ST_赤と白の捜査ファイル
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ST 警視庁科学特捜班
作者
今野敏
日本
言語日本語
ジャンル警察小説
刊本情報
出版元講談社ノベルス
出版年月日1998年3月
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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『ST 警視庁科学特捜班』(エスティー けいしちょうかがくとくそうはん)は、1998年から刊行されている今野敏による日本警察小説シリーズ。2013年日本テレビ系で単発スペシャルとして同名タイトルでテレビドラマ化されたあと、2014年に『ST 赤と白の捜査ファイル』のタイトルで同局にて連続ドラマ化された。その後2015年に、同ドラマの劇場版として映画化された。
概要

現代犯罪の多様性に対応するために警視庁科学捜査研究所に新設された、「ST」(Scientific Taskforce、科学特捜班)と呼ばれる架空の組織の活躍を描いた作品。非常に優秀な能力を持ちながらも、それぞれの理由によって科学捜査に従事しているSTメンバーが、能力を生かして不可解とも思える様々な事件を解決していく。

シリーズ第1作は1998年3月に講談社ノベルスより刊行された、『ST 警視庁科学特捜班』。以後『ST 警視庁科学特捜班 毒物殺人』、『ST 警視庁科学特捜班 黒いモスクワ』を経て、STメンバーそれぞれに焦点を絞った「色シリーズ」、さらには各地の伝説を物語に絡めた「伝説シリーズ」が刊行されている。

なお、STメンバーの名前にはそれぞれ「」「」「」「山吹()」「翠()」といった具合に色の名前が含まれており、それが『赤の調査ファイル』というように、前述の「色シリーズ」のサブタイトルになっている。

2010年12月現在、講談社ノベルス版が11冊、講談社文庫版が10冊刊行されている。

また、2009年11月から2010年4月まで佐賀新聞等の地方新聞にてシリーズの序章にあたる『化合』が連載され、2011年7月にはシリーズの中で初めてハードカバーで単行本が刊行された。
あらすじ

警視庁キャリアである百合根友久警部は、上司の三枝俊郎参事官に呼び出され、創設時の華々しい活躍以降は、すっかり警視庁の無駄飯食らい扱いされている「科学特捜班」通称「ST」の監督役を拝命する。それぞれが一芸に秀でた優秀な捜査官ながら、性格的に難を抱え、通常の組織ではやって行けないはみ出し者ぞろい。中でも優秀な法医学医師で天才的頭脳を持ちながら「対人恐怖症」を抱える赤城左門は、百合根と顔を合わせようとすらしない。STを束ねるために、百合根は四苦八苦するが、捜査一課との連絡係である元先輩の菊川警部補からは厭味を言われ、現場の刑事たちにはあからさまに疎まれ、落胆する。しかし、徐々に事件の捜査におけるSTの優秀さが表れるにつれ、周囲からの彼らへの接し方、ひいては組織内での彼らの評価・立場にも変化が生じていく。
主な登場人物
科学特捜班(ST)
百合根 友久(ゆりね ともひさ)
STを任された
キャリア警部。シリーズ開始時30歳。理数系ではないため、STメンバーの思考や言動についていけないところがある。協調性が皆無で性格的にも癖のあるSTメンバーを束ねるために四苦八苦していたが、STを率いて捜査に携わるうちにSTへ愛着のようなものを持ち始める。当初は意見や指示をしても相手にされないこともあったが、メンバーからは「キャップ」と呼ばれ、徐々に信頼されるようになる。キャリア組ではあるものの、捜査に関しては経験が皆無であることを自覚しており、その点では捜査一課のベテラン刑事である菊川に助けられているが、しばらくは彼に対して気後れのようなものを感じていた。また、人を惹きつける才能のある赤城に対しては、密かに羨ましいと思っている。
赤城 左門(あかぎ さもん)
STの法医学担当。京和大学の医学部を卒業しているが、対人恐怖症という医師としては致命的な問題を抱えていたため、法医学の道に進む。現在は対人恐怖症を克服しているものの、その名残として女性恐怖症である。彫の深い顔立ちで無精ひげを生やしているが、不潔というわけではなく、むしろ男の色気を感じさせるとのこと。本人は一匹狼を気取っており、事あるごとにそれを口にもするが、本人の主張に反して人を惹きつける天性の才能を持っており、STメンバーからは「リーダー」として信頼されている。
青山 翔(あおやま しょう)
STの文書鑑定担当。専門は筆跡鑑定ポリグラフプロファイリングなど。人間離れした美貌を持つ青年。自分の興味をそそること以外には基本的に無関心であり、捜査にもあまり積極的ではないことが多い。しかし、捜査が進んでくるにつれて興味が湧くと、プロファイラーならではの意見で捜査の助言をする。口癖は「もう帰っていい?」。雑然とした空間を好む秩序恐怖症であり、整頓された場所を嫌う。そのため、自分のデスクは常に驚くほど散らかっている。本人曰く、過剰な潔癖症の1つの現れなのだという。趣味はクラシック音楽の鑑賞で、同じ趣味を持つ菊川とはその話題に限って意気投合する。また、同著者が手掛ける別シリーズ安積班シリーズの短編集『陽炎』に収録されている「科学捜査」にシリーズを超えた形で登場している。
黒崎 勇治(くろさき ゆうじ)
STの第一化学担当。人間ガスクロ(ガスクロマトグラフィー)と呼ばれるほどに発達した嗅覚を持っており、毒物などの臭いをすぐさま嗅ぎ取れる。さらに人間の体臭なども敏感に嗅ぎ取ることから、翠と共に「人間嘘発見器」とも呼ばれている。極端に無口な性格で、必要最低限の事柄しか口にしない。趣味は武道の修練(さまざまな武道・武術に精通)。先端恐怖症で、それが武術の優秀さにも繋がっている、と百合根は考えている。
山吹 才蔵(やまぶき さいぞう)
STの第二化学担当。警視庁に勤務してはいるが、僧籍を持った本物の僧侶でもある。そのため、事件現場に駆けつけた際には被害者へ経を読むこともある。僧侶ということもあって宗教全般にも詳しく、それがきっかけで事件を解決に導いたこともある。STの中では、かなりまともな部類に入る人間で、メンバーとの関わり方に困惑する百合根をさりげなくサポートする・メンバーの一見不可解な行動や言動をさりげなくフォロー・無口な黒崎の通訳、など、役割は多い。
結城 翠(ゆうき みどり)
STの物理学担当。絶対音感と超人的に発達した聴覚を持っており、部屋の外の会話や普通の人間の可聴領域を超えた音域まで聴き取れる。人間の心音を聴き取り、黒崎と共に「人間嘘発見器」として活躍することもある。本来は潜水艦ソナー員になりたかったが、潜水艦の乗組員は女性には狭き門であるうえ、閉所恐怖症という潜水艦乗りには致命的な問題を抱えていたため、断念した。


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