バージョン 2.0より、アドビはAcrobat Readerを無償配布するようになった[13]。初代バージョンとの互換性は保たれており次第に書式を固定した電子文書のデファクトスタンダードの地位を確立した[14]。
2008年にアドビのPDF Reference 1.7はISO 32000:1:2008として策定された。以後のPDF(PDF 2.0を含む)開発はIS のTC 171 SC 2 WG 8においてアドビと専門家らの協力により進められている。 時出来事 1993-2006年にかけてアドビはPDFの仕様を数回改訂して新機能を追加している[15][16]。 PDF 1.7 (ISO 32000-1) が制定された2006年以降にアドビが定義した拡張 (Extension Levels) はISO 32000-2 (PDF 2.0) のドラフトにも一部取り込まれているものもあるが、開発者はアドビの拡張部分がPDFの標準でないことに注意する必要がある[17]。 バージョン仕様書[5]発行年新機能Acrobat Reader のバージョン
一覧
1993年アドビシステムズ(現アドビ)、PDF1.0とAcrobat 1.0をリリース。
1994年アドビシステムズ、Acrobat Readerの無償配布開始。この無償配布が、PDF普及の大きな要因となった。
1995年アドビシステムズ、Netscape Navigator用のAcrobatプラグインを公開。ウェブブラウザー上でのPDF利用を促進した。
1996年アドビシステムズ、PDF 1.2とAcrobat 3.0をリリース。このバージョンからPDFとAcrobatが日本語に対応。
1999年Apple、Mac OS Xをリリース。Quartzを採用し、OSレベルでPDFへ対応。
アドビシステムズ、PDF 1.3とAcrobat 4.0をリリース。
2001年アドビシステムズ、PDF 1.4とAcrobat 5.0をリリース。
2003年アドビシステムズ、PDF 1.5とAcrobat 6.0をリリース。
2004年ソースネクスト、日本国内で「いきなりPDF」シリーズを発売開始。低価格のPDF作成ソフトということで注目を集めた[注 1]。
アドビシステムズ、PDF 1.6とAcrobat 7.0をリリース。
2005年アドビシステムズ、マクロメディアを買収。PDFとFlashの統合が開始された。
2006年アドビシステムズ、PDF 1.7とAcrobat 8.0をリリース。
2008年7月2日ISOの管理規格となる。ISO 32000-1。
2008年アドビシステムズ、PDF 1.7, Adobe Extension Level 3とAcrobat 9.0をリリース。
2010年アドビシステムズ、PDF 1.7, Adobe Extension Level 8とAcrobat X(10.0)をリリース。
アドビによる仕様定義
PDFのバージョンと仕様書
1.0Portable Document Format Reference Manual[18]1993—Carousel
1.1First, revised[19]1996
暗号化(MD5, RC4 40ビット)
device-independent color
スレッド
リンク
2.0
1.2First, revised[19]1996
インタラクティブなページ部品(ラジオボタン, チェックボックス等)
インタラクティブな記入フォーム
Forms Data Format (FDF) により記入内容のインポート、エクスポートをインターネット経由で行えるようになった
マウスのイベント
外部動画の再生
外部または添付の音声の再生
zlib/deflateによるテキストと画像の圧縮
Unicode対応
色管理と代替画像のサポート
3.0
1.3Second[20][21]2000
日本語フォントの埋め込み
電子署名
ICCおよびDeviceN
JavaScript
各種ファイルストリームの添付 (ファイル添付)
注釈種類の追加
Adobe PostScript Language Level 3 imaging model で追加された機能のサポート
イメージのマスク
代替イメージ
スムージング
ページ番号付けの強化
ウェブキャプチャ
表示順以外に論理構造表現のサポート
CIDフォントのサポート強化
data structures for mapping strings and numbers to PDF objects
プリプレス分野のワークフローのサポート
new functions for several function object types that represent parameterized classes of functions[20][22]
Acrobat JavaScript Object Specification Version 4.05
4.0
1.4Third[23]2001
JBIG2画像圧縮
透明効果
OpenTypeフォント対応
RC4暗号化のキー長が40ビットから128ビットまでに拡張
入力フォームのインタラクティブ性の強化 (FDF)
XMLフォーム投稿、FDFファイルの添付
エクスポート時のUnicode対応
FDFファイルの共同編集と署名の追加
障碍者向けアクセシビリティ機能
Extensible Metadata Platform (XMP) によるメタデータストリーム
タグ付きPDF
inclusion of printer’s marks
編集時のページ境界の表示
CMaps(フォント対応表)の拡充
alternate presentations
PDFファイル間のインポート
データ添付のディクショナリのサポート[22][23]
Acrobat JavaScript Object Specification Version 5.1[24]
5.0
1.5Fourth[25]2003
JPEG 2000画像圧縮
マルチメディアの添付と再生の強化
object streams
cross reference streams
フォーム入力の XML Forms Data Format (XFDF) 対応(PDF 1.4のXML対応を代替)
フォーム
リッチテキスト
属性を XML Forms Architecture
PKCS#7公開鍵のサポート(PDF 1.3で追加されたが1.5のリファレンスに初めて記載された)
公開鍵による暗号化
アクセス許可
ユーザー権限の署名(本文を暗号化する必要がなくなった)
SHA-1
RSA鍵の4096ビットサポート
独自の暗号化、復号を実装できるようになった
文書の一部を可視、不可視にする (CAD、レイヤー図画、地図、多言語文書などに対応)
JavaScript で実装するスライドショー表示をサポート(Reader はSVG 1.0のみ対応)[22]
Acrobat JavaScript Scripting Reference, Version 6.0[26]
Microsoft Windows 98サポートの廃止
6.0
1.6Fifth[27]2004
3D アートワーク(Universal 3D
OpenTypeフォントの埋め込み
XFA 2.2 によるリッチテキストと属性のサポート (XFA 2.1 および 2.2 では以下のような分野向けに定義されている:動的な XFA フォーム, XFA 用の W3C XML 電子署名, Web サービス, XFA 'doc-literal' HTTP 経由のSOAP対応, SOAPによるWebサービスのための WSDL 定義, 等)
AES 暗号化
PKCS#7 電子署名の SHA256対応,4096ビットまでの DSA 対応
Nチャンネルの色空間サポート
ファイル添付の強化, 添付ファイルとの間の相互参照
電子署名による権利管理と改竄検出 [22]
Acrobat JavaScript Scripting Reference, Version 7.0[28]
7.0
1.7
(ISO 32000-1:2008[5][29])Sixth (ISO first)[30]2006 (ISO 2008)
3Dアートワークへの対応強化
XFA 2.4によるリッチテキストと属性のサポート
複数ファイルの添付 (portable collections)
document requirements for a PDF consumer application
新しい文字列形式:PDFDocEncoded 文字列、ASCII文字列、byte文字列
PKCS#7電子署名のSHA384、SHA512、RIPEMD160対応
JavaScript for Acrobat API Reference Version 8.0
(Adobe Acrobat Professional, Acrobat Standard, Reader にてAdobeが拡張した オブジェクト、プロパティについてのリファレンス)[31]
8
1.7 Adobe Extension Level 1—2008
XFA 2.5 (Extensions Level 1) およびXFA 2.6 (Extensions Level 2) サポート[32](XFA 2.6は以下のような分野向けに定義されている:XFA のセキュアな投稿、XFA Foreground (XFAF) 形式のサポート[33])