SFドラマ
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SFドラマ(エスエフドラマ)とは、サイエンス・フィクション (SF) をモチーフにしたドラマのことである。基本的にテレビドラマ作品を指すが、ラジオドラマオリジナルビデオ、ネットドラマなども存在する。SF映画同様に宇宙宇宙人をテーマにしたものや、科学的考証を元にした冒険もの、不条理世界におけるサスペンスや活劇、などの題材がよく扱われる。空想上の世界を描くために特撮技術を駆使して作られることが多いので、多くが特撮テレビ番組にも分類される。
SFドラマの歴史と文化
アメリカ合衆国

アメリカでは、マスメディアとしてのテレビ放送の開始以来、常にSFドラマが人気のジャンルとなっている。

アメリカのテレビでの最初の人気SFドラマは子供向け冒険シリーズ『キャプテン・ビデオ(英語版)』で、1949年6月から1955年4月まで放送された[1]。『キャプテン・ビデオ』の放送開始から8カ月以内に2つの画期的なドラマが放送開始となった。Tom Corbett, Space Cadet(1950年3月 - 1955年2月)と Space Patrol(1950年3月 - 1955年2月)である。ABCも急成長するSFドラマ市場に資金を注ぎ込み、戦前からのシリーズ映画『バック・ロジャース』のテレビ版を1950年に放送開始したが、数カ月で失敗に終わった。Rod Brown of the Rocket Rangers (CBS) もわずか数週間で打ち切りとなっている。

1950年代の子供向けSFドラマとしては他に Captain Z-Ro(1951 - 1956年)、Rocky Jones, Space Ranger(1954年)、『フラッシュ・ゴードン』(1954 - 1955年)がある。

大人向けの最初のSFドラマはABCが1951年8月3日に放送開始した Tales of Tomorrow で、1953年まで続いた。1話完結のオムニバス形式で、子供向けにも既にそのような形態の番組が存在していた[2]。2カ月後、CBSの同様のSFドラマシリーズ Out There が始まり、12話まで放送された[3]。初期のオムニバスSFドラマとしては他に Science Fiction Theatre があり、1955年から1957年まで放送された。その後1959年に『トワイライト・ゾーン』、1963年に『アウターリミッツ』が続いた。

1960年代中盤になると連続もののSFドラマが復活を果たした。これにはプロデューサーのアーウィン・アレンによるところが大きい。1961年の自身の映画『地球の危機』に基づき、アレンは1964年に『原子力潜水艦シービュー号』を放送開始した。このシリーズは4シーズン続いた。次にアレンはスペースオペラ作品『宇宙家族ロビンソン』(1965 - 1968年)を制作し、人気を博した。すぐさま2つのSFドラマ『タイムトンネル』と『巨人の惑星』を1966年に放送している。

ここで予期しない大作『宇宙大作戦』(1966 - 1969年)が登場する。ジーン・ロッデンベリー制作で、NBCで放送された。1968年初めごろNBCは本作を終了させようとしたが、熱狂的なファンを Bjo Trimble が組織してキャンペーンを展開し、本作品を放送継続させることに成功。テレビ・ネットワークと視聴者の関係が大きく変化する事件だった。しかし最終的に『宇宙大作戦』が終了すると、アメリカでのSFドラマはしばらく低調になった。

1970年代末になると映画『スター・ウォーズ』の影響を受けてSFへの興味が再燃。それを受けて『バック・ロジャース』の新シリーズや『宇宙空母ギャラクティカ』(1978 - 1980年)が登場した。

1983年、冷戦第二次世界大戦の寓意として全体主義、プロパガンダ、協調、レジスタンスなどを描いた『V』が放送された。

1987年、冷めやらないファンの要望に応え、スタートレックの新シリーズ『新スタートレック』が制作され、大いに人気を博した。そのためさらに続編が企画され、『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン』、『スタートレック:ヴォイジャー』、『スタートレック:エンタープライズ』と続き、2005年に完結した。

タイムトラベルものの『タイムマシーンにお願い』(1989 - 1993年)は、視聴者層を広げるため現代的設定を使っていた。1993年、環境をテーマにした『シークエスト』が登場。同年、詳細な世界設定と複雑なストーリー展開の『バビロン5』の放送も開始された。一般受けという面では弱かったものの、『バビロン5』はSFファンダム内では大変な人気となった。この作品によって視聴者の期待するレベルが上がり、1990年代後半のSFドラマ全般の質の向上がもたらされた。

Xファイル』(1993 - 2002年)はよく言われている陰謀説やその時代の恐怖を活用し、10年に渡って商業的成功を収めた。その後のファンタジーやホラーのドラマは『Xファイル』の影響を受けている。成功例として『バフィー ?恋する十字架?』(とそのスピンオフの『エンジェル』)がある。

1990年代末にはコミカルなSFドラマが人気となった。例えば 3rd Rock from the Sun やアニメーションの『フューチュラマ』がある。

21世紀に入ると超常的なテーマのSFドラマ『ミディアム 霊能者アリソン・デュボア』や『ゴースト ?天国からのささやき』が主要ネットワークで放送されている。このころからアメリカ国外で制作されたSFドラマが増えており、『スターゲイト SG-1』や『GALACTICA/ギャラクティカ』などがある(どちらもカナダとの共同制作)。

低制作費のリアリティ番組が人気となったため、制作費のかかるSFドラマは特に打撃を受けている。そのため、2003年ごろから明らかにSFドラマの制作本数が減っているが、2004年の『GALACTICA/ギャラクティカ』、NBCの『HEROES』、ABCの『LOST』などは視聴者を大いに惹きつけている。

1980年代中盤から1990年代中盤にかけて、SFドラマにとって最初のネット放映の獲得が最も重要だったが、その後はSF専門チャンネル Syfy が最初の放送の場所となることが多い。

一時期、有名なSF作家がSFドラマの原作・脚本を手がけることがあった。例えば、ウィリアム・ギブスンスティーブン・キングの作品が『Xファイル』のエピソードに採用されている。ラリー・ニーヴンは Land of the Lost の脚本を書いたことがある。ハーラン・エリスンは『バビロン5』のクリエイティブ・コンサルタントを務めた。
イギリス

世界初のテレビ放送されたSFドラマはBBCが1938年2月11日に放送した35分の番組で、戯曲『R.U.R.』の一部をドラマ化したものだった[4]

1953年夏、BBCのスタッフライター Nigel Kneale が書いた The Quatermass Experiment が放送され、後に続編も制作され、映画化もされた(『原子人間』1955年)。1960年代には、独立ネットワークのITVでカナダ人プロデューサー Sydney Newman の影響で Pathfinders In Space (1960) や Pathfinders to Venus (1961) という連続ドラマが放送された。1961年、BBCで放送された A for Andromeda(原作はフレッド・ホイルの『アンドロメダのA』)では、異星人からの通信を元に製作されたスーパーコンピュータとその上で動作する人工知能を扱っている。

1963年、BBCは史上最も長いSFドラマシリーズとなった『ドクター・フー』の制作を開始した。ドクターと呼ばれるタイムトラベルをする異星人が主人公である。オリジナルのシリーズは26シーズンまで続き、2005年から再び制作されている。ドクター・フーの制作に関わった人々が新たにSFドラマを制作しており、Doomwatch(1970 - 1973年)、Survivors(1975 - 1977年)、Blake's 7(1978 - 1981年)などがある。

ジェリーシルヴィア・アンダーソン夫妻はITVにて、人形を使った「スーパーマリオネーション」という技法で一連のSFドラマを制作した。


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