T-800
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「T800」はこの項目へ転送されています。LHTECが開発した回転翼機用エンジンについては「LHTEC T800」をご覧ください。

T-800 / T-850 ターミネーター
「ボブおじさん」/ 「おじさん」/「カール」
ターミネーターのキャラクター
T-800の蝋人形(ロンドンのマダム・タッソー館
初登場ターミネーター
作者ジェームズ・キャメロンゲイル・アン・ハード
アーノルド・シュワルツェネッガー(1984年、1991年、2003年、2009年*、2015年、2019年)
ローランド・キッキンガー(2009年)
ブレット・アザー(2015年、2019年)[1]
*アーカイブ映像のみ
詳細情報
愛称モデル101
T-101
アーノルド・ターミネーター
別名ボブおじさん(映画2作目)
守護者(映画5作目)
おじさん(同上)
カール(映画6作目)
種族人造人間サイボーグ工学
職業アサシン(映画1、4、5作目)
ボディーガード(映画2、3、5作目)
建設作業員(映画5作目)
潜入者
カーテン屋店主(映画6作目)
国籍オーストリア
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T-800(正式名称:Cyberdyne Systems Model 101 Series 800 Version 2.4)は、映画『ターミネーター』をはじめとしたターミネーターシリーズに登場する架空のアンドロイドである。アーノルド・シュワルツェネッガーが主に演じた。本記事ではT-800の改良型であるT-850やT-888についても記述する。

シリーズにおけるアイコン的存在であり、登場する作品は多岐に渡る。

アメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)が企画した「AFIアメリカ映画100年シリーズ」の一環『アメリカ映画の名セリフベスト100』ではT-800の台詞「I'll be back」(「また戻ってくる」)、「Hasta la vista, baby」(「地獄で会おうぜ、ベイビー」)がそれぞれ37位と76位に位置している[2]
設定

ターミネーター』(以下『T1』と表記)では2018年にスカイネットによって試作され、2026年に量産が開始された人間抹殺用のアンドロイド「サイバーダインシステムズ・モデル101シリーズ800」[3]

抵抗軍により生産拠点のスカイネットセントラルが破壊された『ターミネーター4』(以下『T4』と表記)の時間軸では予定が大幅に遅れて2026年に量産体制を含めて「T-800 モデル101 サイバネティック生命体」として完成することとなった。

人間としてはあまりにも大き過ぎる体格(身長約2メートル)であり、ゴムの外皮で被覆されていたT-600シリーズは至近距離では容易に識別可能であったのに対しT-800は体格をより人間に近い身長(約190センチメートル近く)に改められた。また工業的に培養した人間と同様の生体細胞(筋肉、皮膚、毛髪、血液など)で耐久性を向上させたチタン合金(特殊合金)の金属骨格を覆うことで識別は非常に困難になった[4]

潜入兵器としては表情も会話能力も非常にぎこちなく(声帯模写は搭載されているが実用レベルには達していない)、基本的に戦闘時も殴打か投擲[5]と擬態能力以外に特筆すべき点はない。

『T2』での説明によれば動力源の寿命は約120年であり、体重は擬装用生体組織を含め180s[6]。すでに旧式化しているとされているが耐久性と温度変化に優れる[7][8]特殊なチタン合金製のボディは21世紀初頭の科学技術から見ればオーバーテクノロジーの産物である。

小火器では破壊はおろかダメージを与えることすら不可能であり、破壊ないしダメージを与えるためには対物ライフルダイナマイトなどの対物用兵器を使用するか、非常に強い圧力や衝撃を与える必要がある[9]。『ターミネーター3』(以下『T3』と表記)に登場するT-850はT-Xのプラズマ砲の直撃で吹き飛ばされても機能が一時停止しただけですぐに復帰したり、クレーン車で振り回されて車にぶつけられても逆に車を転倒させたり弾いたりする。

ケーブルがいくつも露出しているボディの胸部周辺[10]や『T3』でケイトが銃撃した銃弾を吐き出している口腔内も頑丈に設計されていることがうかがえるが後者では「二度とするな」と警告しているように衝撃がボディの耐久度を上回った際には破損し、あまりにも長く稼働し続けた『ジェニシス』のT-800(守護者)は手の動作に支障をきたし始めていたことから場合によっては劣化が発生する。



