その後、2020年7月にワーナーはアメリカでの公開日を同年9月3日に再設定したことを発表。同時にイギリスやアラブ首長国連邦などでは同年8月26日と27日に先行で公開することも明らかにした[16]。 アメリカよりも先行して公開されたイギリス、フランス、ドイツなど世界41市場でのオープニング記録の合計は事前予想を上回る5300万ドルとなり、オランダ、ウクライナ、ハンガリーなどではノーラン作品史上最高のオープニング記録を樹立、サウジアラビアでは国内で公開されたハリウッド映画として史上最高の記録となった[16][17]。 日本でも週末興行収入ランキングで初登場から4週連続1位(観客動員数は3週目のみ『浅田家!』)を獲得、国内興行収入は20億円を突破した[18]。また、公開4日間の国内IMAXオープニング成績(2020年9月18日から21日)が世界各国での本作公開4日間IMAXオープニング成績の中で売り上げ1位を記録し、監督のクリストファー・ノーランから池袋(東京)のグランドシネマサンシャイン宛に直筆の感謝状が届いた[19]。 しかし、制作国であるアメリカでは、未だにロサンゼルスやニューヨークといった主要市場の映画館再開の見通しが立っていないことが災いし[注釈 2]、アメリカ国内の興行収入は公開5週間で4500万ドルと大きく低迷[注釈 3][20]。全世界興収は2020年公開映画の中で4位となる3億6293万ドルであり、海外興行収入の好調がアメリカ市場の不振によって引きずられる形となった[20][21]。この苦戦により、ワーナーと同業会社であるウォルト・ディズニー・カンパニーやユニバーサル・ピクチャーズといったハリウッドの各映画会社が2020年内に公開予定だった大作映画を相次いで延期させたり、ワーナーも2021年に公開予定の映画17本を劇場と同時に定額制動画配信サービスのHBO Maxでも同時公開させるなどの影響を及ぼした[22][23]。 ワーナー親会社であるAT&T最高経営責任者(CEO)のジョン・スタンキーは、「『TENET テネット』の結果がホームランだったとは言えない」とコメントした[18]。また、ノーランは前述の同業会社公開予定映画延期の決断について、「彼らは(『TENET テネット』が)コロナ以前の期待に沿えなかったことばかりに注目して、そのことを、パンデミックのさなか、映画館にひたすら損をさせていることの言い訳として使い始めている」と批判している[22]。 2021年9月、ノーランは次回作の製作と配給をこれまでのワーナーからユニバーサルに変えることが決まったと報じられた。これにより、ワーナーは2002年公開の『インソムニア』から約20年間続いてきたノーランとの関係が解消することになる[24]。 Rotten Tomatoesによれば、批評家の一致した見解は「映画愛好家たちが解き放つ視覚的にきらびやかなパズルである『TENET テネット』は、観客がクリストファー・ノーラン作品に期待する知的スペクタクルの全てを提供している」であり、353件の評論のうち高評価は70%にあたる246件で、平均点は10点満点中6.9点となっている[25]。Metacriticによれば、50件の評論のうち、高評価は33件、賛否混在は17件、低評価はなく、平均点は100点満点中69点となっている[26]。
評価
興行成績
映画批評家によるレビュー
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 「主人公」と「主唱者」・「指導者」。
^ アメリカでは本作品公開の時点で既に6割近くの映画館が営業を再開している。
^ 同じくクリストファー・ノーランが制作に携わった『ダンケルク』は初週週末で約5000万ドルだった。
出典^ “Tenet
^ ⇒2020年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟 2021年1月30日閲覧。
^ “2020 Worldwide Box Office
^ a b c d “TENET テネット ブルーレイ&DVDセット (3枚組/ボーナス・ディスク付)”. db2.nbcuni.co.jp. 2020年11月26日閲覧。