なお、2012年まで公式ウェブサイト内のバンドヒストリーでは次のような説明がなされていた。バンドがデモ・テープを作っていた際に、映画『オズの魔法使』を見たばかりであったジェフが、映画に登場する犬の名前「トト」をテープに書いてすぐ判別できるようにした。その後、デヴィッド・ハンゲイトが詳しく調べたところ、「トト(toto)」はラテン語で「totus(全て)」 、あるいは「all-encompassing(網羅的な)」を意味することが分かった。これは数々のセッションに参加していたメンバーの経歴やどんなジャンルの音楽にも対応できるバンドの演奏能力にぴったりであるということから、デビュー・アルバムのタイトル及びバンド名として採用された。(参考:[5] 2012年8月時点、ウェブアーカイブによる)。
2014年現在はこの記述は削除されているが、オズの魔法使いの部分を除き同様の回答をしているインタビュー映像がDVD作品、『グレイテスト・ヒッツ・ライヴ・アンド・モア』に収録されている。
解散直前のインタビューで、スティーヴ・ルカサーが語るところによると「今はもうバンド名がブランドになっちゃってるから変えられないけど、俺はこのバンド名が好きじゃないんだ。俺が名付けた訳じゃないし、気がついたらそういう名前になってたんだけど。イヤんなっちゃうよ、世界的に有名なトイレメーカーと同じ名前なんだぜ。皮肉っぽくてギャグとしちゃ面白いとは思うけどね」と語っている。同時に、ルカサー自身は「バット・ホール・サーファー(Butt hole surfer)の方が良かったが、もっとマジメにやれと拒否された」とも語っている[20]。
なお、本国米国をはじめとするラテン文字圏では、見出し等特別な場合を除き通常「Toto」と一般的なバンド名同様先頭のみ大文字にして表記がなされるが[注釈 1]、日本では「TOTO」というアルファベットかつ全て大文字の表記をレコード会社が公式に採用しており、「トト」「Toto」といった表記が見られるのは稀である。本稿もこれに倣いバンド名を原則「TOTO」としている。 一般的には、典型的なAORサウンド[21] と評される。1978年のデビュー当時がちょうど、シンセサイザー・サウンドや、ディスコ、フュージョン、アダルト・コンテンポラリーといった音楽の全盛期であり、商業的な成功と聴きやすいサウンドを有していることから、同時代に人気が出たボストン、ジャーニー、スティクス、フォリナーと並んで、「産業ロック(コーポレート・ロック)」と形容されることがある。実際に、そういった趣が色濃い曲も数多く、それゆえヒット曲が多かった。アルバム全体ではハードロックからプログレッシブ・ロック、ジャズ、フュージョンといった多くのジャンルの曲を録音している。 彼らのサウンドは、この後1980年代のアメリカン・ロック・サウンドの原型の一つとなった。全体のエフェクトにリバーブやゲート・リバーブ、エレクトリック・ギターには、改造を施したマーシャルやメサブギーなどのハイゲインなギターアンプをメインに、コーラスやディレイなどのエフェクトを、アンプのセンドリターンに接続することで多用したギターサウンド[注釈 2]、ペイチのフュージョン的なピアノやオルガン、エレクトリックピアノ、スティーヴ・ポーカロのシンセサイザーは、1970年代後半から1980年代のサウンドの典型と言える。音楽評論家の渋谷陽一は、松任谷正隆がデビュー当時のTOTOについて「こういうサウンドを出したい」と発言したことを紹介している。 ヒットを連発していた時期のTOTOにおいて、バンドの中心人物で、ドラマーのジェフ・ポーカロのリズムは重要だった。ポーカロは、リズム・ヘリテッジの「スワットのテーマ(反逆のテーマ)」(1976年)にも参加した技巧派のドラマーだった。通常の8ビートや16ビートでも巧みに適応した。「ロザーナ」に代表されるヒット曲は、音楽の趣味の悪い人々にも受け入れられた。レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムや、バーナード・パーディらからも影響を受け、独自にアレンジしたというこれらのリズムは、ドラマーに影響を与えた。ジェフ自身は、スティーリー・ダンので演奏経験がある。 専任のボーカリストがいるにもかかわらず、ギタリストのスティーヴ・ルカサーやキーボーディストのデヴィッド・ペイチがリード・ボーカルをとることが多い。実際、TOTO最大のヒット曲「Africa」[22] はペイチのボーカルである。また、スティーヴ・ポーカロも、リード・ボーカルをとる曲が存在し、2005年加入のグレッグ・フィリンゲインズも、キーボーディスト兼リード・ボーカルとしての加入で、『フォーリング・イン・ビトゥイーン』では、彼のリード・ボーカル曲も多くフィーチャーされ、ステージでは、休止中のペイチのボーカル曲を代行した。
音楽的特徴