その初期の製品は、航空機開発によって培われた設計指針により、軽量かつ操縦性に優れ、空間実用性をも満たした高度な設計がなされ、市場を先導した。1954年(昭和29年)に試作されたスバル・1500では、日本製乗用車として初のフル・モノコック構造を採用している。
1958年(昭和33年)発売のスバル・360は、「国民車構想」[注釈 4]の内容に近い水準の自動車を、高度な技術で具現化したもので、「大人4人が乗れる初めての軽自動車」リアエンジン・リアドライブ(後ろ置きエンジン・後輪駆動)方式として、日本人にとって自動車を身近なものにした。1966年 スバル・1000
1966年(昭和41年)発売のスバル・1000では、縦置き水平対向エンジンによる前輪駆動レイアウトを採用し、以後、四輪駆動車を含む現行主力モデルに至るまでこれを踏襲している[注釈 5]。またこのスバル・1000では、前輪駆動車にとっての重要部品である「等速ジョイント」の完成形、ダブル・オフセット・ジョイント(D.O.J.)を東洋ベアリング(現・NTN)と共同で開発、同車の成功の要因となり、1970年代から本格化した、小型車の前輪駆動化の世界的な潮流に先鞭をつけた。1989年 スバル・レオーネ GL 4WD
スバル初の四輪駆動車は、1972年のレオーネエステートバン1400 4WDで、本格的な量産ラインで生産される自動車としては世界初の四輪駆動乗用車[注釈 6]となった。自動車の運動性能にもたらす四輪駆動の効果に世界が注目する端緒となったドイツのアウディ・クワトロの発売は1980年であり、富士重工業は四輪駆動乗用車開発・生産の経験ではアウディをも上回る。そのため、四輪駆動システムについても、その初期から様々な試みがなされており、世界の自動車メーカーのベンチマークとなっている技術も数多い。
レオーネの四輪駆動車は一般的なセダン・ワゴンの外見でありながら、優れた悪路走破性を持つ独自の特徴が降雪地域の利用者などから高い評価を得た。1980年代からはよりオンロード色が強まり、後継のレガシィやインプレッサではさらに顕著になった。2021年現在、軽自動車を含む全車種(BRZを除く)に四輪駆動が展開されているが、特にレガシィ、フォレスター、レヴォーグ、XV、VA型WRXは全モデルが四輪駆動である。
四輪駆動の技術を活かし、アウトドアを嗜む社員の視点から、レオーネ/レガシィ・ツーリングワゴンのような四輪駆動ステーションワゴンやレガシィ・アウトバック、フォレスターのようなクロスオーバーSUVといった新規市場を開拓した[注釈 7]。1989年10月発売のレガシィ・ツーリングワゴンGTは高出力4WDワゴンという特徴が市場に好評を博した。社団法人自動車技術会の委員会が「後世に語り継ぐべき特徴を持つ故実」として選定した「日本の自動車技術330選」にスバル・レオーネ4WDバンとセダンがそれぞれ選ばれている。
1981年、後輪駆動用トランスファーに、世界で初めて流体式の電磁式油圧多板クラッチを実用化したフルタイムAWDオートマチックを発売。
また、この電磁式油圧多板クラッチを発展させ、前後不等・可変トルク配分とエンジン出力制御、ABSとの統合制御による高度なアクティブセーフティ(予防安全)技術である車両制御システムVDC(Vehicle Dynamics Control System、横滑り防止機構)も実用化している。このVDCは、すでに実用化されている自動運転支援システムADA(Active Driving Assist)や防衛関連事業で培った高度なロボット技術との統合制御による、完全自律運転システムへの発展が期待され研究が続けられている。
なお、2008年6月、このADAから前車との車間計測のために備えていたミリ波レーダーを廃して、2台のCCDステレオカメラで車両周辺の状況を解析・判断、車両制御技術としては世界初となる、車速が15 km/h以下での衝突被害軽減ブレーキ制御や障害物検知、さらに全車速追従型クルーズコントロールなどの機能を備えた「EyeSight(アイサイト)」システム搭載車を発売。従来の安全技術などと比べ高機能ながら割安で、戦略的な価格設定であった。その後EyeSightは2021年現在で新世代アイサイト(Ver.4相当)にまで進化し、とりわけVer.2以降は市場の認知も広がり、他社銘からの乗り換え需要をも取り込み爆発的な人気を博した。その後他社からも衝突被害軽減ブレーキ搭載車種が増えるなどASV普及の起爆剤となっているが、NASVA公式発表映像においても衝突回避の可否においてEyeSightと他社製品との雲泥の差を見せつけるなど性能の高さを実証した@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}(ただし2017年現在、少なくとも定められた試験条件の中ではEyeSightに迫る性能を備えた他社製品[10]も増えてきている)[要出典]。