VAX
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DEC VAX
製造者:
ディジタル・イクイップメント・コーポレーション
バイト幅:8ビットオクテット
アドレスバス幅:32ビット
ペリフェラルバス:Unibus
=Massbus
Q-bus
XMI
VAXBI
アーキテクチャ:CISC仮想記憶
オペレーティングシステム:VAX/VMS
Ultrix
BSD UNIX
VAXELN

VAX (バックス) は、1970年代中ごろディジタル・イクイップメント・コーポレーション (DEC) が開発し販売した32ビットミニコンピュータのシリーズ、及び同シリーズの命令セットアーキテクチャ (ISA) を指すこともある。前述のように32ビットアーキテクチャだが、同時に16ビット時代の最も人気のあったモデルであるPDP-11の後継ないし代替を意識した互換命令などを持っている点では、PDP-11の拡張という面もあるアーキテクチャでもある。

直交性の高い命令セット機械語)とページング方式仮想記憶が特徴である。VAXには、キュー挿入/削除命令や多項式計算命令などといった複雑な処理をする命令があり、豊富なアドレッシングモードとの組み合わせといった特徴がある。

後の64ビット化では、RISCマイクロプロセッサのAlphaがデザインされた。OSのVMSはOpenVMSという名称となっている。
名称

"VAX"は本来 Virtual Address eXtension の頭字語である。その名が示すとおり、VAXは16ビットのPDP-11の32ビットへの拡張であり、その巨大なアドレス空間の管理に仮想記憶を使用した初期の商用コンピュータでもあった。初期のVAXプロセッサには「互換モード」が実装されていて、PDP-11の命令のほとんどをエミュレートできた。VAX-11 という呼称は PDP-11ファミリの継承者であることを強調したものである。後のバージョンでは互換モードが縮小され、PDP-11の命令は徐々にエミュレーションソフトウェアで実行されるようになっていった。

VAXという名称は、1970年代に Mick Atkinson が発明した掃除機のブランド名でもある。DECとの間で商標使用に関する法的なやりとりがあった。解決策として非競争協定が結ばれた。つまり、DECは将来に渡って家電製品に進出せず、VAXコーポレーションはコンピュータに進出しないという約束である。

英語圏のユーザーの間では、「VAXコンピュータシステム」の複数形として VAXen という言葉が使用された。ox(雄牛) の複数形 oxen からの類推であるが、DECは商標保護の立場から VAXen という表現を歓迎しなかった。
歴史VAX11/780。ベンチマークの基準とされたモデル。ワシントン大学にて

最初のVAXは VAX-11/780 であり、1977年10月25日にDECの株主会議で公開された[1]。この機種のアーキテクトはカーネギーメロン大学ゴードン・ベルが指導した Bill Streckerである[2]。その後様々な価格および性能、容量の派生機種が開発された。VAXは1980年代初期には非常に一般的になった。

VAX-11/780は時にMIPSの基準として扱われる。コンピュータの性能を示すMIPSという単位は、本来、単に実行される命令の個数を示すだけで、具体的にどのような仕事をこなせるのか、を反映しない。そこで、VAX-11/780でなんらかのベンチマークプログラムを動かし、それが示す性能を1MIPSとして、性能の基準とする、ということがしばしば行われたのである。1 VAX MIPS は VAX-11/780 の性能を意味し、あるコンピュータが 27 VAX MIPS の性能という場合、VAX-11/780 の約27倍の性能であることを意味する。この目的で実際によく使われたベンチマークプログラムは当時ポピュラーだったものの一つであるドライストーンで、こんにちでも時折使われている単位DMIPSは、あるマシンのドライストーンの成績の値を、VAX-11/780のドライストーンの成績の値1757で割った値である。他にVAX-11/780を性能比較の基準として今も使っている例として、BRL-CADベンチマークがある。これはBRL-CADというソリッドモデリングソフトウェアに含まれる性能解析スイートである。

DEC周辺では VUP (VAX Unit of Performance) という用語が使われた。関連用語として cluster VUP が VAXcluster の全体性能を示すのに使われた。

VAX-11/780にはLSI-11が内蔵されており、マイクロコードのロード、ブート、診断などに使われていた。その後の機種では内蔵していない。そのため780のユーザーはVMS以外にLSI-11上でRSX-11MやRT-11といったOSを動作させることもできた。VAX 8350 のフロントカバーを外したところ

その後VAXは様々な実装がなされた。最初のVAXはTTLで実装されており、4×5フィートの筐体が1個のCPUの実装に使われた[3]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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