対地ミサイル×12
UUM-7 マイクロミサイルポッド×4
RMS-1 大型対艦反応弾
他多数
オプションパックGBP-1S プロテクターウェポンシステム
SP スーパーパック

乗員人数1名(複座型あり)
搭乗者地球統合軍パイロット(A型)一条輝(A型、J型、S型、D型、VT-1)
ロイ・フォッカー(S型)
柿崎速雄(A型)
マクシミリアン・ジーナス(A型、J型、S型、D型)
ミリア・ファリーナ(A型、J型、S型、D型)
熱気バサラ(VT-1C)
ミレーヌ・フレア・ジーナス(J型)
ガムリン・木崎(J型)
ハヤテ・インメルマン(EX型)
ミラージュ・ファリーナ・ジーナス(EX型)

ゼントラーディ軍との第一次星間大戦において活躍する地球統合軍(のちの新統合軍)の主力可変戦闘機。航空機型のファイター、鳥型のガウォーク、人型のバトロイドの3形態に変形するVFシリーズの初代量産機であり、優れた汎用性と発展性から傑作機として高く評価されている。

外観は20世紀後半に配備された艦上戦闘機F-14 トムキャット」に似ているが、バトロイド形態の全高 (12.68メートル) に合わせて設定されたため[注 1]、ファイター形態時の全長も、デザイン元となったF-14(18.87メートル)より5メートル近く短縮されている。F-14と同じく、主翼には速度に応じて最適の揚抗比を得られる可変後退翼を採用。これは、飛行時に有用なだけでなく、ファイター形態時には主翼を後退させ垂直尾翼を折り畳むことで艦内収容における占有容積を減らし、バトロイド形態時には被弾面積を減らす利点もある。可変翼特有の空力重心の変化には、機体パネル(バトロイド形態時の胸部)上のスリットから境界層流を吸い込むことで調整を行う。推力偏向二次元ノズルで上下方向の機動制御を行うため水平尾翼は不要となった。操縦系には4重デジタル・フライ・バイ・ライト(DFBL)を採用し、機首は宇宙空間での生存率向上を図り、胴体から分離しサバイビングセルとして機能する。これは、パイロットの他に、高価で貴重なアビオニクスとデータの回収も目的としている。分離した機首は、ガンポッドのようにバトロイドの腕部に装着することが可能で、ファイターやガウォーク形態への変形にも支障なく、そのままの空輸送が可能となっている。腕部には小型の補助マニピュレーターが内蔵され、自機や友軍機の自動修理プログラムを備えている。

航空機用の小型熱核反応タービンエンジンの開発の成功により、機体内部に燃料を積載する必要の無くなったVF-1は、従来機や小型熱核反応タービンエンジンが未完成ゆえに肥大化がやむを得なかったVF-0に対し、本来の計画どおり、機体の大幅な小型化(F-14の70%の空虚重量にしてほぼ同等の推力)を達成している。機体の小型化は、機体の軽量化となり、高い推力重量比と運動性を与え、製造・維持を容易にし、それらのコストを下げ、また場所を取らないので、大型機よりも艦載機数を増やせる、などの様々な利点がある。その反面、機体内部に余裕や冗長性がほとんどなく、宇宙戦闘機でもありながら、宇宙用の推進剤を積載するスペースもほとんど無い。そのため、開発当初より、必要と用途に応じて、機体外部に各種外部兵装を取り付けるという形で、高い拡張性が与えられている。

主機の熱核反応タービンエンジン「FF-2001」は、VF計画の全領域性能の根幹となる新技術であり、推進剤を熱核エンジンにより高熱圧縮して噴射するため、空気が推進剤となる大気圏内では、理論上は、ほぼ無限ともいえる航続性能を可能にする(ただし、熱核反応剤の積載量の限界があるため、約700時間とされている)。機体内部に可燃物である燃料を積載しないので、案外被弾に強く、VF-1Dの一条機やVF-1Sのフォッカー機など、ファイターモードの胴体部(胸部)を敵機の攻撃で穴だらけにされても、不時着・帰還した例がある。一方、大気のない宇宙空間では水素などを強制推進剤とするが、変形機構に機内容積を圧迫されたため積載量は少なく、作戦行動時間は高機動モードで約1分、通常でも約10分ときわめて短い。そのほかの機動装備として、ガウォーク・バトロイド形態時の背部パックに液体ロケットブースターを3基、機首や脚部や主翼端など機体各所に姿勢制御スラスターを内蔵する。

エンジン出力および空戦能力はVF計画発動当時の通常戦闘機レベルだが、新素材導入により大気圏再突入も可能な耐熱性と機体強度を保持する。それでも陸戦兵器としては、火力・装甲の弱さとエンジンの大出力のアンバランスさが運用面のネックとして疑問視されていた。航空機としては破格の強度だが陸戦兵器としては脆弱、というVF-1のこの耐弾防御性能は『超時空要塞マクロス』オンエア当時の各種メディア[8]では公式設定としてあつかわれており、アーマードバルキリーも防御力および余剰出力問題の解決策であるとされていた。しかし、その後の続編で、バトロイド形態時には余剰推力を用いた「エネルギー転換装甲」で格闘戦への備えが図られているという設定が後付けされ、VF-1やその原機VF-0の装甲脆弱問題はなかったことにされており、この問題が言及されることはなくなった。

