VAIO
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、パーソナルコンピュータについて説明しています。同製品を製作している電機メーカーについては「VAIO (企業)」をご覧ください。

VAIO
VAIO Fit 15E(VAIO株式会社に移管後のもの)
種類パーソナルコンピュータ
所持会社VAIO株式会社
使用開始国 日本
主要使用国 日本
使用開始1996年
関連ブランドVAIO Phone
旧使用会社ソニー
ウェブサイトhttps://vaio.com/
テンプレートを表示

VAIO(バイオ)は、PC/AT互換機に準拠しWindowsを搭載したパーソナルコンピュータのシリーズブランドである。シリーズとして、デスクトップ型、ノート型、PDA型(タブレット、ネットブック)が販売された。

ソニー1996年から2014年6月まで販売し、2014年7月からは切り離されVAIO株式会社に移管されているためソニー以外製品、例えば台湾製のものなどにも冠されている。登録商標もソニー株式会社からVAIO株式会社に移管されている。
概要

由来は「Video Audio Integrated Operation」の頭字語とされ、AV機能を重視している[1]。2008年7月には「Visual Audio Intelligent Organizer」と再定義された[2]。また「VAIO」のネーミングおよびロゴデザイン後藤禎祐によるものである[3]

なお、ロゴの意匠のうち「VA」は正弦波アナログを、「IO」は10デジタルを意味しており[1]、「アナログとデジタルの融合」というスローガンを掲げている[1]。さらに、ノートパソコンの起動時に再生されるサウンドは、プッシュホンの文字対応(w:Telephone keypad#Letter mapping)で「V」「A」「I」「O」を押下したときのDTMF音をモチーフとしている[1]
特徴

ソニーは1980年代に展開していた家庭向けパソコン「HiTBiT」を撤退させていた(それ以前にはソニーはワークステーション「NEWS」を展開していた)ため、VAIOは二度目の家庭用パソコン事業のブランドとなる。そのため、PC市場への再参入にあたり当時のソニー社長である出井伸之は「普通のパソコンではソニーが作る意味がない」と考えていた[4]。そのため、VAIOシリーズでは以下のように他社製品との差別化が図られてきた。
AVエクスペリエンスの重視

ソニーは元々、放送分野などの業務用機器に強いメーカーであり、ブランド名「VAIO」の意味の通りAV機能を重視した製品を目指した[5]。そのため、初代VAIOとしてAV編集に必要なスペックを持ったデスクトップ機「PCV-T700MR」を投入している。ただし、自作パソコンと他社製AV関係機器の組み合わせに対して「圧倒的に優れていた」わけではなく、当初は後段のモバイルパソコンとしての特徴の方が目立っていたとの声もある[5]

その後、1999年に誕生した「VAIO R」シリーズは「テレビ録画パソコン」の先駆けと言われる[5]。事務処理向けの「道具」としての側面が強かったパソコンに新たな道を開いたという意味で、VAIOはPC市場に新たな流れをもたらしたとされる[4]
モバイルとデザインVAIOは目立つ位置に大きくロゴがあしらわれている(VAIO VPCZ119FJ/S)

1997年に登場したノートPC「VAIO NOTE 505(PCG-505)」以降、VAIOといえば軽量・薄型のモバイルノートパソコンというイメージが定着した[5][6]。また、ただ単に軽くて薄いというだけでなく、マグネシウム合金を用いたバイオレットカラーのデザインは、圧倒的な存在感も生み出した[5][6]。当時のPCの筐体は白もしくは黒・グレー系の色で占められていたが、VAIOでは意図的にバイオレット(紫色)を用いた。理由には、「バイオ」という愛称の語感を"violet(=菫色)と関連付けて名前と製品の特徴を覚えてもらうことと、基本機能では差別化が困難だったPC市場にあって、売り場で目立つようにすることが狙いだったともいわれる。この特徴的なデザインは、パソコン業界でVAIOというブランドが確立される足がかりとなった[6]

