SUMOタンパク質
[Wikipedia|▼Menu]

SUMOタンパク質(SUMO protein)とは、細胞内の他のタンパク質に一時的に共有結合してその機能を助ける小さなタンパク質で、SUMOとはSmall Ubiquitin-related(like) Modifierという言葉の略である。タンパク質のSUMO化は翻訳後修飾の1つで、細胞核-細胞質の輸送、転写制御、アポトーシス、タンパク質の安定化、ストレス応答、細胞周期の進行など様々な細胞内のプロセスに関係する。

SUMOタンパク質はユビキチンとよく似ていて、SUMO化に関与する酵素も、ユビキチン化の一連の酵素のアナログである。ただしユビキチンがタンパク質分解のタグとなるのに対して、SUMOにはそのような機能はない。SUMOはC末端の4残基が切り落とされることによって完成する。

SUMOタンパク質には別名を持つものが多い。例えば酵母のSUMO1ホモログはSMT3と呼ばれる。またコードする遺伝子にはいくつかの偽遺伝子が存在するという報告もある。iMolとPDBファイル1A5R、NMRを元に作られたヒトSUMO1タンパク質の構造図。タンパク質の構造はリボンで表現し、二次構造を着色している。N末端は青、C末端は赤である。同じく、原子を球で表現したタンパク質の構造図。
機能

タンパク質のSUMO化には多くの機能がある。最も研究が進んでいるものはタンパク質の安定化、核-細胞質輸送、転写調節(転写抑制)などである。分解のタグとなるユビキチンとは逆に、SUMO化はタンパク質の寿命を延ばす。またSUMO化によってタンパク質の細胞内局在も変化する。例えばヒトのニネインはSUMO化によって中心体から核へ移動する。また多くの場合転写因子がSUMO化を受けると転写が阻害される。この他にも多くの機能が明らかとなっている。
構造

SUMOタンパク質は小さく、せいぜい100残基、12kDa程度である。正確な長さや重さはタンパク質の種類や由来する生物によって異なる。例えばヒトのSUMO-1は101残基で11.6kDaである。ラットやマウスのホモログも101残基であるが、C. elegansのものは91残基しかない。

ヒトSUMO-1の構造はαヘリックスβシートでできた球状で、両末端は中心部に収まっている。
共通配列

SUMO化を受けるタンパク質の多くには、B-K-x-D/Eというテトラペプチドの共通配列がある。ここでBは疎水性アミノ酸、Kはリシン、xは任意のアミノ酸、D/Eは酸性アミノ酸である。










タンパク質一次構造翻訳後修飾
全般

タンパク質生合成

ペプチド結合

タンパク質分解

ラセミ化

N末端

アセチル化

ホルミル化

ミリストイル化

ピログルタミン酸

メチル化

糖化反応

C末端

アミド化

GPIアンカー

ユビキチン化

SUMO化

リシン

メチル化

アセチル化

アシル化

ヒドロキシル化

ユビキチン化

SUMO化

デスモシン

ADPリボース化

脱アミノ

酸化的脱アミノ


システイン

ジスルフィド結合

プレニル化

パルミトイル化

セリン/トレオニン

リン酸化

グリコシル化

チロシン

リン酸化

チロシン硫酸化

ポルフィリン環結合

リボフラビン結合

アスパラギン

脱アミド

グリコシル化

アスパラギン酸

スクシンイミド形成

リン酸化

グルタミン

アミノ基転移

グルタミン酸

カルボキシル化

ポリグルタミル化

ポリグリシル化

アルギニン

シトルリン化

メチル化

プロリン

ヒドロキシル化

←アミノ酸二次構造→


記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:9365 Bytes
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef