SI併用単位
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SI併用単位(エスアイへいようたんい)、公式には「SI単位と併用できる非SI単位[1]」(: Unites en dehors du SI dont l’usage est accepte avec le SI[2]: Non-SI units accepted for use with the SI Units[3])とは、国際単位系において、SI単位ではないが、SI単位との併用が国際度量衡委員会 (CIPM) により認められている単位である[1]

SI基本単位SI組立単位およびSI接頭語から成るSI単位は、計算の際に単位の換算をしなくて済むという利点があり、全ての人がSI単位を使用することで、その利点がより発揮されることになる。しかし、実際にはいくつかの非SI単位が科学、技術、通商の分野で使用されており、それらは今後も使われ続けることが予想される。そのため、SIの国際文書ではそれらの非SI単位のうちの15単位を「SI単位と併用できる非SI単位」として明示している。
SI併用単位

下記に、SI国際文書「国際単位系(SI)」第9版(2019年)第4章「SI単位と併用できる非SI単位(Non-SI units accepted for use with the SI Units)」の表8[4][5]で挙げられている15個の非SI単位の全てを列挙する。この表中の非SI単位は、SI単位との併用が認められる。なお、ガル(Gal)については、この表8の側方の欄外に掲げられているが、その意味するところは明らかではない。

最後の二つの欄の「計量法上の位置づけ」と「SI接頭語との組合わせ」は、SI国際文書には記載がなく、参考として付加したものである。

SI単位と併用できる非SI単位量単位の名称単位の記号SI単位による値(参考)計量法上の位置づけ(参考)SI接頭語との組合わせ
時間min1 min = 60 s法定不可
h1 h = 60 min = 3600 s法定不可
d1 d = 24 h = 86400 s非法定[注 1]不可
長さ天文単位[a]au1 au = 149597870700 m非法定不明
平面角および位相角°1° = (π/180) rad法定不可
′1′ = (1/60)° = (π/10800) rad法定不可
[b]″1″ = (1/60)′ = (π/648000) rad法定可 注[b]参照。計量法では不可
面積ヘクタール[c]ha1 ha = 1 hm2 = 104 m2特殊不可
体積リットル[d]l, L[6]1 l = 1 L = 1 dm3 = 103 cm3 = 10?3 m3法定可
質量トン[e]t1 t = 103 kg法定可
ダルトン[f]Da1 Da = 1.66053906660(50)×10?27 kg[注 2][7]非法定可
エネルギー電子ボルト[g]eV1 eV = 1.602176634×10?19 J非法定可
比の対数ネーパ[h]Np非法定不明
ベル[h]B非法定不明
デシベル[h]dB法定不可

(表の側方欄外)ガル(記号 Gal)は、測地学および地球物理学で重力加速度を表現するために用いられている加速度非SI単位である。1 Gal = 1 cm s−2 = 10−2 m s−2

(参考)(注)「(参考)計量法上の位置づけ」欄の意味: 法定:法定計量単位、特殊:特殊の計量に用いる法定計量単位、非法定:非法定計量単位^ 国際天文学連合(AIU)第28回総会の決定に拠る(決議B2、2012年)
^ a b 天文学など一部の利用分野では、微小角度は、as または ″ の記号で表される秒角(平面角の秒)、あるいは、それぞれ mas、μas、pas の記号で表されるミリ秒角、マイクロ秒角、ピコ秒角 で測定されている。秒角は平面角の秒の別称である。
^ ヘクタールという単位とその記号 ha は、1879年の国際度量衡委員会で採択された(PV, 1879, 41)。ヘクタールは土地面積を表す際に使われる。
^ リットルとその記号である小文字の l は、1879年の国際度量衡委員会で採択された (PV, 1879, 41)。もう一つの記号である大文字の L は、小文字のl(エル)と数字の1(いち)を間違えるリスクを回避するため、第16回国際度量衡総会(CGPM)で採択された(1979年, 決議 6; CR, 101 および Metrologia, 1980, 16, 56-57)。
^ トンとその記号 t は、1879年の国際度量衡委員会で採択された(PV, 1879, 41)。この単位は、一部の英語圏の国で「メートルトン(metric ton)」と呼ばれている。
^ ダルトン(Da)と統一原子質量単位(u)は、同じ単位の別称(と記号)で、静止して基底状態にある自由な炭素12原子の質量の1/12と等しい。表中のダルトンの値は、CODATA2018の推奨値である。
^ 電子ボルトは、電子が真空中で1 ボルトの電位差を通過することによって得る運動エネルギーである。電子ボルトは、SI接頭語と組み合わせて使われることが多い。
^ a b c これらの単位を使う際には、量の性質が特定されていること、そして、使用されるあらゆる基準値が特定されていることが重要である。

計量法の規定との関係

SI併用単位であっても、そのすべてが法定計量単位となっているわけではない。日本の計量法の規定では、次のようになっている。

法定計量単位となっている単位  8単位





リットル

トン

デシベル



特殊の計量にのみ使用できる法定計量単位[8]   1単位

ヘクタール(土地の面積の計量のみに使用できる)



法定計量単位ではない単位  6単位

(計量単位ではなくの単位と位置づけられている。)

天文単位

ダルトン

電子ボルト

ネーパベル


SI接頭語との組合わせ

国際単位系国際文書第9版(2019)は、「SI接頭語は、SI併用単位の一部とは併用できるが、例えば時間の非SI単位との併用はできない。」と記述しているのみで、分・時・日以外の12個のSI併用単位のうち、どの単位がSI接頭語と組み合わせることができるかについては、明確に述べていない。

日本の計量法の規定(計量単位令第4条1号)では、次の単位にはSI接頭語を付することができない(SI接頭語#法定計量単位のうちSI接頭語を付けることができない単位)ので、これをも参考にした分類は次の通りである。なお、 は計量法上は計量単位ではなく、の単位と位置づけられている。

分(時間)、度(角度)、分 (角度)秒 (角度)[注 3]デシベル

SI接頭語と組み合わせることができる単位


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