また、VAIOが「デザインでの差別化」で成功したことは他社製品にも影響を与え、それまでは「傷が目立つ」「傷がつきにくい強度の確保が必要となりコストが高くなる」といった理由で地味な色使いが多かったノートパソコンのデザイントレンドに変化をもたらし、いわゆる「銀パソ[7]」が広まるきっかけとなった[6]。その後のバイオノートC1(1998年)やUシリーズ・type U(2002年-2008年)、type P(2009年)はその小型さが、バイオC1・バイオノートGT・NVシリーズ(2000年-2002年)は、今まで無かったPCの利用法をそれぞれ実験的に提案するエポックメイキングとなった。デスクトップモデルでは2000年から展開された液晶モニタと本体一体型のLシリーズ(バイオLX→type L)・Jシリーズや、MDドライブを内蔵したバイオMX、円柱型のテレビサイドPC TP1など独創的なデザインのモデルで他社製品と差別化していた。
その他

フラッシュメモリーメモリーカードスロットとして、1999年から殆どの機種で自社規格メモリースティックのスロットを内蔵してきた。2005年に登場した「VAIO type T」でメモリースティック・SDメモリーカード兼用リーダーを内蔵し、2013年に登場した「VAIO Fit」よりメモリースティック非対応となった。

富士通レノボNECNECパーソナルコンピュータ・旧IBM)・コンパック(現ヒューレット・パッカード)のようにOA業務用途のビジネス向けデスクトップPCでシェアを握るメーカーとは対照的に、ソニーではNEWSの終息以降、ベーシックな性能のみが求められコスト競争も厳しいビジネス向けパソコンには消極的だった。しかしパナソニックLet's noteなどビジネスユースのノートパソコンがシェアを伸ばしたこともあり、2004年10月にVAIOの特徴であるエンターテインメント系ソフトウェアを排除し、本体カラーをVAIO初のブラックとした14.1インチ液晶ノートのtype B(後のBシリーズ)を発売。それ以外のVAIOも法人向けモデルの販売をソニースタイルやソニーショップで開始した。2007年にはボディの耐久性を重視したB5サイズノートのtype G(後のGシリーズ)を発売し、以後ビジネスユースモデルとして展開されたが2010年春モデルで終息した。

2005年にVAIO事業部門の再構築に伴い、オーナーメイドモデルと市販品のうちハイエンドシリーズ機種の製造およびVAIO製品群の開発拠点は長野県安曇野市にあるソニーイーエムシーエス長野(安曇野)テックに置かれるようになり、市販モデルのハイエンドではない機種は、台湾鴻海精密工業の中国にある工場でEMS製造されるようになる。

初期のモデルではシステムが不安定であるとの評判もあった[5]。これは、PC事業に再参入したソニー側の開発ノウハウ不足により、OSWindows)のシステムリソース不足を原因にしている。Windows XPからリソース管理が改善されたこともあり、現在では問題は起きにくくなった。

当初はMicrosoft Officeがミドルレンジ以外のモデルではプリインストールされない傾向があったが、Windows XP以降に発売された店頭販売モデルでは、Microsoft Officeのプリインストールモデルが一部の廉価機種を除いて定着化した。

同程度のスペックを備えた他社製PCよりも高価格であってもデザイン性から好んで用いるユーザーもいる。
ラインアップ

現行並びに過去に発売されたシリーズについては、VAIOの機種一覧を参照のこと。
人気と販売数

強力なAV機能と個性的なデザインを採り入れたVAIOは大きなブランドを確立した。日経BPが毎年行っている「パソコン満足度ランキング」では、PCブランドを対象とする調査で継続的にトップの認知度を有している[8]。VAIOノートを中心に熱狂的とも言える支持をあつめ[6]、日本のみならずヨーロッパ韓国でも高い人気があった[9][10]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:83 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef