符号化方式にはCDで採用されたリニアPCMではなく、Direct Stream Digital(DSD)が採用された[5]。DSDはΔΣ変調を施したデジタル信号がそのまま記録され、PCMでのデシメーション
(英語版)や補間などによるフィルタ処理によって生じる量子化誤差の影響を受けないため、音源により忠実なデジタル信号を保持できる[5]。サンプリングレートは2.8224 MHzでSACDに記録されたデジタル信号は原理的にはローパスフィルタを通すだけでアナログ音声信号に変換することができる。
ステレオ(2 ch)とサラウンド(最高5.1 chサラウンドまで)をサポートする。ステレオおよびマルチチャネルにはそれぞれ最大255のトラックを納めることが可能であり、各トラックには最大255のインデックスを付与することが可能である[6]。
記録されるDSDには非圧縮かロスレス圧縮があり、ロスレス圧縮にはDirect Stream Transfer(DST)が採用されている[6]。ステレオ録音の場合、片面1層でも4時間以上の収録が可能であり、長大なオペラなども1枚に収められる。ただし、CDフォーマットとのハイブリッド盤の場合、そちらの収録時間(1枚70分余り)に合わせることになる。 ファイルシステムはISO 9660およびUDFが採用されている[6]。TOCにはディスクのタイトル、アーティスト名、ジャンル、ディスク作成日などが最大8言語で記録される[6]。その次はステレオエリアもしくはマルチチャネルエリアであり、それぞれのエリアには、エリアTOCとトラックエリアの領域がある。エリアTOCには総演奏時間、トラック数、演奏開始時間などが記録され、トラックエリアにはDSDが記録される[6]。 スーパーオーディオCDは、コンテンツを再生させるまでに、電子透かし(ウォーターマーク)、SACD Mark、Pit Signal Processing(PSP)というデータ保護機構(コピーガード)が採用されている[6]。電子透かしでは正規品か否かを判別し、SACD Markではライセンスを受けていないドライブからの認識ができないようにし、PSPによってアクセス制御を行う[6]。加えて、TOC以外の領域にはスクランブルが施されており、これはPSPなどから生成される鍵によってのみ復号できる[6]。このようにデジタルデータを複写できても、それだけでは再生できないようにしている。 当初は著作権保護のため、S/PDIFなどからのデジタル出力が許可されていなかったが、これではD/Aコンバーター分離型プレーヤーすら製作できないことから、2005年にはデノンやアキュフェーズといったオーディオ機器メーカーが、各社独自の方式でデジタル出入力が可能な機器を発売、伝送にはi.LINKを用いた機種が多く登場した。HDMI 1.2a以降では、DSDデータの転送が可能となっている。 スーパーオーディオCDは著作権保護の関係から基本的にPC上で使用することは不可能であり、市販のソフトのコピーなどはできないようになっている。 しかしながら、CD-DAやDVDビデオ、BDMVなどと同様に、自分たちで作詞、作曲、演奏などを手がけてSACDとは規格は異なるものの、同じ信号形式のDSDで記録したディスクを制作することは可能である。 ティアックから「タスカム」ブランドで、そうしたユーザー向けにDSD録音対応のDVDレコーダー「DV-RA1000HD」が発売されている[7]。最大の特長は、一般的なDVDレコーダーとは異なり、最大24bit/192kHzのリニアPCM形式での録音に加え、スーパーオーディオCDなどで利用されるDSD形式での録音が可能なこと。このレコーダー単体では、スーパーオーディオCDやDVDオーディオ形式のディスクは作成できないが、録音モードとしてBWF(リニアPCM)、DSIDIFF(DSD)、CD-DAの3種類が搭載されている。
ボリューム構造
著作権保護
自主制作する場合
Size:67 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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