擬装用生体組織

上位型のT-888は食物を摂取するシーンがあるが、T-800には飲食するシーンが存在せず、食物を消化して栄養分を吸収する機能が搭載されているのかは不明[11]。水分や栄養分などの補給を一切必要とせず、新陳代謝を完全自力で行っている[要出典]。生体組織について詳しく説明されていないため不明であるが生体組織の生理機能は人間とほぼ同じく時間の経過に伴って老化する[12]

ただし、人間の見た目と同様な『T4』劇中のT-800は損傷しても出血した様子が無く血液や血管などを模倣するには至っていない。

この生体組織には非常に高度な再生能力が備わっており、適切な処置を施せば切創銃創などの小規模な破損であれば数日から数週間、完全に再生し切るまでにはある程度の時間を要するが広範囲に欠損した箇所でさえ数年で再生して傷跡が残ることすらない[13]。著しく損傷したまま放置すれば組織が腐敗し[14]、喪失箇所によっては擬態が成り立たなくなる事もしばしば。また機能としての「痛み」はデータとして記録蓄積[15]するが仮に生体組織へ著しく損傷を受けても痛覚を備えていないため、本体の行動には全く支障をきたさない。

可動部品の動作音[16]を(少なくとも人の耳に入らない程度に)抑える防音効果も兼ねているため剥落して喪失した場合にはその効果が失われてしまうが、喪失範囲によっては包帯、衣服、手袋等で隠せば防音効果の代用が可能になるが、むしろ損傷箇所が邪魔になった場合や、正体を明かす必要に迫られた場合、あるいは損傷箇所の修繕を行なう場合などには自ら切開したり剥がし取ることもある。

劇中にてジョンが発見したT-800に関するデータには生体細胞で完全に被覆するには数十日[17]を要するらしいことが記されているが、あくまでも『潜入』『暗殺』任務を与えられた特定の機体がロボットである事を秘匿するために被せられているに過ぎないため地上戦に実戦投入される機体は全て金属骨格(エンドスケルトン)のままである。生体組織でカバーリングするには『T2』予告編で金属骨格の両脇から人型を成した金型状の機械で全身を挟み込み、機械内部で生体組織でカバーしているように専用の大型機械[18]が必要。『ジェニシス』での冒頭シーンにて生体細胞に被覆された状態のT-800が多数収容されている保管庫が登場している。

後継機にあたるT-1000T-XTOK715と同様に人間には区別が非常に困難だが、は臭いなどからT-800を的確に区別できる[19]。『ターミネーター2』(以下『T2』と表記)とその続編『ターミネーター:ニュー・フェイト』に登場したT-800は異なり前者は機械特有の不自然な所が少なくなっていたのか中盤では犬に吠えられず、後者は人間として暮らす間に学習を積んだためか犬に懐かれている。

ゲーム『ターミネーター:レジスタンス』では人類抵抗軍のパシフィック師団を襲撃したT-850が抵抗軍が初めて遭遇した生体組織で人間に擬態したターミネーターとされている。また抵抗軍の南師団に所属する科学者のアルヴィン・スコットが撃破に成功した先述のT-850を分析し、皮膚は顕微鏡で調べても人間のそれと見た目が同じであり毛穴や汗腺も機能しており、末端神経も人間と同じ量が存在して血液に関しては有機的な心臓が存在しないため血管自体が循環システムを構成し、血液をフィルタリングして浄化する機能も備えているという見解を示している。
知覚能力

視覚情報をイメージ処理する動作画面は赤色の濃淡色で作中では表現されている。同型のターミネーターモデルを識別できる他、あらゆる武器がデータベースに登録されており敵が携行している武器を瞬時に認識できる。また一度聞き取った人間の肉声であれば完全に模倣もほうする機能も搭載している。劇中にてT-800は電話の通話において相手の声を再現して本人になりすまし、情報収集や標的を誘い出す(『T1』、『T4』)、または敵側の詮索をかわすために応対するなどの目的に利用している(『T2』)[20]

これらの機能はボディに搭載された各種センサー類が担当する。擬態用の生体部分は単なる内部機構のカバーであるため、視覚センサーを自己修理するために眼球のカバーをT-800が自ら外すシーンが『ターミネーター』(以下『T1』と表記)で見られる。以後の作品でも生体組織が剥がれ、赤く光る視覚センサーがむき出しになるシーンがある。また中枢部を破壊されるなどして機能を停止した場合、視覚センサーの赤い光は消える[21]。こちらのシーンも同様に以後の作品で登場する。
出力

