SD戦国伝
[Wikipedia|▼Menu]

武者ガンダム(むしゃガンダム、武者頑駄無)は、甲冑姿をしたガンダムタイプモビルスーツあるいは生命体の個体名、総称、及びそれらを中心とする玩具シリーズ、漫画作品の総称である。元来は最初に漫画に描かれた武者ガンダム単体の機体名であったが、一般的にはSDガンダムにおける「SD戦国伝」シリーズとその後継、またそれらの登場キャラクターの総称として使われる。
概要

一般にガンダムシリーズの作品群のうち、鎧武者姿のガンダム及びこれらが主人公を務めるシリーズを称して武者ガンダムと呼ぶ。特に頭身が小さくデフォルメ(スーパー・デフォルメ: SD)されている「SDガンダム」シリーズにおけるものが一般的である。舞台設定が日本の戦国時代を意識したものとなっているため、個体名には外国語を思わせるカタカナ表記を避け武者頑駄無(むしゃがんだむ)と漢字で表記をすることも多い。

一部シリーズに登場する「鉄機武者」と「ムシャジェネレーション」を除き、SD武者ガンダムシリーズでの武者は機械(ロボット)ではなくあくまで意志を持つ一個の生命体として描かれており、種族個体として人間と多少の差異はあれど、ほぼ同様に成長していく。擬人化ならぬ〈人間の擬ガンダム化〉というべき解釈の余地が設けられているのも他のSDガンダムシリーズとは異なる特徴である。
武者ガンダムの展開
SD以前

武者ガンダムの初出は、「コミックボンボン1985年6月号掲載の漫画『プラモ狂四郎』(原作クラフト団・作画やまと虹一)において主人公の四郎が、茂合岩男との決戦のためにオリジナルデザイン・スクラッチビルドした1/144スケールの模型としてでこの時の呼称は「武者ガンダム」で、SDではなく通常の頭身のデザインであった。

戦国時代の武者をモチーフにした鎧兜や刀などをガンダムに装備させた斬新なデザインの発想は、元来サンライズ製作のロボットアニメが『無敵超人ザンボット3』『無敵鋼人ダイターン3』『機動戦士ガンダム』と代々主役メカのデザインモチーフを日本の武者に求めてきた伝統に由来する。ラフデザインはクラフト団代表の安井尚志によるもので、クリンナップはやまと虹一とされる[1]このため後述の経緯でSD化された後でも、安井・やまと作品を元デザインとする武者ガンダムには企画原案として安井とやまとの名がクレジットされている。この後に作中には「武者ガンダムMk-II」「武者Ζガンダム」などの発展型モデルが登場する事等から、単純に初代ガンダム(RX-78-2)に鎧武者の格好をさせたものと思われがちだが、漫画の中ではガンダムMk-IIをベースとし作られているため、実際には各部のディテールにはガンダムMk-IIの意匠も混在しており、SD戦国伝以降に定着した「特定のモビルスーツの武者バージョン」という単純な解釈には収まらない『武者ガンダム』という機体として独立している。

武者ガンダムMk-IIのデザインはときた洸一[1][注 1]。武者ガンダムMk-IIの名は「『武者ガンダム』の後継機」という意味合いを『機動戦士Ζガンダム』の命名基準に準じて「Mk-II」と表現したもので、モビルスーツとしてのガンダムMk-IIの意匠は各部に盛り込まれているものの(初代武者ガンダムにもそもそもガンダムMk-IIの要素が含まれるのは前述の通りである)、フェイスはガンダムMk-IIの後継機であるΖガンダム風の意匠が採用されている。

さらに後に登場する武者Ζガンダムのデザインはやまと虹一[3]。全体のモチーフこそΖガンダムが基にはなっているが、特徴であったウェイブライダー変形機構やフライングアーマーを廃し、騎馬サポートメカとのドッキングという独自の特徴を有しており、脚部の意匠はRX-78のものがほぼそのまま流用されている。このドッキング機構「ケンタウロススペシャル」は安井尚志の原作で指定されていた設定であり、デザインされる際には武者ガンダムとしては異例の西洋甲冑のイメージも採り入れられている。

なお、初代武者ガンダムに関しては続編『新プラモ狂四郎』でも再登場を果たしている。さらに、これらのデザインはSDアレンジを加えて最初期のSD武者ガンダムシリーズに流用された為、上記のような「武者頑駄無摩亜屈(ムシャガンダムマークツー)」のフェイスはΖガンダム風の所謂ゼータ顔をしている、あるいは「武者精太頑駄無(ムシャゼータガンダム)」の脚がRX-78の意匠を採用しているなどの特徴はそのまま残っている。
SD以後

武者ガンダムは『プラモ狂四郎』完結後も、1987年ガシャポンガシャポン戦士スーパーディフォルメガンダムワールド」MK13『武者ガンダム』、および1988年のプラモデルSDガンダム BB戦士No.17『ムシャガンダム』、元祖SDガンダムNo.14『武者精太』としての立体化、また1987年のファミコンソフト『SDガンダムワールド ガチャポン戦士 スクランブルウォーズ』でのボスキャラクターとしての採用、1988年のカードダス「SDガンダムワールド」パート4での「武者ガンダムMk-II』(127)の登場等をそれぞれの契機として、SD体型での商品展開が行なわれることとなった。以後次々と武者タイプのモビルスーツが立体化されていく。

これと前後して最初の武者ガンダムのストーリーライン「SD戦国伝」が生まれているが、この成り立ちはプラモデルシリーズ「SDガンダム BB戦士」の組立説明書に掲載されていた漫画『コミックワールド』(MARSHIこと今石進作)を端緒とする。実質上のSD戦国伝第1話と言えるBB戦士No.17『ムシャガンダム』における『コミックワールド』第11話「七人の頑駄無」は本来、今石が後の展開を意識せず即興的に描いたものであったが、この設定が原型となり以後のBB戦士「武者七人衆編」シリーズが展開することとなった。ガンダムに「頑駄無」の字をあてたのも今石の発案である[1]。『コミックワールド』でも武者ガンダムをモチーフとしたストーリーは「武者七人衆編」と題されて連載形式となり、ここから今石のデザインとともに新たな設定が生まれ新商品に繋がるというサイクルが自然発生的に生まれている(例えばBB戦士No.42として発売される『殺駆三兄弟』の初出はBB戦士No.23『武者精太』付属の『コミックワールド』第17話である)。

同時期、BB戦士のデザインクリンナップを担当した鳥山劣こと横井孝二もコミックボンボン誌上でのプラモデルのタイアップ作品である連載ギャグ漫画『元祖! SDガンダム』に武者ガンダムを積極的に描きキャラクター性を拡げていった。しかしこうした現場では『コミックワールド』を描く今石と『元祖! SDガンダム』を描く横井の間に連携はなく、互いに無計画に展開を進めていたという[1]

こうした一種場当たり的なキャラクター展開が進む一方、BB戦士の販売元バンダイはそれまでと将来の商品展開を総括して整合性のあるストーリーラインに纏めるために、コミックボンボン誌と連携し1989年6月号より「SD戦国伝」と題したタイアップ企画を展開する。これらは主にボンボン誌上のグラビア・特集記事の形でイラストやプラモデルの写真と文字情報を中心に構成されており、文芸設定はレイアップの平松昭彦が担当した[1]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:88 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef