SAIS
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ポール・H・ニッツェ
高等国際関係大学院Paul H. Nitze
School of Advanced International Studies (SAIS)

種別私立
設立年1942年
所在地 アメリカ合衆国
コロンビア特別区ワシントン
ジョンズ・ホプキンズ大学
公式サイト ⇒公式ウェブサイト
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ジョンズ・ホプキンズ大学ポール・H・ニッツェ高等国際関係大学院(英語:Paul H. Nitze School of Advanced International Studies、略称:SAIS)はアメリカ合衆国の私立大学、ジョンズ・ホプキンズ大学の一部であり、ワシントンD.C.に本拠を構える国際関係学/国際経済学に特化した大学院であり、ハーバード大学(HKS)、ジョージタウン大学(SFS)と共に世界最高峰の評価を受けており、政財界へ指導的な人材を輩出しつづけている。
概要

SAISは米国メリーランド州に本部キャンパスを置くジョンズ・ホプキンズ大学の一部であるが、独立した大学院として実務家向けの国際関係学/国際経済学に特化したプログラムを有する。ワシントンD.C.を本拠とし、イタリアボローニャ中国南京にそれぞれキャンパスを有する。
プログラム

主要なプログラムとして、2?3年の実務経験を経た学生向けの2年間の国際関係学/国際経済学の修士課程(MA)の他、より実務経験の長い学生を対象とした1年間の国際行政学修士課程(MIPP)及び博士課程(Ph.D)を持つ[1]。また、2014年度より国際経済金融学修士課程(MIEF)が開始された。2013年2月、MAプログラムは合計826名、MIPPプログラムに89名、Ph.Dプログラムには47名が在籍している。主なプログラムに関しては以下の通りである。なお、南京校のみで提供されるプログラムは後段の南京校の項目で説明される。
Master of Arts (MA)

最も多くの学生が取得する学位。国際関係学にかかる修士号であり、さらに専攻(Concentration)として国際経済学及び後述する領域/地域分野が付与される。16科目の履修が必要であり、4学期間(2年間)での修了が標準となる。このMAプログラムで学ぶ学生はワシントンD.C.校で2年間、もしくはワシントンD.C.校とボローニャ校で1年ずつを過ごすのが一般的である。
Master of International Public Policy (MIPP)

一定の職務経験を積んだプロフェッショナルを対象としたミッド・キャリア向けプログラム。8科目を履修し、フルタイムで2学期間(1年間)かけて修了することができる。なお、開講される科目に関してはMAプログラムと共通である。必修科目は指定されないが、専攻(Affiliation)を選択する場合にはそれぞれの専攻ごとの要件を満たす必要がある。
Master of International Economics and Finance (MIEF)

2014年度より開始されたプログラムで、より経済金融分野に特化する。16科目の履修が必要であることはMAプログラムと同様であるが、秋学期、春学期に加えて夏学期及び冬学期の集中講義を行うことで、履修期間は11か月に短縮される。そのうち14科目はMIEFプログラムのみの科目として開講され、2科目をMA/MIPPプログラムとの共通科目から選ぶことになる[2]
評価

一般的に国際関係学の分野では世界で最も優れた大学院とされ、2005年には米フォーリン・ポリシー誌が1,000人の専門家を対象に調査した結果、その65%がSAISの修士課程を最優秀プログラムに選んだ。それ以来、同誌の行うランキングにおいては、SAISはジョージタウン大学(エドムンド・A・ウォルシュ外交大学院/SFS)と常に首位を争っている。
フォーリン・ポリシー誌によるランキング(2015年)[3]

ジョージタウン大学(エドムンド・A・ウォルシュ外交大学院/SFS)

ジョンズ・ホプキンズ大学(ポール・H・ニッツェ高等国際関係大学院/SAIS)

ハーバード大学ケネディ行政大学院

プリンストン大学(ウッドロウ・ウィルソン公共政策・国際関係大学院/WWS)

コロンビア大学(国際公共政策大学院/SIPA)

