この項目では、1996年の日本映画について説明しています。
2004年のアメリカ映画については「Shall We Dance?」をご覧ください。
その他については「シャル・ウィ・ダンス?」をご覧ください。
Shall we ダンス?
Shall We Dance?
監督周防正行
脚本周防正行
製作桝井省志
小形雄二
『Shall we ダンス?』(シャル ウィ ダンス?)は、1996年の日本のロマンティックコメディドラマ映画。周防正行が監督・脚本を務め、役所広司、草刈民代、原日出子、竹中直人、田口浩正らが出演する。 社交ダンス教室を舞台としたハートフルコメディ。日本アカデミー賞独占をはじめ数々の映画賞に輝いた。配給収入は16億円で1996年の日本映画第2位を記録[2]。本作の人気を受け、日本では「時代遅れ」と思われがちであった社交ダンスが見直され新たなブームとなった。 世界19か国で公開され高い評価を得ており、アメリカ合衆国においては200万人を動員、興行収入は約950万米ドルを記録し[3]、当時のアニメ映画を除く米国での日本映画の興行収入記録を作った。アカデミー外国語映画賞のノミネートを有力視する声もあったが、日本映画代表の一本に選ばれなかった[注釈 1]ため叶わなかった。また日本国内でのテレビ放送がアメリカ合衆国での映画公開前だったため、当時のアカデミー賞のノミネート規定に抵触し、他の部門にエントリーする資格も得られなかった[4]。 なおアメリカ公開版では、アメリカ合衆国における本作の配給を担当したミラマックスが「上映時間が2時間を超える作品はアメリカではヒットしない」と主張し、一時は独自編集版を公開しようと動くほどだった。最終的にミラマックスと周防の話し合いの結果、周防自らの編集により一部シーンがカットされ、上映時間が2時間以内(正確には1時間58分34秒[1])に収められた(またこの際、英語の字幕も差し替えられている)。周防はアメリカ映画版について、自著において「あくまでもアメリカであることを配慮した編集バージョンであるから、オリジナルを知る日本の方には観て欲しくない、というのが僕の本音である」と記している[1]。 2004年にアメリカにて『Shall We Dance?』のタイトルで、リチャード・ギア、ジェニファー・ロペス、スーザン・サランドンらが出演するアメリカ版のリメイク作品が製作されている。 東京のボタン会社の経理課長である杉山正平(役所広司)は妻の昌子(原日出子)、娘の千景(仲村綾乃)との三人暮らし。真面目な性格で遅くまで飲み歩くこともない。郊外に庭付きの家を買い、仕事にも家庭にも何の不満もないはずだが、心の奥には満ち足りない何かがあった。ある夜正平は、小さなダンス教室の窓辺に佇む女性(草刈民代)を電車の窓から見てその美しさに心を惹かれる。数日後、思い切ってそのダンス教室を訪れ、彼女がここのダンス講師であることを知ると、家族には内緒で社交ダンスを習い始める。 グループレッスンの指導はあこがれていた岸川舞ではなく、ベテランのたま子先生(草村礼子)の担当だったので当てが外れるが、同時に入会した服部(徳井優)や田中(田口浩正)と親しくなり、長年通っている高橋豊子(渡辺えり、当時は渡辺えり子)の押しの強さに圧倒されながらも、優しいたま子先生の指導を受けながら社交ダンスにのめり込んでいく。しかしある夜、舞を食事に誘うと、安易な気持ちでここに来てほしくないと厳しくたしなめられてしまう。 舞は世界大会にも出場した一流のダンサーだったが、今はこの小さなダンス教室の経営者である父(森山周一郎)に言われていやいや講師をしているのだった。 ある日、正平はダンス教室で会社の同僚の青木(竹中直人)と顔をあわせ、お互いに驚く。