7つのSI基本単位を以下の表に記載する[2][注釈 4]。これらの単位は、7個の定義定数(defining constants)[3]をもとに定義されている。これら7つの定数は数値が固定された一切の曖昧さをもたない値であり、それぞれ物理定数や物質に固有の物性値を指すものである。この値を固定値と見做すことで、7つのSI基本単位はそれぞれ規定されている。
物理量単位現在の定義[4][5]かつての定義(例)
時間秒s秒(記号はs)は、時間のSI単位であり、セシウム周波数ΔνCs、すなわち、セシウム133 原子の摂動を受けない基底状態の超微細構造遷移周波数を単位Hz(s?1 に等しい)で表したときに、その数値を9192631770と定めることによって定義される。平均太陽日の1/86400
長さメートルmメートル(記号はm)は長さのSI単位であり、真空中の光の速さcを単位m s?1 で表したときに、その数値を299792458と定めることによって定義される。ここで、秒はセシウム周波数ΔνCsによって定義される。地球のパリを通る北極点から赤道までの長さの1000万分の1
質量キログラムkgキログラム(記号はkg)は質量のSI単位であり、プランク定数hを単位J s(kg m2 s?1 に等しい)で表したときに、その数値を6.62607015×10?34と定めることによって定義される。ここで、メートルおよび秒はc およびΔνCs に関連して定義される。最大密度温度での1 Lの水の質量
電流アンペアAアンペア(記号はA)は、電流のSI単位であり、電気素量eを単位C(A s に等しい)で表したときに、その数値を1.602176634×10?19 と定めることによって定義される。ここで、秒はΔνCsによって定義される。真空中に1メートルの間隔で同じ大きさの電流が流れているとき、両者の間に働く力が1メートルにつき2×10?7ニュートンであるときの電流
熱力学温度ケルビンKケルビン(記号はK)は、熱力学温度のSI単位であり、ボルツマン定数kを単位J K?1(kg m2 s?2 K?1 に等しい)で表したときに、その数値を1.380649×10?23と定めることによって定義される。ここで、キログラム、メートルおよび秒はh、c およびΔνCsに関連して定義される。水の標準大気圧下での融点と沸点の温度差の100分の1
物質量モルmolモル(記号はmol)は、物質量のSI 単位であり、1モルには、厳密に6.02214076×1023の要素粒子が含まれる。この数は、アボガドロ定数NAを単位mol?1 で表したときの数値であり、アボガドロ数と呼ばれる。系の物質量(記号はn)は、特定された要素粒子の数の尺度である。要素粒子は、原子、分子、イオン、電子、その他の粒子、あるいは、粒子の集合体のいずれであってもよい。1 g/molの原子量または分子量
光度カンデラcdカンデラ(記号はcd)は、所定の方向における光度のSI単位であり、周波数540×1012 Hzの単色放射の視感効果度Kcd を単位lm W?1(cd sr W?1あるいはcd sr kg?1 m?2 s3に等しい)で表したときに、その数値を683と定めることによって定義される。ここで、キログラム、メートルおよび秒はh、c およびΔνCsに関連して定義される。燭(ろうそく1本の光度)
表の通り、基本単位の定義の記載順序は、2019年の再定義を経て「時間、長さ、質量、電流、温度、物質量、光度」の順となっている[6]。参考までに、その前の定義の際は「長さ、質量、時間…(以下同じ)」の順序であった[7]。
2019年の再定義詳細は「SI基本単位の再定義 (2019年)」を参照
上記のすべてのSI基本単位は、2018年11月16日の第26回国際度量衡総会の決議・採択の結果、新しい定義に置き換えられ、2019年5月20日より新定義は施行、運用されている。この定義の変更では特に、キログラムとアンペア、ケルビン、モルには大きな修正が加えられた[8]。 第26回国際度量衡総会の決議に基づき、日本の計量単位令におけるSI基本単位の定義が改正された。この改正では、必要最小限の簡潔な定義となっている[9]。なお、秒、メートル、カンデラの定義文は改正されていない。
計量法の定義の変更
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 少なくとも国際的・公的には、たとえば空間上の長さを示すにあたってはメートル(及びその倍量・分量単位)のみを用い、他の体系による単位(ヤードや尺、海里など)は用いない、という意味である。
^ この単位間の関係は、次元解析をすることで、容易に見出すこともできる。
^ 一貫性のあるSI単位は、SI基本単位の組み合わせのみによって表現することが可能である。
^ SI基本単位の定義において、SI基本単位ではない単位が含まれるものもあるが、いずれも別のSI基本単位に由来するものであり、循環定義ではない。
出典^ “SI文書第9版(2019)日本語版及び関連資料 「国際単位系(SI)基本単位の定義改定と計量標準」
表
話
編
歴
SI単位
基本単位
秒
メートル
キログラム
アンペア
ケルビン
モル
カンデラ
組立単位
ラジアン
ステラジアン
ヘルツ
ニュートン
パスカル
ジュール
ワット
クーロン
ボルト
ファラド
オーム
ジーメンス
ウェーバ
テスラ
ヘンリー
セルシウス度
ルーメン
ルクス
ベクレル
グレイ
シーベルト
カタール
併用単位
分
時
日
天文単位
度
分 (角度)
秒 (角度)
ヘクタール
リットル
トン
ダルトン
電子ボルト
ネーパ
ベル
デシベル
関連項目
SI接頭語
単位系
物理単位
単位の換算一覧
国際量体系
基本単位の再定義
Category:SI基本単位