UFO研究家
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この項目では、各国政府機関や民間団体によるUFO研究の概略・研究史について説明しています。

代表的なUFO目撃事例やUFOの解釈については「未確認飛行物体」をご覧ください。

UFO研究(ユーフォーけんきゅう、UFO学、ユーフォロジー、Ufology)とは、未確認飛行物体(UFO)の数々の報告とその証拠について研究する人々の様々な成果を指すための表現である。この場合、未確認飛行物体とは本来の意味での航空軍事用語ではなく、主として地球を訪問する宇宙人の乗り物(エイリアン・クラフト)と一般的に推定されている正体不明の飛行物体という意味であり、超常現象用語である。本項目ではそのような意味で説明される。

「UFO」と「-logy」という言葉を組み合わせて造語された。
概要

UFO研究は、今までのところ大学でアカデミックな研究分野として確立しておらず、Web of ScienceScopusなどの学術論文リストにはない。しかし、長年に渡って様々な調査が行われてきている。例えば、アメリカ合衆国カナダイギリスフランスベルギースウェーデンブラジルメキシコスペイン、そしてソビエト連邦の政府や研究機関などが、時としてUFOの報告について調査してきたことが知られている。一番知られている研究は、恐らく、1947年から1969年までアメリカ空軍が陣頭指揮したブルーブックプロジェクトや、その前段階のサインプロジェクトやグラッジプロジェクトだろう。他にも有名な調査として、ロバートソン委員会(1953年)、ブルックリン報告(1960年)、コンドン委員会(1966年-1968年)、「緑色の火の玉」に関するツインクル調査プロジェクト(1948年-1951年)、スターロック委員会(1998年)、フランスの未確認航空宇宙現象(unidentified aerospace phenomena)研究グループ・ゲイパン(GEIPAN,1977-)やコメタ(COMETA, 1996-1999)などがある。これらのうち、空軍などの政府機関の研究は防空上必要な本来の意味での航空軍事用語としてのUFO研究であり、エイリアンクラフトなどの超常現象用語のUFOではない。両者を混同しないことが大切である。

アメリカ、イギリス、フランスのように、航空軍事用語としてのUFOの存在を認め、記録している国は多い。これは国家の防空上当然のことである。しかしながら、それは超常現象としてのUFOを該当政府が認めていることにはならない。両者を故意に混同して読者の混乱を狙った出版物があるので注意が必要である。航空軍事用語としてのUFOの定義は明確である。

ただし、UFOが一体何なのか、ということについては、研究者ごとに様々な見解がある。正体が不明なのであるから解釈のしようがないのであるはずだが、さまざまな憶測に基づく出版物が存在する。
概要

政府機関の調査は、本来の意味での「未確認飛行物体」の研究である。未確認飛行物体の記録が多数あるということは、空軍の警戒体制が不完全であることを示すため、該当国の政府にとっては都合が悪い。そのため、以下に示したような各国での公式研究がある。
イギリスの政府調査

イギリス国防省1967年より公式に調査を行いその後同様の報告書を発表したが、同じくその存在自体については否定していないし肯定もしていない。またその後1980年に、ロンドン郊外にあるNATOのベントウォーター基地周辺で基地関係者や近隣住人によって目撃されたUFOについても、イギリス空軍が正式な調査報告をしその証言自体を認めているが、「どこから飛来したか」という点については結論を出せていない。そもそも未確認の飛行物体であるから、どこから飛来したかはわかるはずがない。基地周辺で飛行した研究中の新型軍用機であった場合、その正体は軍事機密に属し組織的に隠蔽される。

イギリス国防省にはUFO係の部署があったが、1968年を最後にまともな調査は行われなくなっており、主に電話電子メールのUFO目撃情報に対応するだけとなっていた。この部署は、2009年に経費削減のため閉鎖されている[1]
フランスの政府調査

2007年4月のこと、フランス国立宇宙研究センター(略称CNES。いわば米国のNASAのフランス版)が、未確認飛行物体としてフランス国民から寄せられた目撃証言や写真などの情報を、CNESのウェブサイト上で公開した[2]。CNESの発表によると、公的機関が未確認飛行物体に関して保管してきた情報を一般の人々に公開するのは世界初であった[2]。(ちなみに英語UFOは、仏語ではOVNI オヴニと略す[2])。

CNESには「未確認飛行物体研究所(GEIPAN)」が存在しており、同研究所所長のジャック・パトゥネは、「科学者やUFOマニアたちの研究に役立ててもらうために情報公開に踏み切った」と述べた[2]。2007年4月の段階で、同ウェブサイト上で約400件の情報が閲覧できるようになっていた。なお、この公開はあくまでも研究目的のものであるので、そこには目撃者から直接送られてくるスクープ情報などの、曖昧なものは公開されていない、とされた[2]。(同情報公開については ⇒www.cnes-geipan.frからアクセス可)

