The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ
The Beguiled
監督ソフィア・コッポラ
脚本ソフィア・コッポラ
原作トーマス・カリナン
『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』(ビガイルドよくぼうのめざめ、The Beguiled)は、2017年のアメリカ合衆国のドラマ映画。監督はソフィア・コッポラ、出演はコリン・ファレルとニコール・キッドマンなど。
トーマス・カリナン(英語版)が1966年に発表した小説『The Beguiled』を原作としている。この小説は1971年にすでに、監督ドン・シーゲル、主演クリント・イーストウッドで映画化されている(原題は小説と同じく『The Beguiled』、日本語タイトルは『白い肌の異常な夜』)。シーゲル版が脱走兵の視点から物語を描写していたのに対し、本作は女性たちの視点から物語を描写している[1]。
本作は2017年5月に開催された第70回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品された[4]。パルム・ドールの受賞こそ逃したが、ソフィア・コッポラが監督賞を受賞するなど高い評価を得た[5]。
ストーリー学園のロケ地(米国ルイジアナ州、メイドウッド・プランテーションハウス(英語版))
1864年、南北戦争3年目を迎えた、南部諸州側のバージニア州。人里離れた森の中にあるファーンズワース女子学園には、実家に帰ることができない少女たちが5人、教師のエドウィナ、校長のマーサ、計7人の白人女性が密やかに暮らしていた。少女の一人エミリーは、キノコ狩りの途中、脚に重傷を負った北軍の伍長ジョン・マクバニーを見つけ、学園に連れて帰る。彼女たちは戸惑いながらも、キリスト教の教えに従い「敵」であるマクバニーに手厚い看護を施し、南軍には通報せず、脚が治ったら立ち去らせることとした。
長らく女たちだけで暮らしてきたため、皆、ひさしぶりに一緒に暮らすことになった「男」であるマクバニーに並々ならぬ関心を持った。心ならず独身のまま教師となり、いわゆる「オールドミス」になってしまっていたエドウィナや、早熟な年長の少女アリシア、まだ幼い少女たちの誰もが、いつになくいそいそと念入りに身なりを整え、彼に親切にした。女たちは、エドウィナも、アリシアも、さらには幼い少女たちまで、何かと口実をつけては、他の女を出し抜いて自分だけマクバニーに接近しようとするのだった。そんな状況を楽しんでいたマクバニーは、やがて居心地の良さを感じるようになり、一人で歩けるほどに脚が回復した後も、庭番として学園に残ることを望む。そしてマクバニーは保身のために女全員に気に入られようと、言葉巧みにエドウィナと駆け落ちを約束し、一方でアリシアにも接近し、マーサにも色目を使った。
マクバニーがエドウィナの部屋に行くと約束した夜、彼女は新品のネグリジェと香水を着けて、心ときめかせながら彼の訪れを待っていた。しかし、物音がするアリシアの部屋に指導に行くと、まさにアリシアとマクバニーが事に及ぼうとしていた。動揺するエドウィナをマクバニーは宥めようとするが二人は揉み合いとなり、エドウィナが振り払ったことで、まだ脚が不自由なマクバニーは階段から転落して開放骨折し、気を失ってしまう。そこで、マーサは脚を切断して彼の命を救うことを決断する。
手術が終わり、目を覚ましたマクバニーは自分の片脚が勝手に切断されてしまったことに気付くと、すっかり動転して恐怖に駆られ、一転して乱暴な言動を取り、銃を手に、脚を切断してしまった女たちを威嚇する。唯一マクバニーを心から愛していたエドウィナは、ひとり彼の部屋を訪れ、肉体関係を持つ。