VANISHING_VISION
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『Vanishing Vision』
Xスタジオ・アルバム
リリース1988年4月14日
録音1987年 - 1988年
Echo House
Magnet Studio
ジャンルヘヴィメタル
スピードメタル
グラムメタル
ヘアメタル
フュージョン
時間42分03秒
レーベルエクスタシーレコード
プロデュースX
チャート最高順位


週間19位(オリコン

X アルバム 年表

Vanishing Vision
(1988年)BLUE BLOOD
(1989年)

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『Vanishing Vision』(ヴァニシング・ヴィジョン)は、日本のバンドX(現・X JAPAN)の1枚目のアルバム。
解説

1988年4月にエクスタシーレコードより発売。当初はLP (EXL-001) で発売され、後にCD (EXC-001) 化と5000枚限定のピクチャーレーベル盤(LP)も発売された。ピクチャーレーベル盤には「Stab Me In The Back」の1988年の京都スポーツバレーでのライブ音源が収録されたソノシートが付属しており、後に『PERFECT BEST』に収録された。

初回盤CDはアメリカ製で、ミニ写真集が付属していた。歌詞カードはLP盤のものを流用している。また、2000年9月13日にはワーナーミュージック・ジャパンより復刻盤(XXC-1001)が発売されたが、リマスタリングはされていない(現在は廃盤)。
録音

1987年8月にビデオテープ「Exclamation」を配布した頃から、アルバムのレコーディングを考えていた。しかしオリジナル楽曲のクオリティの低さ・メンバー達の実力不足から、なかなか踏み切れなかった[1]

最初はYOSHIKIのピアノ・ドラムパートのレコーディングが行われたが、予定時間がオーバーした[1]。ドラムパートの録音は1日で終わらせる予定だったが、最終的に準備込みで4日・正式な録音に至っては2日間のみだった[2]。1回録り終わってベースまで重ねて、TAIJIが気に入っていたのに、YOSHIKIが気に入らずに没にして、最初からやり直したこともあった。HIDEは腱鞘炎になってしまい、TOSHIは声が出なくなる等終始スランプでハマった作業だった[1]

常に「今日中に録り終えないと明日のスタジオ代をまかなえない」という状況でやっていたので[2]、全ての作業が終わった後にYOSHIKIは「レコーディングなんて嫌いだ」とハッキリ言い切った[1]
音楽性とテーマ

アルバムタイトルは、「幻影が消えていく」という意味を込めてあり、当時は色物バンドと見られていた今までのXの表面的なイメージが消えて、新たな核が見えてくる状況を表現した[1]

メンバー毎に異なる様々なコンセプトが用意された[1]

YOSHIKI「人間の生き方・感情・喜怒哀楽の部分とドラマ性を持った映画の様なアルバム」[1]「人間の悲しみ・錯乱状態・発狂した時のイメージを切り取る」「ノリを失わずに、メロディアスに作る」[3]

HIDE「聞き流すのではなく、じっくり詞を見ながら聴かせ、聞き終わった後に体を重くする」[1]

TOSHI「全体的にも、1曲毎にも、涙を流せて、胸も打たれるドラマ」[1]

PATA「速い曲から踊れる曲まで、バラエティに富んだアルバム」[1]

TAIJI「ドラマティック・喜怒哀楽」[1]
アートワーク

ボンデージ風の服を着た女性(バストアップのみで顔は見えない)が両腕を有刺鉄線で縛られ、背後から片方の胸(両胸とも乳輪が露出している)を揉まれたうえに、胸の中央にナイフで「X」の文字の大きな傷を付けられているという、過激なグラフィックが描かれている。

画家の西口司郎によるこのグラフィックは、収録曲「SADISTIC DESIRE」の歌詞をモチーフにし、メンバーが原案を出したうえで頼んだものである[1]

iTunesをはじめとする音楽配信サイトでは、白地に「X」の文字が黒く書かれているシンプルなデザインに変更されている。
批評

YOSHIKIは「演奏はまだまだ未熟だし、楽曲そのものも納得いかなかった面もある。だけど、メンバーがそれぞれ各自思い入れを込めて、音を出した。1音1音に思い入れがある」[1]「最初で最後の、音楽だけに真正面から向き合ったアルバム」[2]と振り返っている。
チャート成績

