Safariは2003年6月に正式版が公開され、同年10月に登場したMac OS X v10.3からは標準ブラウザとなった。以降、2024年現在に至るまでmacOSの標準ブラウザとなっている。Appleが標準ブラウザの独自開発に成功したことで、結果的にmacOSやその派生となるiOSは、WindowsにおけるIEコンポーネントに匹敵する強力なブラウザエンジンを内包することになった。 2007年に発売されたiPhoneや、2010年のiPadでも当初から標準ブラウザとなっている。iPhone版およびiPad版Safariは外部プラグインをサポートせず、特に代表的なプラグインであるAdobe Flash Playerが利用できなかったことは物議を醸した。これは当時のFlashが広告や動画コンテンツの表示技術として独占的な地位にあり、事実上全てのブラウザに必須と見做されていたためだが、結果的にSafariのこの方針がFlashの独占に風穴を開け、オープンな代替技術であるHTML5への移行を促す役割を果たすことになった[5]。需要が減少したAdobe Flash Playerはその後2020年に開発が終了し、macOS版Safariを含む全てのウェブブラウザから排除されている[6]。 Safariの登場後、Mozillaは動作速度に劣るとされていたMozillaスイートから、当時は実験的なプロジェクトの一つだった軽量・高速なブラウザである「Phoenix」に開発の軸足を移すことになった。この方針転換にはAppleがGecko採用を見送ったことが影響している[7]。Phoenixはその後Mozilla Firefoxと改称され、2004年に正式版が登場した。 2008年に登場したGoogle Chromeは当初Safariと同じWebKitをレンダリングエンジンとして採用し、Safariとの高い互換性を保っていたが、2013年にGoogleによってWebKitから分岐したBlinkに移行してからは競合関係となっている。 2023年5月のStatCounterの調査によれば、Safariはデスクトップ用ウェブブラウザの中で11.87%の利用シェアを持ち、66.13%のChromeに次いで世界で2番目に人気のあるブラウザとなっており、Microsoft Edgeの11%、Firefoxの5.65%を上回っている[8]。
iPhone版とiPad版
他のウェブブラウザとの関係
歴史
2003年
1月7日にApple ComputerがSafariのベータ版を発表。
6月24日に公式版1.0を発表。そのすぐ後、マイクロソフトはInternet Explorer for Macの開発を中止すると発表した。
10月24日に発売されたMac OS X v10.3には、バージョン 1.1 (v100) を搭載。Safariが標準のブラウザ、Internet Explorer for Macは代替ブラウザという位置づけになった。
Mac OS X v10.2.8向けの最終バージョンは1.0.3、Mac OS X v10.3.9向けの最終バージョンは1.3.2。これらの2つは2007年末までにサポートが終了している。
2005年4月29日に発売されたMac OS X v10.4には、バージョン2.0 (v412) を搭載。初のメジャーバージョンアップであり、RSSリーダーなどの機能が追加されている。
2007年6月11日にWindows版Safariの開発が発表された。同時にMac OS X、Windowsプラットフォーム対応、Safari 3.0 (v522.11) のパブリックベータが公開された。Safariのウェブブラウザ市場占有率の向上を狙った投入であり、AppleのWindows版ソフトウェアはQuickTime、iTunesに続き3本目となる[9]。
2008年3月18日、Mac OS X v10.5.2、Mac OS X v10.4.11、Windows XP、Windows Vista向けにSafari 3.1 (525.13) が公開された[10]。
2009年
2月24日にAppleがSafari 4ベータ版を発表[11][12]。
6月9日にAppleがSafari 4の正式版を発表。β版の不具合の修正、日本語を含む表示言語の追加や、タブ表示に変更がされている。
Mac OS Xでは、リリースされてきたSecurity UpdateにSafariに関係するセキュリティ修正が多数含まれてきたが、必ずしもWebCoreのバージョンが上がっている訳ではない[13][14]。
2010年6月7日に、Safari 5が発表された。サードパーティーの機能拡張をサポート、ページ内の広告などを非表示にできるSafariリーダーの搭載、検索オプションにBingの追加、GeolocationやWebSocketを始めとしたHTML5の対応強化、JavaScriptのパフォーマンスが30%向上、開発者用ツールの改善など。