この記事は特に記述がない限り、欧州連合の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
指令 2002/95/EC欧州連合指令
名称Directive on the restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment
制定者欧州議会 & 欧州連合理事会
法源Art. 95 EC
EU官報 ⇒eur-lex.europa.eu L37, 13 February 2003, pp. 19?23
歴史
制定日2003-01-27
発効日2003-02-13
各国導入期限2004-08-13
立法審議文書
欧州委員会提案C365E, 19 December 2000, p. 195,
C240E, 28 August 2001, p. 303.
EESC
意見書C116, 20 April 2001, p. 38.
CR
意見書C148, 18 May 2001, p. 1.
欧州議会
意見書C34E, 7 February 2002, p. 109.
関連法令
改正先Directive 2008/35/EC; Decision 2005/618/EC, Decision 2005/717/EC, Decision 2005/747/EC, Decision 2006/310/EC, Decision 2006/690/EC, Decision 2006/691/EC, Decision 2006/692/EC, Decision 2008/385/EC.
改廃先Directive 2011/65/EU, 3 January 2013[1]
修正中
特定有害物質使用制限指令 (とくていゆうがいぶっしつしようせいげんしれい、英: Restriction of Hazardous Substances Directive) とは、電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合(EU)指令である。日本語では電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する欧州議会及び理事会指令[2]等と訳される。
2003年2月13日にWEEE指令と共に公布され、2006年7月1日に施行された。2011年7月1日には改正指令が公布され、同年7月21日に発効。旧指令は2013年3月1日に失効している[3]。
一般には、Restriction of Hazardous Substances(危険物質に関する制限)の頭文字から、RoHS(ローズ)またはRoHS指令(ローズしれい[4]、RoHS Directive
[5])と呼ばれることが多い。正式名称は以下である。電気・電子機器(EEE)についての有害化学物質規制であるRoHS指令は廃電気・電子機器についての規制であるWEEE指令と表裏一体の関係にあり、指令の検討段階では、WEEE指令の一部として内容が検討されていたが、最終的には分離された。
RoHS指令は、WEEE指令による廃電気・電子機器のリサイクルを容易にするため、また、最終的に埋立てや焼却処分されるときに、ヒトや環境に影響を与えないように電気・電子機器について有害物質を非含有とさせることを目的として制定されている。RoHS指令で指定されている規制物質は、WEEE指令において事前取り出しの対象になっている。
RoHS指令は、WEEE指令と同時に2003年2月13日にEU*の官報に告示され、その後2011年7月に大幅改正され、2013年1月3日から全面施行されRoHS(II)指令と通称されている。2015年6月にフタル酸エステルなど4種類の規制物質が追加され制限物質は10物質となっている。
規制対象となる化学物質は、最大許容濃度で規定され、カドミウム0.01wt%(重量比)そのほかは0.1wt%である。最大許容濃度を指定したのは、不純物としての含有があることを認めたためである。最大許容濃度の分母は均質物質と言われるもので、「全体的に一様な組成」で「機械的に分離できる最小単位」とされている。具体的には、製品に使用される部品を土台にし、その部品を構成する部位での含有が規制対象となる。例として製品内部で使用されるリード線をとると、リード線は、中の導通部(電線)と被覆部(シース
)と印刷部(シース部に表示されている電線の定格等の表示)の3個の部分(部位)に分解が可能である。この分解可能な部位(導通部、被覆部、印刷部)の各質量を分母にし、そこに含有されている物質の濃度を規制している。このリード線の場合、部位が合計3箇所あるので部位3箇所すべてで規制物質の含有率が規制値未満でないとならない。含有情報に関しては、製品-部品-部位-含有化学物質という樹形状の情報提供が必要になった。この情報形態は、のちのREACH規制でも使用されるようになった。適用除外項目を設けて、現在の科学技術では、特定有害物質を使用する以外に代替手段がない場合は、申請により期間を区切って適用除外用途としている。またRoHS指令施行以前に上市した製品の補修部品及び消耗品に関しても適用除外として、その上市済み製品が継続使用できるようにして製品廃棄にならないようにしている。
RoHS指令はEC条約第95条の適用を受けるので、各加盟国の国内法で、特定有害化学物質や最大許容濃度など加盟国間による差異を設けることができないが、罰則に関しては各加盟国で設定することができる。RoHSの違反が発覚した場合の対応は、加盟各国によって異なる場合がある。
RoHS指令の施行以前にEU指令で施行されていたEU指令の内容に関しては、そのEU指令の方が有効になっている。電池に関しては、RoHS指令施行以前に電池指令が施行されていたので、RoHS指令は適用されずに電池指令により規制を受ける。
当初の指令に関連して2006年12月13日、新たにEUにて2万種以上の化学物質の安全性の評価を義務付ける新化学品規制(通称REACH)が可決され、2007年6月1日から施行された。