Terrestrial_Planet_Finder
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赤外線干渉計の予想図

Terrestrial Planet Finder(TPF, テレストリアル・プラネット・ファインダー)は、アメリカ航空宇宙局 (NASA) が提案していた宇宙望遠鏡による地球型の太陽系外惑星の探査計画である。

TPFは数機の小型宇宙望遠鏡を搭載したTPF-Iと大型宇宙望遠鏡を搭載したTPF-Cの2つの機体が開発される見込みであったが、数度の延期を経て2011年に中止された[1][2]
歴史

2002年5月、NASAは将来的な研究と技術開発の対象として2つのTPFのコンセプト機を採択した。

両者は異なる手法を用いて同じ目標、すなわち親星の光を遮ることで、それよりずっと小さく暗い系外惑星の検出を可能にすること、を達成しようとしていた。

加えて、新たに発見された系外惑星の表面及び大気の特徴を調べ、生命の化学的な痕跡を探すことも目標としていた。

計画された宇宙機は以下の2機である。
TPF-I(赤外線干渉計)
複数の小型望遠鏡を組み合わせた機体。光の干渉によって親星の光を100万分の1に弱めることにより、惑星からの微弱な赤外線放射を検出する。
TPF-C(可視光コロナグラフ)
ハッブル宇宙望遠鏡の3倍ないし4倍の口径、精度100倍の主鏡を採用する1台の大望遠鏡を用い、非常に暗い系外惑星による反射光も検出しようとする機体。特殊な光学系で、親星の光を10億分の1に弱め、暗い惑星も検出可能とする。

NASAとジェット推進研究所 (JPL) は、2機の宇宙機の開発および実証実験と惑星探査に関する科学的調査の提案を行った。TPF-Cは2014年頃、TPF-Iは2020年頃に打ち上げを計画していた。

しかし、2006年2月6日に発表された2007年度のNASA予算報告[3]において、このプロジェクトは無期限延期となった[4]

2006年6月に、アメリカ合衆国下院小委員会はTPFと地球外生命の存在が期待される木星の衛星エウロパの長期探査ミッションのための財政支援を決議した[5]。2007年1月31日には下院決議20に基づき予算限度額が可決されたものの、同年2月14日に上院によって無期限延期となった。資金調達の目処が立たない企画段階のまま[6]、2011年6月にTPF(およびSIM)は開発の中止が報告された[1]
TPF計画 (TPF-C) で探査対象だった上位10個の星一覧

順位 [7]名前星座距離(光年スペクトル既知の惑星
1ケンタウルス座α星Aケンタウルス座4.3G2V1
2ケンタウルス座α星Bケンタウルス座4.3K1V 
3くじら座τ星くじら座12G8V5
4カシオペヤ座η星カシオペヤ座19G3V 
5みずへび座β星みずへび座24G2V 
6くじゃく座δ星くじゃく座20G8V 
7オリオン座π3星オリオン座26F6V 
8うさぎ座γ星うさぎ座29F7V 
9エリダヌス座ε星エリダヌス座10K2V1
10エリダヌス座ο2星エリダヌス座16K1V 

脚注^ a b “ ⇒Rage Against the Dying of the Light”. Astrobiology Magazine (2011年6月2日). 2011年6月7日閲覧。
^ Overbye, Dennis (2013年5月12日). “Finder of New Worlds”. New York Times. https://www.nytimes.com/2014/05/13/science/finder-of-new-worlds.html 2014年5月13日閲覧。 
^ “ ⇒NASA budget statement”. Planetary Society (2006年2月6日). 2006年7月17日閲覧。
^NASA President's FY 2007 Budget Request
^ “ ⇒House subcommittee helps save our science”. Planetary Society (2006年6月14日). 2006年7月17日閲覧。
^ Charles Q. Choi (2007年4月18日). “ ⇒New Technique Will Photograph Earth-Like Planets”. Space.com. 2007年5月2日閲覧。
^TPF C's Top Target Stars Space Telescope Science Institute

関連項目

COROT - フランス国立宇宙研究センター (CNES) が2012年まで運用していた宇宙望遠鏡。

グレートオブザバトリー計画

ケプラー - 2009年より運用、2018年に運用終了。

高精度視線速度系外惑星探査装置 - 2003年より運用中。

自動惑星検出望遠鏡 - 100光年以内の観測を目的とした望遠鏡。2013年より運用中。

TESS - 2018年より運用中。


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