SAP_AG
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当初の戦略はあまねく業務ソフトウェアを提供し、SAP製品同士であればシステム間のデータなどの整合性を担保することによって他社との競争優位を引き出していたが、昨今のサービス指向アーキテクチャ (SOA) の流行による戦略の転換を図り、2003年からはSOAに対応した「SAP NetWeaver(ネットウィーバー)」という製品を販売している。SAPはSOAをenterprise SOA(SAP NetWeaver; 登場当時はEnterprise Service Architecture (ESA) と呼ばれた)と呼称している。
DB/BI/DWH

2008年1月にビジネスインテリジェンス(BI)最大手のBusinessObjects(ビジネスオブジェクツ)社を買収し、情報分析・活用分野も強化している[28]。計画、予測、BIなどのアナリティクス機能を1つにまとめたSaaS型のソリューション「SAP Analytics Cloud(アナリティクス・クラウド)」(旧称:SAP BusinessObjects Cloud)も提供している[22]

2010年にデータベース大手Sybase(サイベース)社を買収し、リレーショナルデータベース製品「SAP Sybase Adaptive Server Enterprise(ASE)」(旧称:Sybase Adaptive Server Enterprise)や「SAP IQ」(旧称:Sybase IQ)を販売しているが[29][30][31]、2010年よりインメモリーデータベース(DB)SAP HANA(ハナ)」をリリースした。SAP HANAのリリース以降、SAPはSAP HANAを専用データベースとして採用した製品を次々とリリースしており、2015年に次世代ERP「SAP S/4HANA(エス・フォー・ハナ)」の提供を開始、2016年にデータウェアハウス(DWH)製品の「SAP BW/4HANA」をリリースした[32][14][33]。2019年にSAPはガートナー社によるマジック・クアドラントのオペレーショナルデータベース管理部門でリーダー企業の1社に選出され、総合評価で4位につけている[34]
PaaS

2013年にクラウドネイティブのWebアプリケーションモバイルアプリケーションを開発できるクラウドベースのアプリケーション開発プラットフォーム「SAP Cloud Platform」(旧称:SAP HANA Cloud Platform)の提供を開始した[35][36]。Appleとの提携に基づいた「SAP Cloud Platform SDK for iOS」やIoT活用の基盤となる「SAP Cloud Platform IoTサービス」なども提供している[37]

SAP Business Suite製品群を運用するために特化されたプライベートマネージドクラウドサービスとして「SAP HANA Enterprise Cloud」(HEC)も提供されている[38]
AI / RPA

人工知能(Artificial Intelligence)Robotic Process Automation(RPA)を活用したアプリケーションの開発も行っている[39][40]。機械学習ソリューションを開発するためのプラットフォームとして「SAP Leonardo Machine Learning」やチャットボットアプリを開発するための「SAP Conversational AI」を提供しているほか、在庫などの予測分析のための「SAP Predictive Analytics」、支払請求書と入金消込のマッチングを自動的に行う「SAP Cash Application」、ブランドマーケティングの効果を測定するための「SAP Brand Impact」などの業務アプリケーションがリリースされている[41][42]

2018年にフランスのContextor社を買収し[43]、2019年にSAP Cloud Platform上で利用できるサービスとして「SAP Intelligent Robotic Process Automation(RPA)」を発表してRPA市場への参入を果たした[44]
IoT

2017年1月にIoT関連のサービスポートフォリオとして「SAP Leonardo」(現SAP Leonardo IoT)をリリースし、企業のIoT導入を支援するソフトウェア群とコンサルティングサービスの提供を開始した[45][46]。2017年5月に自動車の挙動情報を収集し分析するアプリケーション「Connected Transportation Safety(CTS)」も公開された[22]
ブロックチェーン

SAP Leonardoの一部として「SAP Leonardo Blockchain」パッケージでブロックチェーン技術を利用可能であったが、2018年6月にブロックチェーン・アズ・ア・サービス (Blockchain as a service) として「SAP Cloud Platform Blockchain」の提供開始を発表した[47]。SAPはこれまでに製造、流通、食品、医薬品等の多数の分野でブロックチェーンの利用事例を作り、65社の企業と提携している[47][48]。更にSAPグループ開発技術の利用資格を持つメンバーのブロックチェーンコンソーシアムを結成しており、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、インテル、UPS等の大手企業が参加を表明している[48]
量子コンピューティング

ドイツ企業10社で結成した量子コンピューティング活用のためのコンソーシアムにSAPも参画しており、フォルクスワーゲンボッシュシーメンスメルクBASF等の企業と協力して電気自動車用電池の開発や創薬で活用に取り組んでいる。[49]
業務提携

近年では異業種を含めた他社との協業を強化し、新たな領域での事業の創出に注力している。2015年12月時点では新事業が売上高の6割を占め、ERPを中心とする既存事業からの依存脱却を図っている[50]。提携先は、米Apple、米Google、米IBM、米マイクロソフトなどのIT企業のほか、異業種では独シーメンス、米アンダーアーマー、米UPS、独アディダス、伊トレニタリア(鉄道大手)、伊ピレリ(タイヤ大手)、独サッカー代表チーム、韓国政府、中国政府などの企業や組織が挙げられる[51][50][52][53]


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