青木は会社では仕事のできない変わり者として部下にも馬鹿にされているが、誰にも内緒で続けているダンスには人一倍熱心。ただ人づきあいが下手でパートナーに恵まれない。 急に夫の帰宅が遅くなったことを心配した正平の妻は、三輪(柄本明)の探偵事務所を訪れて調査を依頼する。やがて夫がダンス教室に通っていることを知ると、浮気などではなかったことにほっとしながらも驚く。真面目な夫と社交ダンスが妻の心の中では結びつかない。 たま子先生の勧めで正平は豊子とペアを組み、東関東アマチュアスポーツ大会に出場することになり、その指導は舞が行うことになった。豊子に文句を言われながらも熱心に練習を続ける正平の姿に、舞の心の中にもダンスに対する情熱が蘇ってくる。 大会当日、正平は緊張しながらも見事なダンスを披露する。ところが観客席には、探偵の三輪に勧められ、正平には内緒で彼のダンスを見に来ていた妻と娘がいた。娘が思わずかけた声援によって家族が来ていることを知った正平はひどくうろたえる。しかもその直後、他のダンサーとぶつかるアクシデントでよろけた豊子を咄嗟に支えようとして衣装のスカートを踏み、それが破けてしまい、豊子に恥をかかせてしまい、ダンスも中断せざるを得なくなってしまう。 大会後、正平はダンスをやめようと決め、教室にも行かなくなっていた。ある日、正平の家を青木と豊子が訪問し、ダンスを続けてほしいこと、舞が教室を辞めて海外で再び社交ダンスをする決意をしたことを告げ、舞のお別れパーティーに出席してほしいと伝えて、舞からの手紙を正平に渡す。手紙には舞の過去のつらい経験と、正平と出会ってからの心境の変化が優しい言葉でつづられていた。 それでもダンスを再開する気持ちにならず、どこか機嫌の悪い正平はパーティー前夜、ダンスを続けて生き生きと過ごしてほしいと言う妻につい当たってしまうが、娘にかけられた言葉で我に返り、妻に謝罪する。 舞のお別れパーティーが始まった頃、会場に向かう決心がつかない正平はパチンコ店で時間を潰していた。しかし、帰宅するつもりで乗った電車からダンス教室を見上げると、窓には「Shall we ダンス? 杉山さん」というメッセージが貼られている。 パーティーが終わりに近づき、舞のラストダンスの相手を舞自身が選ぶことになったその瞬間、会場にスーツ姿の正平が現れる。舞は笑顔で正平に近づくと、「Shall we dance?」と声をかけるのだった。
概要
ストーリー
キャスト
杉山正平
演 - 役所広司
岸川舞
演 - 草刈民代
青木富夫
演 - 竹中直人杉山の会社の同僚で独身。ドニー・バーンズ
高橋豊子
演 - 渡辺えり子シングルマザーの中年女性ダンサー。大会出場の際、正平に亡夫のタキシードを貸す。
三輪徹
演 - 柄本明三輪探偵事務所所長。昌子の依頼を受ける。
杉山昌子
演 - 原日出子正平の妻。ある時期から杉山の帰りが毎週遅くなることや、休日の夫の服から女物の香水の匂いを感じ、不安になる。
杉山千景
演 - 仲村綾乃正平と昌子の娘。中学生。
岸川良
演 - 森山周一郎舞の父親。岸川ダンス教室の経営者にして元全日本チャンピオン。
服部藤吉
演 - 徳井優正平と同じグループレッスン受講者。妻に誘われダンスを始める。小柄で講釈好き。
田中正浩
演 - 田口浩正正平と同じグループレッスン受講者。医者に運動をすすめられ、ダンスを始める。
田村たま子
演 - 草村礼子ダンス教師「たま子先生」。映画『王様と私』を見たことをきっかけにダンスを始めたベテラン。グループレッスンを担当する。
川合豊
演 - 池村太郎ダンス教師。豊子の個人レッスンを担当。
服部房子
演 - 松阪隆子服部の妻。彼のダンスパートナー。
服部秋子