操縦系はバトロイド形態とファイター / ガウォーク形態とで系統が異なっている。ファイター / ガウォーク形態は従来の戦闘機に近い有視界コクピットで、メインコンソールは3つの全面モニターを備えたグラスコクピットになっている。またガウォーク形態用の腕部操作グリップが設けられている。劇場版に登場する後期生産型では一面モニターとなり、ほかに照準や敵機シンボルなどが視界に直接3次元投影されているほか、バトロイド形態も加えてサイドスティックスロットルレバーが腕部操作にも用いられる。

一方バトロイド形態ではキャノピーが防弾・防熱カバーに覆われ、視界はすべて頭部カメラ映像のモニター表示に頼ることになる[注 2]。コクピットが機体前面の真正面に位置するため、格闘戦闘では生存性に難がある。なお、バトロイド形態におけるパイロットの乗降・脱出の際は、頭部が前方に折れ曲がったあとにシートがせり上がるようになっている。

バトロイド形態ではほぼ人間と同様の動作が可能で、ブリタイ艦に乗り込んだマクシミリアン・ジーナス機がゼントラーディ兵から奪った軍服を着て歩き回り、そのままガウォークに変形する場面がある。
武装
GU-11 55mm3連
ガトリングガンポッド
ファイター形態では機体下部に装着した状態で、バトロイド / ガウォーク形態ではマニピュレータにより保持した状態でそれぞれ使用される[注 3]。携帯弾数は最大180発。ベルト状に繋がった弾薬(弾帯)が3本の銃身に巻き付くように配置されている。弾倉等の再装填機構が搭載されておらず、弾切れの場合は母艦に一時帰投し給弾しなければならない。ファイター形態では空力の関係から機関部がカバーで覆われているが、バトロイド形態では冷却のためにカバーが開き、むき出しになる。また、ガンポット下部にスリングがあり、バトロイド形態時に引き出して肩掛けすることもできる。砲口の上部にはセンサーが設置されている。威力は申し分無く、リガード等のゼントラーディ軍の兵器の装甲を貫通し、数発で撃破している。その他、劇中ではゼントラーディ艦に侵入した際、鈍器として格闘戦にも使用された。
RoV-20 11mmレーザー機銃
バトロイド時は頭部に、ファイター / ガウォーク形態では機体下部に位置する。機体のタイプにより門数が異なる(型式の項を参照)。
選択装備
左右主翼下の4 - 6か所のハードポイントに装備される。主翼下のパイロンはスウィベリング式であり、主翼の後退角が変化しても常に進行方向を向く機構となっている。劇場版では冒頭のタイタン近傍の戦闘で長射程対空反応ミサイル4発とUUM-7 2基を装備して出撃するように、混載も可能である。そのほか、地上防衛部隊用に各国の従来航空機用のミサイル・爆弾の装備も可能になっている。
AMM-1 対空対地ミサイル・アロー(最大12発)
空対空・空対地兼用で、のみならず、宇宙空間でも使用可能であり、交戦対象である異星人の兵力が未知数であったことから、破壊力はやや強力になっている。通常、VF-1の主翼下に、パイロン1つにつき3発ずつ、パイロン4つで計12発搭載される。アニメでは計18発搭載されているシーンもある。
UUM-7 マイクロミサイルポッド(GH32マイクロミサイル15発入りを最大4基)
実際のゼントラーディ軍の用兵思想が防御性に劣る歩兵や戦闘ポッドを大量投入するものであったことから、比較的破壊力の低い弾頭を多く装備することを念頭に追加開発された。前方に10発、後方に5発発射できる。ミサイルポッドは直方体状の形状から空気抵抗が大きく、基本的には宇宙空間専用の装備とされるが、スカル小隊など一部のパイロットが大気圏内で使用したことがある[9]
RMS-1 対艦大型反応弾(最大6発)
ボドル基幹艦隊との決戦に使用される大型反応弾。今では幻の武装として、「ファイター・ガウォーク」形態時の背部の両側に、(反応弾らしき大型ミサイルを)3発入りの縦長の大型ミサイルコンテナを2基、計6発を、搭載している画も、放映前に公開されていた。この大型ミサイルコンテナは、ファイター形態では空気抵抗となるので、搭載時は、宇宙空間で運用するか、「(ファイター・)ガウォーク」形態で出撃したものと考えられる。「(ファイター・)ガウォーク」形態専用装備と言える。

上記のほか、敵ミサイルの誘導を撹乱させて回避するためのフレアディスペンサーを備えている。なお、巨大異星人との至近戦闘を想定して開発されたにもかかわらずバトロイド形態での白兵戦装備はないが、ガンポッドのフレーム強度が高いため、上記の通り鈍器としての使用も可能である。
変形機構

変形操作はテレビ版と劇場版では異なる。テレビ版では「B」「G」「F」と書かれた形態選択レバーを下げることでバトロイド、ガウォーク、ファイターに変形する。ただし、これでは変形を行うためにはコントロールスティックから手を離す必要があるという欠点があった。劇場版ではHOTAS(Hands On Throttle And Stick)概念が導入され、一体型のコントロールスティックが変形操作も兼ねるようになっている。コントロールスティックを直立させた状態ではバトロイドに、斜めの状態ではガウォークに、倒した状態でファイターに変形する。変形は全自動で行われ、各可動部の高速パルスアクチュエータが熱核反応エンジンからのエネルギー伝導により、加減速G空気抵抗に逆らい機体各ブロックの移動・組み換えを行う。通常ファイターからバトロイドへの変形所要時間は約3秒。作中ではアクション演出により、ほぼ瞬間的(0.5秒以下)に変形するように描写されている。その一連の変形プロセスは以下のとおり。
エンジンブロック(脚部)の下方展張、エアブレーキスポイラーの作動により高速飛行からの減速を行う。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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