初動1万枚以上と、当時のインディーズとしては記録的なセールスを上げ、インディーズ・レーベルながらメジャー・チャートにランクインを果した日本史上初のアルバムとなった。最終的な累計売上は41万枚を超えた[4]
帯のキャッチコピー
LP (EXL-001)
五感を切り裂くXの狂気! 待望のファーストアルバム・リリース
CD (EXC-001)
メタルインディーズ最大の売上げを誇った怒涛の名盤 ついにCDでリリース
CD (XXC-1001 及び再発版EXC-001)
五感を切り裂くXの狂気! インディーズ最大の売上げを誇る怒涛の名盤CDで復活
収録曲CD全編曲: X。
#タイトル作詞作曲時間
1.「DEAR LOSER」 
TAIJI2:27
2.「VANISHING LOVE」YOSHIKIYOSHIKI6:01
3.「PHANTOM OF GUILT」TOSHITAIJI5:18
4.「SADISTIC DESIRE」YOSHIKIHIDE6:09
5.「GIVE ME THE PLEASURE」YOSHIKITAIJI & HIDE2:57
6.「I'LL KILL YOU」YOSHIKIYOSHIKI3:29
7.「ALIVE」YOSHIKIYOSHIKI8:24
8.「KURENAI」YOSHIKIYOSHIKI5:46
9.「UN-FINISHED...」YOSHIKIYOSHIKI1:32
合計時間:42:03

曲解説
DEAR LOSERこのアルバムのオープニングを飾る
インスト曲。TAIJIのコンセプトは「これから始まる過激なサウンドを予告するオープニングナンバー」「何かが徐々に襲ってくるかんじ」を志向し、斑尾高原にメンバーが合宿に行った時に目にした風景から思いついた[1]。YOSHIKIのイメージは「雄大な原野に大風が吹き荒れて、そこからXのメンバーが生まれた」と出した[1]サンプリングによるヒューマンボイスで凄みを演出した[1]。後半部のパームミュートを生かした単音メロディのアルペジオパートはHIDEが作ったもので、レコーディングでも当初HIDEが弾く予定であったが、アルバムのレコーディング中に腱鞘炎を患い、「このフレーズを弾くのはしんどい」という事で、PATAが代わりに弾く事となった。1987年から1992年まで演奏(S.E含む)。アルバム発売前後のライブでは、オープニングS.Eとして使用されていた(1987?1988年頃は直に演奏していたこともある)。1992年の『破滅に向かって(2日目)』においても、オープニングとして使われた。

VANISHING LOVEYOSHIKIは「ジェラシーを抱いているけど、それを表さないで強がっている。でも、やっぱり最後には本音をさらけ出してしまうという人間の弱さ」をメインテーマにした[1]。メロディの構成は「基本はキャッチー」「イントロはパワーメタルだけど、途中できれいなツインギターが流れて、メロディも雄大になる」「速い中にも難しいオカズを数多く入れて、注意深く聞くとびっくりする」様にしている[1]。歌詞は英語と日本語が混合している。TOSHIは「日本語訳した後に通して聞くと、面白おかしい内容。ただ暴力的なだけじゃない」と評している[1]。ギターパートも「ツインギターから始まって、ソロになった後、またツインギターになる」という構成だったため、HIDEは速さよりもメロディを重視した[1]。TAIJIは「今まではルート弾きの速い曲が多かったが、この曲では、ツインギターによる2つのメロディ・ボーカルのメロディの中間に裏メロディみたいなフレーズを入れることができた」と気に入っている[1]。1987年から1992年まで演奏。アルバム発売前後のライブでは、オープニングナンバーとして演奏された。だが、メジャー1stアルバム『BLUE BLOOD』発売以降は演奏機会が減り、1992年『破滅に向かって(2日目)』で演奏されたのが最後である。なお、ライブではショートカットバージョンで演奏されることが多かった。

PHANTOM OF GUILTTOSHIは「人間の心の葛藤の世界」を歌詞にしている[1]。今までのXでは作られなかった16ビートのフュージョンらしい、ダンサブルなノリの曲[1]。TAIJIとYOSHIKIはなるべくへヴィメタルらしい演奏はしない様に心掛けた。しかし、「やはり俺達は何やってもXだ」と2人は思った[1]。1987年から1992年まで演奏。「EASY FIGHT RAMBLING」の登場後は演奏機会が減り、「VANISHING LOVE」と共に1992年『破滅に向かって(2日目)』以降は演奏されていない。

SADISTIC DESIRE1988年から1996年まで演奏。横須賀サーベルタイガーの楽曲「SADISTIC EMOTION」を、Xの楽曲としてリメイクした[1]。アルバムの収録曲を決める時に、HIDEが候補として出したら、そのままやってみることになった[1]


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