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本項では、英語における冠詞(かんし、article)について述べる。
冠詞とは、限定詞の一種で、名詞に付いてその定性を表すものである。英語の冠詞には、定冠詞「the」と不定冠詞「a」「an」があり[1][2][3]、場合によっては「some」も不定冠詞として使用されることがある[4]。定冠詞は、聞き手・読み手が指示対象
(英語版)(その名詞が指し示す対象)を特定できるという前提で使用される[1][5][6]。すなわち、指示対象が明確または常識であるか、同じ文中あるいは先駆ける文の中で触れられており、唯一的に固定可能という状況で使用される[2][7]。一方、不定冠詞は、聞き手・読み手が指示対象を特定できないという前提で使用され[1][2]、不特定の要素を会話の中に新たに導入する役割がある[1][5]。また、名詞句によっては、冠詞が一切使用されないこともある。つまり、英語の冠詞の語法としては、定冠詞、不定冠詞、無冠詞の3種が存在する[3]。英語の限定詞(英語版)も参照。
目次
1 名詞の可算性と冠詞の選択
2 冠詞の語法
2.1 語順
3 定冠詞
3.1 定冠詞の発音
3.2 定冠詞の由来・語源
3.3 定冠詞の語法
3.3.1 文脈内特定
3.3.2 文脈外特定
3.3.3 定冠詞を伴う慣用表現
3.3.4 地名
3.4 ye 綴り
4 不定冠詞
4.1 a と an の違い
4.2 不定冠詞の発音
4.3 不定冠詞の由来・語源
4.4 不定冠詞の語法
4.4.1 不定冠詞を伴う慣用表現
4.4.2 不定冠詞の使用による可算名詞化
4.5 n の移動
4.6 some の使用
5 無冠詞
5.1 無冠詞の慣用表現
6 アルファベット順のリスト
7 脚注
8 関連項目
9 外部リンク
名詞の可算性と冠詞の選択「可算名詞」も参照
英語の冠詞の使い分けには、それを伴う名詞の可算性が関係している。まず、英語の名詞には可算名詞と不可算名詞がある[8]。そして、可算名詞には単数形と複数形がある[9]。単数形は基本的に、定冠詞か不定冠詞、あるいは数詞などを伴わなければならない[9]。複数形は限定詞を必要とせずに単独で使用でき、特に不定冠詞は使用不可だが、文脈・状況によっては定冠詞を伴うことがある[9]。不可算名詞の場合、可算名詞の複数形と同様に限定詞を必要とせず、特に不定冠詞は不可で、定冠詞の使用は文脈・状況次第である[10]。
アメリカ合衆国出身で、東京大学大学院総合文化研究科・教養学部でALESSプログラム[11]のマネージング・ディレクターを務めるトム・ガリー准教授は、理学系の英語論文の書き方に関する『科学英語を考える』と題した一連のウェブ講義において「the」を取り上げている[12]。ガリーは日本語母語話者の英語によく見られる誤用として「無冠詞の単数形可算名詞」を挙げ、それは日本語に可算・不可算の区別がなく、しかも日本の英語教育では可算分類が軽視される傾向にあるからだと分析する[13]。