GEIPANが1954年に設立されて以来、CNESや警察に提出され保管されている情報はおよそ1600件であった(2007年時点)。関連証拠品は実に10万件に及ぶ。フランスの知識階級が読む高級紙として知られる『ル・モンド』によれば、CNESの保管情報の構成は以下のとおりであった。

約9%は立証できる現象(人工衛星隕石の落下、無人航空機等)[2]

33%はおおよそ説明のつく現象[2] (大気中のプラズマや球電現象、風船)

30%は信憑性の薄い報告(偽の情報、証拠不十分 等)[2]

つまり、残る28%が「同定されていないと分類される飛行物体」(すなわちフランス語でOVNI=英語でUFO)であった[注 1]。なお、「正体不明」とは文字通りの意味であり正体が不明な飛行物体であり、エイリアンクラフトであるという意味ではない。
米国による調査

アメリカ空軍の公式のUFO研究部門プロジェクト(→#プロジェクト・サイン)が1949年に行った調査では、UFOの存在を肯定する明確な証拠はなかったものの、目撃されたUFOの20%が「説明不能」であったとされる。続くプロジェクト(→#プロジェクト・ブルーブック)が1948年から1969年まで未確認飛行物体に対する調査を行なった。調査総数1万2千618件のうち、「データ不足」を含め「正体不明」(UNKNOWN)とされたものは全体の4パーセントに当たる501件であった[3]という報告がされている。米国の領空を侵犯する国籍不明の偵察機は米国空軍に発見されるのを防ぐため、スクランブルの気配を感じると確認される前に逃亡する。偵察機が逃亡に成功すると、確認できなかった飛行物体が最終的にUFOとして米国空軍の記録に残る。これらが「正体不明」の実体の1つであると考えられる。またアメリカ空軍は、1967年コロラド大学のエドワード・コンドン教授に依頼し、UFOに関する調査を開始した。(→#コンドン委員会1969年には報告書(通称「コンドン・レポート」)がまとめられ、「『UFOが地球の外からやってきた』という説には、何の証拠も認められない」という結論に達したが、その存在自体については言及していない。航空軍事用語の本来の意味での「未確認飛行物体」は存在するし、501件の公式記録にも残っている。

こうした公式調査の結果に対しては、民間のUFO研究者や研究組織、あるいは空軍内部からの批判もある。また、当時の米国はソ連との冷戦の最中であり、UFOの存在は一般大衆に社会的不安を与えかねないと判断されていた。そうした歴史的状況の中でなされた調査であった事を考慮する必要がある(→#米国のUFO調査の歴史で詳述)

2020年、米国防総省は「未確認飛行現象タスクフォース(UAPTF)」を省内に設置した。

2021年、米国連邦政府機関(国防情報局国家安全保障局中央情報局国家偵察局第16空軍海軍情報局)は、UAPが「中国が開発する新型無人兵器、自律型AI兵器」である可能性も含め、その正体や物体、現象を検知し分析する調査部会「空中物体識別・管理・同期グループ(AOIMSG)」をUAPTFを継承して設置した。[4]

米国のインテリジェンスコミュニティーだけでなく、エネルギー省の研究機関やDARPA,IARPA、その他Palantirといった民間機関とも情報解析を連携、協力する。ファイブアイズに所属する英国やカナダとも情報を共有する。

2022年10月21日、アメリカ航空宇宙局は、未確認航空現象(UAP)を調査&分析する研究チームを正式に立ち上げた[5]。メンバーは16人。大学や民間研究機関の科学者に加え、データ解析やAI開発の専門家、宇宙開発事業を手掛ける企業や元宇宙飛行士などから選出する。研究チームは約9カ月間、民間機関などが収集してきたデータなどを分析していく。研究部門のトップとして天体物理学者のデービッド・スパーゲルが起用される。

2022年7月、米国防総省はAOIMSGの取り組みを拡大し、発生しているUAPの検知や収集をより迅速に行う「全領域異常解決局(AARO)」[6]を設置した。

対象の領域は

空域

宇宙

水中(海底)

局長および科学部門の責任者としてカーク・パトリック博士が就任する。飛翔体の分析や追跡、検知には最先端の赤外線センサーや合成開口レーダー、電波観測など様々なセンサー群とデータサイエンス、物理学、大気化学などを結集し異常な現象を分類し記録する。なお人間由来の既知の現象や航空技術などが確認された場合には軍事委員会に報告される。
米国のUFO調査の歴史


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