S-アデノシルメチオニン
IUPAC名
(2S)-2-Amino-4-[[(2S,3S,4R,5R)-5-(6-aminopurin-9-yl)-3,4-dihydroxyoxolan-2-yl]methyl-methylsulfonio]butanoate
別称.mw-parser-output .plainlist--only-child>ol,.mw-parser-output .plainlist--only-child>ul{line-height:inherit;list-style:none none;margin:0;padding-left:0}.mw-parser-output .plainlist--only-child>ol li,.mw-parser-output .plainlist--only-child>ul li{margin-bottom:0}
S-Adenosyl-L-methionine
S-アデノシル-L-メチオニン
ademetionine
SAM-e
SAMe
識別情報
CAS登録番号29908-03-0
S-アデノシルメチオニン(英: S‐adenosylmethionine、SAM、SAM-e)とは、アデノシンとメチオニンとから生体内で合成される生体内物質である。S-アデノシル-L-メチオニンやアデメチオニン(Ademetionine、AdoMet)、活性メチオニン(active methionine)などとも呼ばれる。 アデノシンとメチオニンとはメチルスルホニウム結合を介して連結しているが、このメチルスルホニウム結合は高エネルギー結合であり、このメチル基がコリン・クレアチニンなどのメチル化合物生成に利用される。メチル基を失ったS-アデノシルメチオニンはS-アデノシル-L-ホモシステイン(SAH)となる。 動物では肝臓においてメチオニントランスアデニラーゼによりL‐メチオニンとATPから生成される。S-アデノシルメチオニンはポリアミン代謝の重要な中間体であり、脱炭酸反応によりアミノプロピル体となった後、プトレシンに付加するとスペルミジンが生成する。スペルミジンはアミノブチル基に付加してスペルミンとなる。 植物においては、S-アデノシルメチオニンからシクロプロパンカルボン酸を経由して植物ホルモンであるエチレンが産生する。 補欠分子族の一種で、メチル基供与体として作用する。例えば、DNAメチルトランスフェラーゼによってSAMのメチル基がDNA塩基に転移し、塩基にメチル基が修飾される、いわゆるDNAメチル化と呼ばれる反応が起きる。メチル化されたDNAは遺伝子発現などを変化させるため、エピジェネティクスの分野で重要な研究対象となっている。 アメリカとカナダでは、SAMはSAM-eのマーケティング名の下で栄養サプリメントとして販売されている。(またSAMEやSAMeの綴り:「sam ee」あるいは「Sammy」と発音される) SAMはまた、ロシア、イタリアおよびドイツでは、Gumbaral、Samyr、Adomet、HeptralやAdmethionineの商標で、認可された処方薬として販売されている。 複数の臨床試験を含むいくつかの研究では、定期的にSAMを摂取することで、うつ病[1][2][3]、肝疾患、変形性関節症の痛みと闘う助けとなる可能性が示唆されている[4]。他のすべての適応症はまだ証明されていない。 2016年のシステマティックレビューではうつ病に対する使用の研究はあるが質の高い証拠は見つからなかった[5]。 アメリカでのSAMの治療上の使用は、ダイエタリー・サプリメントとしての人気を得て、とりわけ1994年の栄養補助食品健康教育法が制定された後に増加した。この法律はサプリメントとしてのSAMの販売を許可し、従ってアメリカ食品医薬品局(FDA)の薬としての規制上の要件を回避した。 まず、一連の証拠は、内因性のSAMの異常な低値はアルツハイマー病(AD)の進行に重要な役割を果たすかもしれないことを示唆し、したがってSAMはADの治療での治療可能性を秘めているかもしれない。しかしさらなる研究では、この影響はおそらくビタミンB12欠乏に起因し、B12の非存在下で1炭素の転送を(葉酸とともに)行うことができないことに起因する神経学的欠陥の結果であることを示した。SAMの深刻な低レベルは、脳脊髄液[6]及び検査されたAD患者の全ての脳の部位で見つかった。[7]
概要
治療上の使用