タフツ大学フレッチャー法律外交大学院

ジョージ・ワシントン大学エリオット国際関係大学院/ESIA)

アメリカン大学(国際関係大学院/SIS)

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)

スタンフォード大学

特色
経済学

SAISのMAプログラムにおいて、学生は必ず専攻分野として国際経済学を学ぶ。そのため、修了要件として課す経済科目は他校よりも多い(2012年度は6科目が要件とされている)。これは国際関係分野における経済学の理論・実践を重視する校風を示すもので、SAISの特色ともなっている[4]
語学

SAISのもう1つの特色は語学学習であり、20に及ぶ言語について初級から上級までの科目が開講される。MAプログラムでは母国語ではない言語を1つ履修することが求められ、その言語で一定のレベルに達することが修了要件となる[5]
立地

全ての学生が1年または2年間を過ごすワシントンD.C.は、米国連邦政府機関や各国の大使館のほか、世界銀行国際通貨基金をはじめとした数々の国際機関が本拠を置き、またSAISの本部であるニッツェ棟はブルッキングス研究所カーネギー国際平和基金、国際開発センター及びパターソン研究所に隣接する。このため、米国や諸外国の要人、国際機関、シンクタンクの関係者が客員教官として授業を行い[6]、セミナーを開催することが少なくない[7]。同時にそれらの機関へ就職する卒業生も多く、特に世界銀行を中心とした国際機関での人脈はSAISマフィアと呼ばれる。
複学位プログラム

SAISは他の大学院との複学位プログラムを有しており、以下の提携校の各修士プログラムとSAISのMAプログラムを組み合わせることで、個別に修了する場合に比べ半年から1年、課程を短縮することを許可している。なお、公式に提携関係のない大学院に関しても、同様の短縮要件が適用されることがある[8]。また、過去に経済学など関連分野で別の修士を取得している場合も、同様に履修期間の短縮が認められることがある[9]

ダートマス大学タック経営大学院

ペンシルベニア大学ウォートン経営大学院

INSEAD

ジョンズ・ホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生大学院

スタンフォード大学法科大学院

ヴァージニア大学法科大学院

シラキュース大学行政大学院

歴史

SAISは、第二次世界大戦下の1943年にポール・ニッツェ及びクリスティアン・アーチボルド・ハーターによって設立され、その目的は国際政治におけるリーダーの育成にあった。1944年に15名の学生を初めて受け入れて以来規模を拡大し、1950年にはジョンズ・ホプキンズ大学の一部となった。1954年にラングーン校(1962年に政治情勢の変化を受けて閉校[10])を、1955年にボローニャ校、1986年には南京校を開設する一方、留学生の数も増加を辿り、国際的なプレゼンスを確立した。2006年からの付属の米韓研究所は、ワシントンにおける韓国の足場となっている。
専攻

SAISの学生は、国際経済学に加えて以下の分野から1つ若しくは2つの専攻を選択する[11]
領域専攻

紛争管理論(Conflict Management)

エネルギー・資源・環境論(Energy, Resources and Environment)

国際関係理論/国際関係史(Global Theory and History)

国際開発論(International Development)

国際法・機構論(International Law and Organizations)

国際関係総論(International Relations)

戦略論(Strategic Studies)

地域専攻

アジア(Asian Studies)

日本(Japan Studies)

中国(China Studies)

韓国朝鮮(Korea Studies)

東南アジア(Southeast Asia Studies)

南アジア(South Asia Studies)

米国(American Foreign Policy)

カナダ(Canadian Studies)

中南米(Latin American Studies)

欧州(European Studies)

ロシア・東欧(Russian and Eurasian Studies)

中東(Middle East Studies)

アフリカ(African Studies)

学生

2012年度にはワシントンD.C.校で640名、ボローニャ校で200名、南京校で180名が学ぶ。留学生はそのうち3分の1ほどであり、70以上の国から集まっている。また米国籍の学生に関しても留学若しくは国外での実務経験を有するものがほとんどであり、全学生の70%が何らかの形で国際経験を積んで入学する[12]


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