TeX
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組版処理については、行分割およびページ分割位置の判別、ハイフネーションリガチャ、およびカーニングなどを自動で処理でき、その自動処理の内容も種々のパラメータを変更することによりカスタマイズできる。数式組版についても、多くの機能が盛り込まれている。TeX が文字などを配置する分解能は 25.4/(72.27 × 216) mm(約 5.363 nm、4,736,286.72 dpi)である。

TeX の扱う命令文の中には、組版に直接係わる命令文の他に、新しい命令文を定義するための命令文もある。こうした命令文はマクロと呼ばれ、TeX ユーザー独自の改良により、種々のマクロパッケージが配布されている。

比較的よく知られている TeX 上のマクロパッケージには、クヌース自身による plain TeX、一般的な文書記述に優れた LaTeX、数学的文書用の AmS-TeX などがある。一般の使用者は、TeX を直接使うよりも、TeX に何らかのマクロパッケージを読み込ませたものを使うことの方が多い。

TeX の用途を拡張したマクロパッケージとして、他に次のようなものがある。

BibTeX - 参考文献リストの作成に用いる。

SLiTeX - プレゼンテーションスライドの作成に用いる[7]

AmS-LaTeX - 数学的な文書の記述に強い AmS-TeX の機能と LaTeX の機能を併せ持つ[8][9]

XϒMTeX - 化学構造式の描画に用いる[10][11]

MusiXTeX - 楽譜の記述に用いる[12][13]

TeX とそれに関連するプログラム、および TeX のマクロパッケージなどは CTAN(Comprehensive TeX Archive Network、包括 TeX アーカイブネットワーク)[14]からダウンロードできる。
数式の表示例

たとえば-b\pm \sqrt{b^2 -4ac} \over 2a

は以下のように表示される。 − b ± b 2 − 4 a c 2 a {\displaystyle -b\pm {\sqrt {b^{2}-4ac}} \over 2a}

また、f(a,b)=\int_a^b \frac{1+x}{a+x^2 +x^3} \, dx

は以下のように表示される。 f ( a , b ) = ∫ a b 1 + x a + x 2 + x 3 d x {\displaystyle f(a,b)=\int _{a}^{b}{\frac {1+x}{a+x^{2}+x^{3}}}\,dx}
TeX の日本語化.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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日本語組版処理のできる日本語版の TeX および LaTeX には、アスキーによる pTeX および pLaTeX と、NTT の斉藤康己による NTT JTeX[注 3]および磯崎秀樹による NTT JLaTeX などがある。

TeX の日本語対応において技術的に最も大きな課題は、マルチバイト文字への対応である。pTeX(および前身の日本語 TeX)は、JIS X 0208文字集合とした文字コードISO-2022-JPEUC-JP、および Shift_JIS)を直接扱う。DVI フォーマットは元々16ビット以上の文字コードを格納できる仕様が含まれていた。しかしオリジナルの英語版では使われていなかったため、既存プログラムの多くは pTeX が出力する DVI ファイルを処理できない。またフォントに関係するファイルフォーマットが拡張されている。これに対して NTT JTeX は、複数の1バイト文字セットに分割することで対応している。たとえば、ひらがなとカタカナは内部的には別々の1バイト文字セットとして扱われる。このためにオリジナルの英語版からの変更が小さく、移植も比較的容易である。ファイルフォーマットが同じなので英語版のプログラムで DVI ファイル等を処理することもできる。しかし後述するフォントのマッピングの問題があるため、実際には多くの使用者が NTT JTeX 用に拡張されたプログラムを使っている。

使用する日本語用フォントについては pTeX が写研フォントの使用を、NTT JTeX が大日本印刷フォントの使用を前提としており、それぞれフォントメトリック情報(フォントの文字寸法の情報)をバンドルして配布している。しかし有償であるこれらのフォントのグリフ情報を持っていなくても、画面表示や印刷の際に使用者が利用できる他の日本語用フォントで代用することができる。つまり写研フォントや大日本印刷フォントのフォントメトリック情報を用いて文字の位置を固定し、画面表示や個人ユースの安価なプリンタによるプレビュー印刷には他の日本語用フォントを用い、業者などによる最終的な出力では商用フォントを使用して目的の仕上がりを得る、といったことも可能である。このため日本語化された TeX 関係プログラムのほとんどは、画面表示や印刷で実際に使うフォントを選択できるように、フォントのマッピング(対応付け)を定義する機能を持っている。

歴史的には、アスキーが日本語 TeX の PC-9800 シリーズ対応版を販売したために個人の使用者を中心に普及した。一方、NTT JTeX は元の英語版プログラムからの変更が比較的小さいという利点を受けて、Unix系OSを使う大学や研究機関の関係者を中心に普及した。

しかし現在では次に挙げる理由から、日本語対応 TeX として pTeX が使われていることが多い。

Unix系OS用の主な日本語対応 TeX 配布形態である ptexlive[15]や ptetex3[16][17]が pTeX のみを採用している。

Microsoft Windows 用の主な日本語対応 TeX 配布形態である W32TeX[18]が pTeX を扱える(NTT JTeX も扱える)。

pTeX の扱い方を解説する文献の方が、NTT JTeX のものに比べて、出版物と Web 上文書の両方で多い。

pTeX は縦組みにも対応しているが、NTT JTeX は対応していない。

TeX による組版の作業工程

TeX による組版の作業工程は、通常次のようになる。
文章に組版用命令文を織り込んだ
テキストファイルである、tex ファイルを作成する(テキストエディタなどで)。

OSコマンドラインから “tex FileName.tex” などと入力して TeX を起動し、DVI ファイルを生成させる。

ソースファイルにエラーがあれば、修正して再度 TeX を起動する。


DVI 命令文を解するソフトウェア(DVI ウェア)を用いて組版結果を表示し、確認する。

DVI ウェアには xdvi / xdvikdviout[19][20]などの DVI ヴューア、Dvips(k)dvipdfm / DVIPDFMx などのファイル形式変換ソフトウェアなどがある[注 4]

DVI ファイルを DVI ビューアで画面表示または印刷する、あるいは PDFPostScript に変換して画面表示または印刷することで、組版結果を確認する。

修正の必要があれば、ソースファイルを修正して再度DVIファイルを作成、確認する。

この間、作業工程が変わるたびにそれぞれのプログラムを切り替えたり、扱う文書が大きいと章ごとにソースファイルを分割して管理したりと、比較的煩雑な作業を伴う。そのため、この工程に係わる各種のプログラムやソースファイルの管理を一元的に行う TeX 用の統合環境TeXworksTeXShop など)がいくつか作成されている。
GUI 環境と TeX

GUIPC の普及に一役買ったが、それとともに TeX などのコマンドラインインタプリタに不慣れな PC 利用者が増加した。そのために、GUI に特化した TeX 用統合環境LyX[21] などいくつか作成されている。
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