SMAP解散騒動
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SMAP解散騒動(スマップかいさんそうどう)は、2016年に起きた、日本芸能事務所ジャニーズ事務所に所属する男性アイドルグループSMAP解散に至った経緯をめぐる一連の騒動である。本項では同グループの解散危機及び解散が決定した事象と、それを巡る社会の動きを取り扱う。
概要

SMAPは、中居正広木村拓哉稲垣吾郎草g剛香取慎吾の5人(1996年5月までは森且行を含む6人)で構成されていた男性アイドルグループ1988年に結成、1990年代から日本の芸能界の第一線で活躍し、お茶の間の顔として日本全国の老若男女から幅広い支持を得ていた国民的グループでもあった。また、ジャニーズ事務所もSMAPでバラエティやドラマを中心としたアイドルの売出し戦略を確立し、1990年代KinKi KidsTOKIOV6などのアイドルグループでも同様の売り出し方で成功した後、2000年代半ばから男性アイドル界がジャニーズの寡占状態となるなど、日本の芸能界で確固たる地位を築いていた。シェアを伸ばすに連れて、ジャニーズ事務所の支配力は芸能界は元より、マスメディアにも及び、ジャニーズ所属グループの出演条件として他社の男性グループを出演させないようにするなど、度々黒い噂も流れていた。

2016年初頭にSMAPの解散の危機が報じられると、紆余曲折を経て同年末の解散に至るまでメンバー及び事務所の一挙手一投足がメディアで連日報じられ、ファンによる大規模なCD購買運動や署名活動、インターネットにおける事務所および一部のメンバーに対する大規模なバッシングなど、メンバー及び事務所の影響力の大きさが改めて可視化されることとなった。また、この騒動は様々な分野に波及し、騒動に絡め様々な社会評論も行われるなど日本中に大きな波紋を呼んだ。解散後には公正取引委員会が本件に関してジャニーズ事務所に対して注意を行っており、芸能人と芸能事務所との関係が大きく変化する契機ともなった。

騒動の一つの結論として、ジャニーズ事務所は2016年8月に、「SMAPは同年12月31日をもって解散する」ことを公式に発表した。解散は発表通りに行われ、その後、木村はジャニーズ事務所に残り、稲垣・草g・香取は2017年9月CULENに移籍、中居は2020年3月末にジャニーズ事務所を退所し、直前の2月19日に新会社「のんびりなかい」を設立[1]、個々の芸能活動は全員が継続している。

ファンからはSMAPの再結成を望む声も根強いが、中居はジャニーズ事務所退所発表時の会見で再結成について「1%から99%の中にある。0ではないし、100%ないとは言えない」としつつも、1人の問題でないことも挙げ「期待に全てを応えられるわけではない」と述べている[2][3]
経緯
音楽業界・テレビ業界の転換期

ジャニーズ事務所は、メリー喜多川ジャニー喜多川の姉弟によって設立されたアイドル主体の芸能事務所である。業務形態はジャニーが所属タレントのプロデュース、メリーが事務統括やメディア対応などをそれぞれ分担しており、この基本型は2人の最晩年まで変わっていなかった。事務所は1980年代たのきんトリオ光GENJIなどのヒットで成功を収めていた。

しかし、1990年頃に音楽業界・テレビ業界の転換期が訪れた。バンドブームの到来、歌番組に出ない実力派アーティストの台頭がステータス化する状況などが生まれ、各局の歌番組は視聴率に苦しみ、軒並み終了する事態に陥る。結果、歌番組への出演が最大の宣伝になっていたアイドル業界そのものが氷河期に入るとともに、ジャニーズの勢いにも陰りが見え、弱小事務所への転落の危機にあった[4]
SMAPの成功

SMAPもデビュー当時、セールス面で表立った結果を残すことが出来ず、マネジメント面でも大々的な露出をすることが少なくなっていた。当時事務職をしていた飯島三智がこれを見かね、「自分がSMAPの世話をする」と志願しマネージャーへ転属する。飯島は、それまでのアイドル界では畑違いと見られていたバラエティや主演・主要役以外でのドラマにも積極的にメンバーを進出させ、結果的に世間の認知度が上がると共に本業のアイドル業でも成果を挙げ、見事SMAPを大スターに押し上げた[5]

事務所も後輩タレントを同様のメソッドで売り出すことによりヒットを連発し、息を吹き返したのち業界最大手に上り詰めた。さらに、飯島の手法によりアイドルの守備領域の拡大やアイドルの寿命を飛躍的に上げるなど、芸能界のアイドル観を根本から変えるまでに至った[6]
飯島とメリーの確執