油圧システム(『T4』ではT-850と同様の水素電池)によって供給される出力は非常に強力である。大柄の成人男性を片腕で投げ飛ばす、分厚いコンクリートの壁を突き破る、総計600kg近い重さの重火器類をまとめて装備、もしくは一気に持ち上げる、頑丈な金属棒をねじ曲げるなど人間には到底できないような荒技を軽々とやってのける。『T4』では全身に溶鉱を浴びそれが凝固して身動きが取れなくなるが、出力によって関節部の凝固した金属を破砕している。一方力加減は苦手で『T2』でジョンを引き寄せた際には「乱暴だ」と言われ、ローファイヴをした際にも痛がられていたがデータによる創傷の縫合は可能であり、握手、抱擁などの人間の繊細な動作や力加減なども学習によって補えるようになる。

銃を撃つ場合にも反動を完全に抑えることができるため、片手で撃っても精度の高い射撃を行うことが可能である。

ただし走行性能はあまり高くなく、常人よりやや速い程度の速度しか出せない。
コンピューター

課されたミッションが何であろうと、またどんな命令であろうと必ず遂行するようにプログラムされる。プログラムを書き換えることで人間側の味方にすることもできる。また特定の人物の指示に必ず従うようにすることも出来るが、状況と事情によっては例え必ず従うようにプログラミングされていた人物による指示であっても従わないことがある。『T1』に登場したT-800は終始無表情であり、およそ人間的な感情を見せることはなかったが『T2』に登場した人間側に捕獲されプログラムを書き換えられたT-800はいくらか感情らしきものを見せることがあり『T2』ではジョンに教わって笑顔を作ったりジョンと武器の調達を行った際に互いに使えそうな武器を見つけてジョンに笑顔を見せたりもしている。更に『ジェニシス』でもぎこちないながらも笑顔を見せたりしている。これについては搭載されたコンピューターの以下の特徴が要因となっている。

本来T-800のコンピューターの学習能力は高く、様々な抽象的概念までも理解できる。それは人間社会の中で実生活を送る事でより人間らしい行動を取れるよう設計されており、ジョークも理解できるようになるほどのものである。実際『ジェニシス』にてT-800がジョークを言いカイルが「ジョークが言えるのか?」と驚くシーンがあり、戦闘用アンドロイドの思考能力としては過剰性能だとも言えるが「潜入型」であるT-800に人間への擬態を完全なものとさせる能力が持たされているのは必定である。劇中ではサラの母親やジョンの声色や話し方を完璧にコピーして電話で会話する場面もあり、前者は娘のサラですら偽者と見抜けなかった。

しかし初期状態では基本的な人格は極めて未発達であるため人間と比較して表情が乏しく常識的な行動が取れず、行動は「ロボット」らしい無機質なものである。

思考様式は極めて論理的であり、視覚を含む五感によって周囲の状況を適切に判断する[22]。敵の足場を破壊して体勢を崩したり、持ち前のパワーで鉄パイプを引きちぎって即席の武器として利用する、嘘をついて相手を油断させたり情報を聞き出そうとしたり等その判断力は極めて高い。この思考回路を支える知能回路は極めてコンパクトなモジュールに収められており、並列処理ニューラルネットワークによって高い処理能力と学習機能とを兼ね備えた電子回路である。だがこのモジュールはT-800が単体で送り出される時には自発的な思考能力を抑制するよう学習機能に制限が設けられており、基本的には「読み出しのみ」に設定されている[23]

すなわちT-800は「読み出しのみ」にセットされた状態の個体は感情を持たない無慈悲な戦闘マシーンであるが、学習機能への制限を取り払われた個体は人間の感情をも理解出来るようになる[24]。ただし機械であるため感情を理解できても基本的には自身では持たないため、『T2』や『T3』で自らが破壊される事が分かっていても恐怖で躊躇する様子は見られない。この他『T1』では必要な場合のみを除いて一切言葉を発する事はなかったが、『T2』以降は人間の味方になった個体は人間に関わる事が多いため必然的に話す機会が多くなっており、状況によっては大声を張ったり敵のターミネーターに対しても決め台詞を飛ばしたりする事もある。また自らの力で自壊させることは出来ないようであり、そうすることが必要となった際は他の人間に破壊するよう頼んでいる。『T3』ではケイトを保護したT-850が「死んでしまえ!」と罵倒された際はケイトの命令に必ず従うようプログラミングされていたが「その命令には従えない。」と返している。

