S&W_M10
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.22WMRS&W M36シリーズとともに1976年にS&Wから発行されたカタログを飾るM14の.22WMR弾版、M48

M48は、上記のM14をM17と同様に.22口径にした拳銃であるが、使用する弾薬は.22WMR弾で1959年から製造された。

.22LRと.22WMRは同じ22口径で撃発方式も共にリムファイアであるものの.22WMRはマグナム弾の1種なので威力は.22LRよりはるかに高くM48のニックネームもK-22マスターピース・マグナムである。

1976年にS&Wから発行されたカタログに記載の通りS&Wでは.22WMR弾のことを「.22 Magnum Rim Fire」(22マグナム・リム・ファイア)と呼んでいる。

1986年に一度製造終了したものの、その後再生産されている。
.32 S&W Long

M16は、上記のM14を.32口径にしたバージョンで使用弾薬.32S&Wロング弾

.32S&Wロング弾の人気低下により1983年に生産中止。
使用弾薬の違いによるバリエーション

ミリタリー&ポリス(M10)は.38スペシャル弾を使用するが、上記射撃競技用モデルで紹介した.22ロングライフル弾を使用するM17等の他にも異なる弾薬を使用するタイプが存在する。
.38-200.38 S&W弾仕様。刻印が「38 S&W」となっている。この銃はオランダでレジスタンス運動を行っていたnl:Tonny van Renterghemが使用。

イギリス軍で制式採用されていた.38-200弾(.38レギュラー弾)を使用するモデルも製作された。[1]この弾薬は.38 S&W弾をもとに200グレインの弾頭を組み合わせたものであった[4]

第2次世界大戦中には、ビクトリーモデルをもとにしたモデルが開発された。これは、多くがレンドリース法に基づいてイギリスに供給されたことから、初期の生産品にはUNITED STATES PROPERTYないしU.S. Propertyと刻印されていたが、後には通常のビクトリーモデルと同様に変更された。1940年から1945年にかけて568,204丁が生産された[2]

また戦後も生産が続けられ、1957年にはM11というモデルナンバーも付与されたが、.38-200弾そのものがあまり使われなくなっていったことから、1965年に生産終了となった[3]
.357マグナム.357マグナム弾仕様のM13

M13は、M10のヘビーバレルバージョンをベースに回転弾倉を延長し、フレームを熱処理強化して.357マグナム弾に対応させた拳銃である。

1955年に登場したM10と同じKフレームを使用しながら.357マグナム弾が発射できる(出来るというだけで、実際には不向き)M19がFBI捜査官の間でも好評だったことから、1974年から製造された。

1990年代までM10の3インチモデルと共にFBIに制式採用されていたことから「FBIスペシャル」の愛称がある。

ステンレスモデルも存在しM65と呼ばれる。なお、ステンレスモデルのM65は1972年から製造のため、ベースになったM10や製造のきっかけになったM19とは逆にステンレスモデルのM65から製造が開始された。

基本的に3インチモデルは公的機関のみの販売であるが、4インチモデルはアメリカでは民間向けのスポーツ射撃用拳銃としても販売されていた。他にも圧縮空気を使うS&W M13コンプレスエアなどもあった。

M13は1998年に、M65は2004年に生産終了となった。
.22LR

S&W社が製造した.22LR弾を使用するリボルバーは上記で紹介した射撃競技用モデルのK-22マスターピース(M17)にK-22コンバットマスターピース(M18)、M36と同様にJフレームを使用したM34が存在するが、M10にも.22LR弾仕様のモデルであるM45が製造された。米国郵便公社向けの訓練用モデルとして製造されたため製造数は少なく、1948?78年までに1,500丁程度のみ製造。
9x19mmパラベラム弾

自動拳銃短機関銃で広く使用されている9x19mmパラベラム弾仕様のM547があり1980?85年までに10,000丁程度製造された。自動拳銃用の弾薬を使用するリボルバーはS&Wでも以前からM1917リボルバー等があるものの、排莢器(全弾発砲後にシリンダー内の薬莢を一度に排出するための機構)は自動拳銃用の弾薬であるリムレス弾に対応していないため発砲後の薬莢を排莢器で取り出すにはクリップが必要であったが、M547の排莢器はリムレス弾である9x19mmパラベラム弾をクリップ無しで使用できるように工夫がされていた。
コピーモデル

ミリタリー&ポリスはスミス&ウェッソン以外のメーカーでもコピーモデルが製造されている。
92 espagnolミリタリー&ポリスのコピーモデル92 espagnol。刻印からオルベア社製と思われる

スペインで製造された92 espagnolと称されるリボルバーにコルトポリス・ポジティブのコピーモデル等とともにミリタリー&ポリスのコピーモデルも存在している。

内部構造もほとんど同一であるがV字型スプリングを使用等若干異なる場所もある。([2])

フランス軍等に供給されており、第一次世界大戦等で使用されている。

92 espagnolはオルベア社等複数のメーカーで製造された。

(ちなみにオルベア社のHPにある沿革ページ[3]にもオルベア社製ミリタリー&ポリスのコピーモデルの写真が掲載)
運用史フィクションへの登場については「S&W M10に関連する作品の一覧」を参照

「ミリタリー&ポリス」の名のとおり世界各国の軍隊警察において広く使われ、現代リボルバーの原点となった拳銃である。アメリカの警察では、犯罪の凶悪化に伴って装弾数が多い自動拳銃が主流となり、本銃を含めたリボルバーは使われなくなっているが、現在でも香港の警察などでは現役である。日本の警察でも1949年より戦前の生産品やビクトリーモデルの貸与を受けて装備化しており(のちに譲渡に切替)、ニューナンブM60S&W M37 エアーウェイトサクラM360Jといった新規購入銃が増勢しているとはいえ、2000年代に入っても引き続き用いられているのが確認されている[5]

ナチスの政治家、ヘルマン・ゲーリングもミリタリー&ポリスを愛用していた。ゲーリングが所有していた拳銃は文様入りルガーP08が知られているが、第二次世界大戦前にハンブルクでミリタリー&ポリスを購入し、アメリカ軍捕虜となった際も所有していた。現在、ゲーリングが所有していた元帥杖などとともにミリタリー&ポリスが展示されているが、説明文(ホルスター下の説明文が該当)にS&W ミリタリー&ポリスモデルと明記されており、前述の所有する経緯や捕虜になった際も保有していたことも明記されている。

ミリタリー&ポリスのコピー、92 espagnolを所持したミリスの隊員(1944年)

ゲーリングが所有していたミリタリー&ポリス。元帥杖等とともに飾られている。

脚注[脚注の使い方]^ a b 床井 1996, p. 280.
^ a b c d e f g h i j k l m Supica & Nahas 2007, pp. 137?144.
^ a b c d e f Supica & Nahas 2007, pp. 173?177.
^ Barnes 2012, p. 349.
^ 杉浦 2015.

参考文献


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