UHFアニメ
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これをきっかけに、一部の独立局で深夜帯を中心とした新作テレビアニメの放送本数が徐々に増加することになる[4][5]。同作はラブストーリーを含むいわゆる架空戦記と呼ばれるジャンルの作品であった。

2002年に『新世紀東京国際アニメフェア21』(翌2003年以降の東京国際アニメフェア)が開催された頃からは、独立局でも深夜帯のアニメ番組が増加[6]。2003年からは、独立局に加えて全国各地のキー局系列局でも放送する『アニメ魂』枠が2008年7月期までの約5年間にわたって展開され[6]、全年齢向けのライトノベルから成人向けのアダルトゲームを原作とするものや、さらには原作を有さないオリジナル作品に至るまで、幅広いジャンルのアニメが放送された。

2005年度には「UHFアニメ」全体の4分の1以上をPCゲーム美少女ゲームなど)原作の作品が占めていた[7]

2000年代後半に入ると、空気系や日常系と呼ばれる『らき☆すた』などの恋愛やバトル要素がない作品などが次々とヒットした[3]

2010年代には音楽[注釈 3]を題材にした『ラブライブ!』・『BanG Dream!』・『戦姫絶唱シンフォギア』、異世界やそれに準じるVR空間を主たる舞台とする『ソードアート・オンライン』(以下、SAOと略す場合あり)・『転生したらスライムだった件』などが躍進(いわゆる「なろう系」など[8])。2020年代もこの傾向が続いている。

また、放送時間が5 - 15分程度のいわゆる短編アニメ[注釈 4]として放送されるものも少数ながら存在する。

なお、「UHFアニメ」は放送局が製作に参加していない番組が多いことから、在京キー局および同系列局やNHKが製作に関与して放送する番組よりも表現の自主規制に比較的寛容な傾向があり、放送される内容の基準は製作者や放送局ごとにまちまちである[注釈 5][9]。アダルトゲームなどの過激な描写(エログロ)が盛り込まれた原作を基にした作品も少なからず放送されている[4][6]。そのため、作品によっては過激ないし特徴的な描写が視聴者から問題視され、BPO(放送倫理・番組向上機構)での審議がなされたり、放送当時に発生した事件・事故の影響を受けて放送中止に追い込まれたりしたケースも過去に発生したことがある(詳細は後述)。テレビ放送に影響するトラブル(クレームなど)を防止するため、各放送局の判断で内容に修正が加えられる場合があるほか、DVDなどのビデオソフトの販売促進を狙うことも兼ねて、あらかじめ劇中の描写に修正が施された状態でテレビ放送がなされるケースも珍しくない[注釈 6][注釈 7]
放送時間帯「東京メトロポリタンテレビジョン#アニメ番組」も参照

草創期から現在に至るまで深夜帯(おおむね0時台以降)での放送が主流である。前述の通り、独立局はキー局および同系列局と比べて表現の自主規制の制約が比較的緩く、かつ深夜枠の放送料が比較的安価であることによる[6][10][11]。深夜帯の番組を充実させたい独立局側と、制作・放送コストを安く抑えつつ多様なジャンルの作品を放送したい製作委員会側の双方にメリットがあったことが、「UHFアニメ」が拡大した要因にもなっている。

後述の経緯により、TOKYO MXはアニメや関連する情報番組の放送に熱心であり、ゴールデンタイムやプライムタイムを含む0時以前の時間帯にも積極的に深夜帯向けのアニメを放送している(TOKYO MXと同時ネットを行う機会が多いBS11も同様)[10][12][13]。その他の独立局でも、おおむね22・23時台に関連情報番組を含んでアニメを放送しているケースが一定数見受けられる。

この他、朝夕を中心とした時間帯(全日)での放送を前提とした児童向けの作品も見受けられるが、制作・放送の実績は限定的かつ散発的な水準に留まっている。1996年の『わんころべえ』がTOKYO MX単独で放送された後(後に一部の独立局でも遅れて放送)、2006年7月期に『まもって!ロリポップ』が「朝夕の時間帯向けのUHFアニメ」として放送された[注釈 8]
テレビアニメ以外での展開

灼眼のシャナ』・『魔法少女リリカルなのは』・『Fate/stay night』・『涼宮ハルヒの消失』など、「UHFアニメ」として放送された作品の続編・番外編・総集編映画化される機会もある。必ずしも日本全国でロードショー上映されるとは限らないものの、中には実写作品と肩を並べるヒットを記録する作品もある。『涼宮ハルヒの消失』は、上映開始から2か月で7億2千万円の興行収入を計上した[14]。なお『なのは』と『Fate』はそもそもアダルトゲームを原作としているが、テレビアニメ化以降はそのイメージから脱却するような展開を行っている。また、テレビ放送の代わりに非映画コンテンツ(ODS)として、短編ないし中編程度のエピソードの劇場公開もしばしば行われている(具体例は同記事を参照のこと)。

主題歌などがアニメソングではなく楽曲として注目を浴びる機会も年々増えている[2]。前述の『ラブライブ!』はテレビアニメ化後に各種メディアでしばしば紹介され、リリースしたCDがオリコンランキングの上位にたびたび入るようになり、2015年4月22日発売の『ミはμ'sicのミ』は同年5月4日付の週間シングルランキングにて初登場5位につけ、2013年4月発売の『No brand girls/START:DASH!!』(最高5位)からμ's名義のシングルが「10作連続で上位5位」を記録[15]。さらに2015年5月27日発売のベストアルバム第2弾『μ’s Best Album Best Live! Collection II』が週間アルバムランキング初登場1位という快挙を達成した[16]。また、オリコン顧客満足度ランキングによるとスマートフォン向けソーシャルゲームにおいて『ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル』が2年連続で男女共に総合満足度1位を獲得した[17]。さらに劇場版『ラブライブ!The School Idol Movie』も観客動員数200万人を突破し、興行収入が28億円以上に達する大ヒット作となり、民放で放送されたテレビアニメとしては異例のNHK Eテレでの実質再放送も実施された[18][19]。この他、『ラブライブ!』や『魔法少女リリカルなのは』、『WHITE ALBUM』といった作品の主題歌がNHK紅白歌合戦や民放の各種音楽番組で歌唱されることもある。

2019年4月期に第1期(竈門炭治郎 立志編)が放送された『鬼滅の刃』は、従来は「UHFアニメ」として放送された一つのテレビアニメ[6]に過ぎなかったが、2020年10月に公開された『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』が日本歴代興行収入1位を記録するなどの世界的な人気作となり[20]、官僚からも言及を受ける[21]などの社会現象を巻き起こした。


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