PlayStation_3
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反面、Cellのアーキテクチャがほぼ8ストリームプロセッサそのものである[注釈 4]ため、開発者にはソフトウェア並列化の知識を要求し、Cell内の汎用コアの性能が発売当時でも旧式化していたPentium 4未満の性能しか持たないため、PC向けのソフトウェアの開発手法を流用しても次世代機と呼べるほどのパフォーマンスを引き出せず、性能を発揮させるという意味ではソフトウェア開発を困難にした。そのため開発の難易度が高い本機はサードパーティにとっては参入障壁となり、ソフトウェアの品質にも差が生じた。基本的にはXbox 360の方がCPUの年代が少し古いものの、両者ともCPUがPowerPCベースである以上、グラフィック面や開発難易度ではかなり優位に立ち続けた。
GPU

ソニー製品の中でGPUにプログラマブルシェーダを搭載した初のゲーム機となった。1080pでの映像出力に対応しているが、実際には見た目を大きく左右するテクスチャやシェーディングなどの処理負荷が掛かるためにレンダリング解像度としては1280×720(720p)が主流である[注釈 5]。ただし、それでも1080pに対応したPS3のゲームも一部存在する。[注釈 6]こうして今まで主流だったポリゴン単位でのシェーディングからテクセル単位のシェーディングに本格移行し、きめ細かい質感表現が可能になった。全てのゲームは480p画質に対応しており、最低画質の480iに対応するための処置である。

GPUには、GeForceシリーズなどで知られるNVIDIAと共同開発したRSX Reality Synthesizerを採用している。RSXは、NVIDIA社のPC用VGA「GeForce7800 GTX」に実装されているGPU(G70)をベースに、PS3内部で採用されている「Flex IO」インターフェイスを搭載したPS3専用のカスタマイズGPUである。単純な性能比較はできない GeForce7800GTXとはバーテックスシェーダ数(8本)、ピクセルシェーダ数(24本)が共通だが、動作周波数(GeForce7800GTX:430 MHz、RSX:500 MHz)、VRAMインタフェース(GeForce7800GTX:38.4 GB/s (256 bit)、RSX:22.4 GB/s (128 bit))、CPUインタフェース(GeForce7800GTX:8 GB/s、RSX:35 GB/s)、ROPユニット(GeForce7800GTX:16基、RSX:8基)と異なる部分もある。ソフトによってはCellのSPEユニットによる描画の処理分散も行われている[26]

SCEではRSXの浮動小数点演算性能を当初1.8 TFLOPSであると発表していたが、この数字はRSXのベースになったといわれているGeForce 7800 GTX (G70) 430 MHzの313 GFLOPSの6倍弱であり、G70の次世代GPUであるGeForce 8800 GTX (G80) 575MHzの345.6 GFLOPS(G70の算出方法では約500 GFLOPS)をも上回ってしまう。これはマイクロソフトがXbox 360のシステム全体の浮動小数点演算性能が1 TFLOPSであると発表したことに対抗し、特殊な算出方法を用いたことによると見られているが、SCE・MSともに数値の内訳は明らかにしていない。

画像出力解像度は、PS2が720×480ピクセルに対し、PS3では最大1920×1080ピクセルのフルHD表示が可能であり、プログレッシブ表示にも対応している。[注釈 7]
冷却・騒音・消費電力

高速CPU/GPUを使用するため、静音性と冷却の両立のため大型ヒートシンクと16センチメートル(cm)大型冷却ファンを搭載。40 GBモデルではCellが65 nmプロセス版に変わっているため、発熱が抑えられている[27]。80 GBモデル(CECHL01/CECHK01)ではRSXも65 nmプロセス版になっており、更に発熱が抑えられている[28]

最大騒音は36デシベル(dB)(40 GBモデルは30 dB)と公表されている[29]。2倍速のBD(データ転送量はDVDの6倍速に相当)ディスクドライブ、16 cm排熱ファンは共に回転速度が遅いため、薄型PS2に近い静粛性である。

仕様上の最大消費電力は380 W(40 GBモデルは280 W)と公表されているが、これは電源容量を指す[30]XMB使用時で約165から170 W(40 GBモデルでは約130から132 W)、BD-Video再生時には約170から174 W(40 GBモデルでは約134から137 W)、ゲームは約170から197 W(40 GBモデルでは約142から158 W)となる。また、最新ファームウェアにすることによって低下していることも判明した[31]

CECH-2000A(120 GBモデル/250ワット(W))では、45 nm版Cell、65 nm版RSX、更に小型化した250 W電源等によりレイアウトも変更されており、冷却機構も小型化され、ファンも10 cmファンに変更されている[32]。XMB使用時で約76 W、BD-Video再生時には約83 W、ゲーム時[注釈 8]は約81から101 Wである[33]
メモリ

メインメモリには米国Rambus社開発の次世代メモリ「XDR DRAM」を採用。32ビットバス幅ながらDDR2 SDRAMデュアルチャンネル転送の2倍のスピードに達するといわれる。I/Oインタフェースは米国Rambus社のFlexIO技術を採用し、HD品質の高精細画像をリアルタイム処理するために必要な転送速度を実現している。CPUにはXDR DRAMメインメモリが直結され、GPUにはGDDR3ビデオメモリが直結されており、NUMA構成を取る。レイテンシ・ペナルティがあるものの、CPUとGPUが相互に他方の専用メモリにアクセスすることも可能である。

SCE Europeが2009年に公開した技術文書によると、ファームウェアのアップデートによりOSのメモリ使用量が減り、ゲームや開発に利用できるメモリ量が70メガバイト(MB)増加した[34]。メインメモリであるXDRが249 MB[注釈 9]、そしてRSXと繋がるGDDRが213 MB[注釈 10]となり、計462 MBがゲームに利用可能になり、50 MBがOSに占有されている状況となった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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