発売開始から半世紀以上経った1989年には、材質をステンレス鋼とし、シリンダーを側面に溝のないノンフルーテッドシリンダー、銃身をM586/686と同じバレルアンダーラグを持つ5 1/2インチのものとしたモデルが「M627」として発売されたが、銃身側面の刻印に".357 MAGNUM MODEL OF 1989"とあったことから、M627の名称よりは「S&W Model of 1989」の名称で知られている。この初代M627は1989年から1997年の生産停止までの間に約5,000丁が生産された。 M27やM28はフレームが前述の通り大柄なN-フレームである分、シリンダー(弾倉)も大きいので細身の.357マグナム弾ならば7-8発分の収納スペースを作ることができる。このため、アメリカの射撃愛好家達による多弾装化カスタムが数多く製作され、1996年には、S&Wのオフィシャルカスタム部門であるパフォーマンス・センターによるカスタムモデルという扱いながら、シリンダーを8連装とした公式多装弾モデルである「PC M627(Performance Center M627)」が生産された[2]。 この新たなM627は、根本から絞り込まれたような独特のバレルシュラウドの形状から「 contoured slabside barrel profile」の通称があり、2.625インチ銃身の“スナブノーズ”モデル[3]の他、4[4]/5[5]/6.5インチ銃身のバリエーションがあり、この他に銃口にシルバーカラーの取り外し可能なコンペンセイターを装着し、バレルシュラウドをフルカバータイプとしてトリガー他を高精度のものとした競技用カスタムモデルである「V-COMP」[6]がラインナップされている。 2003年にはパフォーマンス・センターカスタムの一つとして、PC M627の銃身を2インチとし、フレームの材質をスカンジウム合金(スカンジウム添加アルミニウム合金)、バレルシュラウドとシリンダーの材質をチタニウム合金とした「M327」[7](「M327SC」「M327 Carry」の通称もある)が発表され、2004年にかけて少数生産された[2]。 これが市場で好評を博したため、S&Wでは2006年に、同じくパフォーマンス・センターカスタムとして「M327 M&P R8 」[8]および「M327 TRR8 」[9]を発表した。両モデルともシリンダーとバレルシュラウドの材質をマットブラックフィニッシュのステンレスとし、5インチのバレルの上下面にピカティニーレールを設けたもので、他にもV-ノッチリアサイト、フレーム内側にスチール製の耐熱ガード等を備えている。M&P R8は警察および軍事組織向け、TRR8は競技用として販売され、TRR8はピカティニーレールが取り外せるようになっていることが特徴である。 2008年には更なるバリエーションとして、4インチ銃身にアンダーラグのあるステンレス製バレルシュラウドを持ち、HI-VIZ集光式フロントサイトと調節可能なV-ノッチリアサイトを備え、スカンジウム製フレーム、チタン製シリンダーを持つ「M327 PD」[10]、2.5インチ銃身としシリンダーとバレルシュラウドをスチール製とした「M327 NG(M327 Night Guard)」)[11]が発表された。しかし、これらのモデルは2016年現在ではS&Wの公式カタログに「過去の製品」として記載されているのみである。
PC M627
M327M327 PD
登場作品
漫画・アニメ
『シティーハンター』
冴羽?が所持。使用というよりも分解して隠し持っている。
『ルパン三世シリーズ』
主に劇場版作品にて次元大介が所持し、同社製のM19に変わって使用している(実銃のM19は.357マグナム弾を撃つのに適していない)。
ゲーム
『コール オブ デューティ ワールド・アット・ウォー』
「.357 Magnum」の名称で登場する。キャンペーンでは使用できず、マルチプレイ・ゾンビモードでのみ使用できる。
『バトルフィールドV』
「Model 27」としてマルチプレイでのみ使用可能。開発スタッフのお気に入りで、この銃のみ取り出し時にガンスピンのモーションが設けられている。
出典^ a b c Supica & Nahas 2007, p. 135
^ a b c Supica & Nahas 2007, p. 194-196
^ https://www.smith-wesson.com/firearms/performance-center-model-627-0
^ https://www.smith-wesson.com/firearms/performance-center-model-627