RFID
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非接触ICカードウォルマートで使われているEPC RFID タグ

RFID(: radio frequency identification)は「無線周波数を介したタグからの識別情報読み取りおよびタグとの通信」という概念である[1]
概要

タグは物へと付与され、その物の識別情報を有している。例えばシャツの値札タグはバーコード部分に商品識別情報を有しており、バーコードリーダーによる光通信でそれを読み出せる。もしタグが自ら電波を発してそれに識別情報がのっていれば、無線通信を介したタグの読み取り・タグとの情報伝達が可能になる。これがRFIDである。対応するタグをRFタグ(: RF tag)という[2]

RFタグの例として非接触型ICカード乗車カード電子マネー社員証)、無線ICタグ(値札)などが挙げられる[3]。また規格の例としてFeliCaが挙げられる。

狭義では、タグとリーダとの間の無線通信技術であるが、技術分野としてはそれにとどまらず、タグを様々な物や人に取り付け、それらの位置や動きをリアルタイムで把握するという運用システム全般まで含めて語られる。

実世界のオブジェクトを、デジタルの仮想世界と結びつけて認識や操作ができるようになるという点が、社会的に様々な波及効果を与えると考えられている。
タグの種類

パッシブタグ(受動タグ)とアクティブタグ(能動タグ)、双方を組み合わせたセミアクティブタグ(起動型能動タグ)の3種類がある。
パッシブタグ
パッシブタグとは、リーダからの電波をエネルギー源として動作するRFタグで、
電池を内蔵する必要がない。タグのアンテナはリーダからの電波の一部を反射するが、ID情報はこの反射波に乗せて返される。反射波の強度は非常に小さいため、アクティブタグに比べてパッシブタグの受信距離は比較的短くなるが、安価にできること、ほぼ恒久的に作動することから、今後の普及の本命と目されている。リーダ側は、比較的強めの電波を供給し、タグからの非常に微弱な反射波を受信・解読できる必要がある。ICそのものにアンテナが埋め込まれている場合も多いが、その場合、通信可能距離は数センチメートル程度に制限される。通信距離を伸ばすには、ICの外部にアンテナを取り付けることが必須となる。RFIDに期待が高まっているのは、このパッシブタグが非常に安価(10円以下)に生産できる見込みが出てきたためである。
アクティブタグ
アクティブタグは、電池を内蔵したタグである。通信時に自らの電力で電波を発するため、通信距離がパッシブタグに比べ長く取れる(1?100メートル以上)。またセンサーと接続して、自発的にその変化を通知することができるので、センサーネットワークとしての用途が期待されている。さらにアクティブタグは、内蔵する電池の容量により、通信回数を削減する方法が取り入れられ、定期的な自己通信型と、待受通信型と分けられる。前者はタグに内蔵する時計などにより、一定時間ごとに通信を行い、それ以外の時間帯は休止し、電力の消費を抑えるものである。後者は、通信の起動を自ら行わないもので、呼出しを待つものや、タグ自身に備わったスイッチなどの情報で通信を開始するものがある。
セミアクティブタグ
セミアクティブタグは、電池を内蔵するアクティブタグの機能を有するが、上位システムへの通信起動をパッシブ方式で起動をする。市民マラソンなどの参加者にこのセミアクティブタグを使用し、スタートやゴールラインで長波帯の電磁誘導で起動をかけ、タグがUHF帯の電波等で各選手の情報を高速でアップロードすることで、参加者それぞれのタイムなどの計測に利用する例がある。

また、電波の伝達方式で、次の2つに分類することもある。
電磁誘導方式
タグのコイルとリーダのアンテナコイルを磁束結合させて、エネルギー・信号を伝達する方式。電波方式に比べて、エネルギーを効率的に伝達できるので、開発が先に進んだ。FeliCaはこの方式である。130?135kHz、13.56MHzでこの方式が採用されている。パッシブタグの通信可能距離は最大でも1メートル程度である。
電波方式
タグのアンテナとリーダのアンテナで電波をやりとりし、エネルギー・信号を伝達する方式。電波を空間に放射して伝達するので、電磁誘導方式に比べて、より遠くのタグと通信が可能になる。が、タグが受け取れるエネルギーがきわめて微弱であるため、パッシブタグは、最近になってようやく実用化された。433MHz、900MHz帯、2.45GHzでこの方式が採用されている。通信可能距離はパッシブタグで3?5メートルである。アクティブタグは、空中線電力さえ許せば数キロメートル程度も通信可能である。

アンテナで伝達するという点で、両者に基本的な違いはないが、この違いは、電波の波長とアンテナ間の距離で決まる。波長に対して距離が長ければ、空中を伝搬する電波として伝達され、短ければ空間放射されるよりも前に、電界・磁界の変化が他方のアンテナに伝わる。

また計算素子の構成によっても分類される。従来のRFタグは、複数の電子素子が乗った回路基板で構成されていたが、近年、小さなワンチップのIC (集積回路)で実現できるようになってきた。これはICタグと呼ばれ、そのサイズからゴマ粒チップと呼ばれることもある。
通信方式

パッシブタグは、タグ内部に整流回路が内蔵されており、リーダからの電波を整流して、直流に直し、それを電源として、集積回路が動作する。通常、リーダからの電波は、プリアンブルに続きコマンドbit列で変調されたものである。この後にさらに無変調のキャリアが続く。プリアンブルの部分で、集積回路の初期動作に必要なだけのエネルギーが蓄えられる。そしてコマンドbit列を復調して解釈し、無変調キャリアの部分で反射波に返答を乗せて情報を返す。コマンドシーケンスの概略

リーダおよびタグがデータを送信する際の変調方式には、振幅変調周波数変調位相変調、あるいはその組み合わせ変調方式が用いられる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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