思考モジュールは形状的に「(銀色の)二廻り程小さな板チョコ」に良く似ており、表面には四角い突起が整列している[25][26]。1作目のみ68系CPU特有のアセンブリ言語「LDA」「STA」が動作画面に表示されている。なおこの思考モジュールは稼働から長時間が経過してもボディーと比較しても経年劣化が起こりにくいようであり、『ジェニシス』に登場したT-800(守護者)はボディーの動作に問題は生じても視覚センサーなどから得た情報の処理速度は決して遅くなったりはせず、多くの車が通る車道においても車の流れを素早く判断して高速で走り抜けたりしていた。

OSLinuxを使用しており、カーネルのバージョンは「4.1.15-1.1381_SKYN12nnmp」であることが確認できる[27][28]。一方『TG』に登場する個体(後述する刺客)のOSは「SKYSOFT KERNEL 4.92.384.42」であることが再起動時の動作画面から確認できる。
耐久性能

耐久性は大変高く、『T1』劇中にてT-800の説明をするカイル・リースがその強度を「装甲車なみ」とサラ・コナーに語っている。小説『新ターミネーター2』ではグレネードランチャーやRPGをストライクさせれば一撃で破壊可能と言われていたが『T4』のプロトタイプが量産型より耐久性が高かった[要出典](諸説あり)とはいえ、グレネードランチャーをまともに何発も受けても無傷だったことから一撃では倒せないと思われる。爆発耐性も高く、先述の通りグレネードランチャーにも耐えることが出来る。しかし関節部分は他と比べて耐久性が低いので、『T1』でカイルリースが腰の部分に爆弾を入れたときは見事に下半身と上半身が分かれてしまっている。また首の部分は特に弱いのか、T-8XX系統のほとんどは首を切断されて破壊されている。『T2:3D』のT-800(ボブおじさん)の大学のルームメイトであるT-800(やかん頭?)、『T3』のT-850、『TSCC』のT-888(クロマティ)、『T4』のT-800(プロトタイプ)、『TG』のT-800(刺客)などと例をあげたらきりがない。対物ライフルなどの爆発系以外の対物兵器には弱く、『TG』ではT-800(刺客)がサラ・コナーとT-800(守護者)が改造して威力を上げたバレットM82A1でパワーセルや予備電池などの重要機関を貫かれて機能を停止している。また『T1』ではプレス機の圧に耐えられずに潰されているので常に圧がかかるのは苦手なようである。

耐電性も非常に高く、カイル・リースが切断された配電線を押し当ててもエンドスケルトン状態だったにもかかわらず少し痺れた程度で自力で引き剥がし、即座に追跡を再開している(『TG』)。
その他

本来人間の殺害目的で生み出されたため、人体の構造についても詳細にプログラムされている。この事は『T2』劇中でT-1000の攻撃により負傷したサラ・コナーの切創を縫合する際に彼女との会話中で語られる。また『T4』ではマーカス・ライトの弱点が心臓であることを見抜いて攻撃している[29]。当然ながら標的の生命反応の有無を確認するセンサーも搭載されている(『T4』、『ニューフェイト』)。

『T1』では躊躇なく人間を殺害しているが『T2』では人間を負傷させる事はあっても殺害はしていない。ジョンから人間を殺害しないよう命じられて以降、精神病院の看守やSWAT等との戦闘時には死者を出さない程度に怪我をしないように投げ飛ばしたり気絶させる程度の強さで壁に打ち付けたり、足を狙った銃撃などの加減した攻撃を行っている。またジョンからの命令を受ける以前にもバーで襲いかかってきた男の一人を放擲したり、別の男の肩にナイフを刺すなどの攻撃を加えているがいずれも急所を外して攻撃をしており、致命傷は与えていない[30]。しかしこうした判断には融通が利かないところもあるようで、命令された直後にサラのいる病院の正面ゲートの警備員の脚を撃ち、その事でジョンに責められても「死にはしない」と返している。更には『T3』にて登場したT-800の改良型、T-850は負傷すらさせる事なく簡単に人間をいなしてやり過ごしたりする動作を見せている。

あらゆる火器や乗り物などの扱いにも精通し、未来世界のフェイズドプラズマライフルから現代の小火器や対物兵器まで何でも使いこなせる。


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