メリー、ジャニー姉弟は飯島を事務所の恩人として厚遇し、いずれ2人の後を継ぐ副社長(当時)・藤島ジュリー景子(メリーの一人娘。以下「ジュリー」と記述)の代でも飯島は大番頭としてジュリーを支え、ジャニーズは安泰と思われていた。ジュリーと飯島の仲も非常に良好であり、ジュリーは飯島を頼りにしていた[7]

しかし年を経るにつれて、メリーが飯島に警戒感を抱くようになる。それは、ジュリーと飯島のタレントマネジメント能力に格段の差があったためである。ジュリーは飯島の手法を真似てTOKIOなど後輩グループのマネジメントを行っていたが、実質の業務は他のスタッフに任せきりで、タレントや仕事先の人望も飯島に対する全てにおいて明らかに劣っていた[8]。メリーは娘の将来を案じ、次第に飯島を危険視するようになっていく。

不穏な空気を察知したジャニーは、子会社のジェイ・ドリームを設立した上で飯島に経営を委ね、飯島がメリーを気兼ねせずに仕事ができる環境を整え、両者の関係の軟化を図った[9]。さらに、2010年にKAT-TUNのマネジメントを飯島に移管したのを皮切りに、若手グループを次々と飯島にゆだねた[10]。しかし、メリーの目には飯島がジャニーの権威を嵩に着て権力を伸ばしているようにしか見えず、猜疑心はさらに激化した。やがて、テレビ番組でもジュリー管轄のタレントと飯島管轄のタレントとの共演が原則ご法度になるなど、事務所の活動に大きな影響が出る事態に至ったと言われている[11]
週刊文春による亀裂

決定的な亀裂が生まれたのは、『週刊文春』2015年1月29日号掲載のメリーに対するインタビューであるとされる。ジャニーズ事務所は芸能界での実権を握って以降、タレントの番組出演やカレンダー販売などの利権をばらまくことによって自己に不利益な報道をしないよう仕向けていたが、週刊文春はジャニーズ事務所のメディアコントロールの傘下に組み込まれていない、数少ないメディアであった[注 1]

そのインタビュー内でメリーは、週刊文春がジュリーのことを「次期社長『候補』」と呼んでいる点を指摘し、「次期社長は決まっている」と後継者がジュリーであることを正式に認めた[注 2]。更に「派閥など存在しない」「実在しない『派閥』があると思わせるようなことがあったとしたら、飯島を注意します。今日、辞めさせますよ」と断言。

直後、インタビューが行われていた事務所ビル2階の会議室に飯島を急遽呼び出し、現れた飯島に対して「SMAPは踊れない」「飯島に踊りを踊れる子を預けられない」とまで言い放った上で、飯島に対しては「『派閥』争いがあるのか?」と詰問、飯島が「ありません」と答えるも、「もしそれが事実なら、SMAPを連れて事務所を出なさい。私はジュリーを残し飯島は辞めさせます」などと述べた[12][13](このインタビューは「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」の第22回大賞を受賞している)。

これをきっかけとして、飯島はジャニーズ事務所には顔を出せなくなった上、真剣にSMAPを連れてジャニーズ事務所から独立しようと水面下で画策せざるを得ないこととなる。ジャニーは当然飯島とSMAPの離脱には反対であったが、メリーの不信感が自身にも向かっていたため慰留を断念したという。

その他、同年のNHK第66回NHK紅白歌合戦』の司会選考を巡り、「飯島がNHKに対して独自交渉で同紅白の司会(白組司会・総合司会)にSMAPもしくは木村をごり押ししたが、メリーが自派のタレント総引き揚げをちらつかせて断念させた」とする報道もなされた[注 3]が、NHKの三溝敬志エンターテインメント番組部長は定例会見で自ら否定している[14]。他にも曲順を巡って当初はSMAPが白組トリおよび大トリを務める予定だったとする報道もされている[15]
SMAP移籍の頓挫

その後、飯島は『芸能界のドン』と称される田辺エージェンシー社長の田邊昭知を頼り、自身とSMAPの移籍・引き受けを依頼する[16]。水面下でジャニーズ事務所と田辺エージェンシー側とで話し合いが持たれ、飯島とSMAPは2016年9月の契約更新時期を以って事務所を退社、田辺エージェンシーの系列であるケイダッシュへの移籍話が纏まったとされ、関連作品やグループ名の使用権、コンサートの興行権などの利益配分などの交渉を双方の弁護士が進めるまでに至っていた[17]


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