RISC-V
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RISC-Vのロゴ

RISC-V開発者カリフォルニア大学バークレー校
ビット数32, 64, 128
発表2015年 (9年前) (2015)[1]
バージョン2.2
デザインRISC
タイプLoad-store
エンコードVariable
ブランチCompare-and-branch
エンディアンLittle
拡張M, A, F, D, Q, C, P
オープンYes
レジスタ
汎用16, 32 (ゼロ・レジスタを1つ含む)
浮動小数点32 (オプション)
2013年1月に製造されたRISC-Vプロセッサのプロトタイプ

RISC-V(リスク ファイブ)はカリフォルニア大学バークレー校で開発されオープンソースで提供されている命令セットアーキテクチャ: instruction set architecture、ISA)である[2]

本稿ではISAであるRISC-Vの実装(RISC-Vコア)およびエコシステム(対応OS、開発ツール)を含めて解説する。
概要
オープンソースライセンス

他の多くの命令セットアーキテクチャ(ISA)設計とは異なり、RISC-V ISAは、使用料のかからないオープンソースライセンスで提供されている。多くの企業がRISC-Vハードウェアを提供したり、発表したりしており、RISC-Vをサポートするオープンソースのオペレーティングシステムが利用可能であり、いくつかの一般的なソフトウェアツールチェーンで命令セットがサポートされている。
命令セット(ISA)がRISC

RISC-Vは縮小命令セットコンピュータ (RISC) の原則に基づいている。RISC-V ISAの注目すべき特徴は、ロードストア・アーキテクチャ[3][4]、CPU内のマルチプレクサを簡素化するビットパターン、IEEE 754浮動小数点、アーキテクチャ的に中立な設計、符号拡張を高速化するために最上位ビットを固定位置に配置することなどである。命令セットは、幅広い用途に対応できるように設計されている。可変幅で拡張可能なので、常により多くのエンコーディングビットを追加することができる。32、64、128ビットの3つのワード幅と、さまざまなサブセットをサポートしている。各サブセットの定義は、3つのワード幅によって若干異なる。サブセットは、小型の組み込みシステムパーソナルコンピュータ、ベクトルプロセッサを搭載したスーパーコンピュータ、倉庫規模の19インチラックマウント並列コンピュータをサポートしている。
命令セットスペースの拡張

ISAの128ビット伸張版の命令セットスペースが確保されたのは、60年にわたる業界の経験から、最も回復不可能な命令セット設計上の誤りはメモリに対するアドレス空間の不足であることが示されているからである。2016年時点で、128ビットISAは意図的に未定義のままであるが、これは、このような大規模なメモリシステムでの実用的な経験がまだほとんどないためである。
実用的な使用に使える設計

このプロジェクトは2010年にカリフォルニア大学バークレー校で開始されたが、貢献者の多くは大学とは関係のないボランティアである。他のアカデミックな設計は、一般的に説明を簡単にするためだけに最適化されているのに対し、RISC-Vの命令セットは、実用的なコンピュータで使用できるように設計されている。

2019年6月の時点で、ユーザスペースISAのバージョン2.2と特権ISAのバージョン1.11は凍結されており、ソフトウェアとハードウェアの開発を進めることができる。デバッグ仕様は、ドラフトとしてバージョン0.13.2が用意されている[5]
開発動機
オープンなISA

命令セットアーキテクチャはコンピュータにおけるハードウェアとソフトウェアのインターフェースである。良いISA/インターフェースはソフトウェアの再利用性を上げコストを低減する。また、ハードウェア製造者間の競争が促進され、ハードウェア製造者は、より多くのリソースを設計に使えるようになり、ソフトウェア・サポートに使うリソースは少なくできる[6]

商業的に成功し広く用いられていたISAはクローズドにライセンシングされてきた。たとえばARMホールディングスミップス・テクノロジーズは、彼らの特許を利用するにあたり、相当のライセンス料を課する[7]。彼らはまた、設計の優位性や命令セットを記した文書を渡す前に秘密保持契約を要求する。クローズドなISAおよびIPは改変を禁止されるケースが多く、性能向上を目的としたISAの改良や教育を目的としたISAの変更が妨げられていた。このような背景から、オープンかつフリーなISAには一定の需要があった。

RISC-V以前のオープンISAのほとんどはGNU General Public License(GPL)を使用し、ユーザーにコピーや利用するにあたって実装をオープンにするようにさせていた。RISC-Vでは自由に利用可能なCPUデザインをBSDライセンス下で提供することを目指している。BSDライセンスは、RISC-Vチップの設計や派生成果物を、RISC-V自身と同様オープンかつ自由に、またはクローズドで独占的に、作成することを許可する。
実用可能かつシンプルなISA

彼らの主張によれば、命令セットの設計では新しい設計原理が現れることはほとんどなく、過去40年の中で最も成功した設計はますます似通って来ている。失敗した設計のほとんどは、出資した企業が商業的に失敗したのであり、命令セットが技術的に劣っていたからではない。よって、よく設計されたオープンな命令セットが、十分に確立された設計原理を用いて設計されれば、多くのベンダーが長期間に渡ってサポートする気になるだろう[6]

他の学術目的の設計とは異なり、RISC-V命令セットは、研究内容の説明のための簡略化に最適化するのではなく、実用的なコンピュータに最適化した簡略化にすると宣言されている。この簡略化はコンピュータの速度向上を目的とするが、コストや電力使用量も削減される。この命令セットに含まれるものは、ロード/ストア アーキテクチャ、CPU内部のマルチプレクサを単純化するビット・パターン、簡略化された標準に基いた浮動小数点、アーキテクチャに中立な設計、および、最上位の符号ビットを固定とすることによる符号拡張の高速化である。符号拡張は、しばしば、クリティカル・タイミング・パスになると言われている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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