PhysX
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(2008年6月)

PhysXの発表当初、以下のような問題があった。

導入しても対応しているゲームの挙動に影響があるだけでPC自体のパフォーマンス向上には関係ないこと

ゲームが対応していなければPhysXチップの導入には意味が無いこと

ゲームはPhysXに「対応している」以上のことができないこと

たとえば、PhysXによって爆発の破片によるダメージ判定なども出来るが、それはネット対戦などにおいては全てのプレーヤーがPhysXを導入していなければ対応が難しい。(ゲームソフトとは別に物理演算ボードを購入する必要があった。)

限られたユーザーしか利用可能でないため、デベロッパは安易にPhsyXを必須動作条件に入れることができない。

これらの問題点はNVIDIAがAGEIAを買収した事により一定の解決を見る。ただしそれによって新たなデメリットも生じた。

メリット

広いシェアを持つGeForceシリーズのグラフィックボードで動作するようになったため、利用可能ユーザーが爆発的に増加した。

専用ボードを別途購入する必要がなくなった。

古いビデオカードの更新、再生支援やHDCPを利用してブルーレイ地デジを楽しむといった別の用途で購入したとしてもPhysX対応となる。



デメリット

本来、グラフィック描画に用いられるはずのユニファイドシェーダーの一部を物理演算に割く事になるため、結果としてグラフィックパフォーマンスが低下する。また、NVIDIA社が提唱するPhysXエフェクトの採用はそのまま破片、水滴など描画対象の爆発的増殖と一体である。その為、物理効果が現れれば同時に膨大な描画負荷やリソース消費が発生する事になり、やはりパフォーマンスは大きく低下してしまう。以上の点から、現実問題として、単独VGAでのPhysX利用はフレームレート維持の観点から実用的ではない(演算専用のサブグラフィックスデバイスを別途用意しなければならない)。これはPhysX本格採用タイトルのCryostasis等で特に顕著である。

AGEIA買収当時においても、NVIDIA社とAMD社の関係上、またPhysXとHavokの関係上AMD RadeonのようなAMD製GPUに対応する可能性は著しく低かったが、AGEIA社のPPU、或いは8X00以降のNVIDIA製VGAを別途搭載する事により、ハードウェアPhysXをAMD社製VGA搭載機でも利用する事が出来た。だが、同社がリリースした186番台以降のデバイスドライバは、AMD社製グラフィックシステムを検知すると、たとえPhysX対応ハードウェアがPCにインストールされていても、それらの物理演算機能を強制的に停止させてしまう ⇒[1]。これにはAGEIA社のPPUも含まれる。


2009年10月現在、MODドライバーや非公認パッチによって、AMD系VGA搭載システムでもPhysXの利用は変則的にではあるものの、可能となっている。[2]

しかし、AMDはIntel社のHavokと提携し ⇒[3]、なおかつ独自にオープンソースベースの物理エンジンBullet Physicsにも着手している為 ⇒[4]、物理エンジンにおけるAMDとNVIDIAの歩み寄りは、既に非現実的なものとなりつつある。

en:List of games with hardware-accelerated PhysX supportのリストのとおり、ハードウェアによるPhysXアクセラレーションに対応したゲームタイトルの数はソフトウェアによるPhysX利用タイトルの数に比べると限定的である。
APEX

APEX (Applied PhysX Extension) はツールによるオーサリングを前提としたPhysXの拡張であり[8]、その APEX SDK では Clothing(布)、Destruction(破壊)、Particles(パーティクル)、Turbulence(乱流)、ForceField(力場)のモジュールを搭載していた[9]。APEX は Unreal Engine などの一般的なゲームエンジンにも採用されていた[10](現在は独自のChaos Destructionなどに移行)。

その後 APEX SDK は1.4.1で非推奨となり[11]、GameWorks PhysXも解体され、破壊は NVIDIA Blast に、布は NVIDIA Clothに、パーティクルは NVIDIA FleX と NVIDIA Flow に置き換えられた[12]

APEXのオーサリングツールには破壊モジュール向け単体ツールの APEX FractureTool[13]及び APEX PhysXLab [10]、布モジュール向け単体ツールの APEX Clothing Tool[14]、DCC統合プラグインの PhysX DCC Plug-Ins が存在した[15]。PhysXLab の後継には NVIDIA Blast 向けの Blast Authoring Tool がある[16]
脚注^ASCII.jp:アキバで恥をかかないための最新パーツ事情2009【ビデオカード編】 (4/7)|アキバで恥をかかないための最新パーツ事情2009
^ “ ⇒PhysX FAQ”. 2017年9月3日閲覧。
^ “PhysX Source on GitHub”. 2017年8月24日閲覧。
^ NVIDIA,「PhysX」のAGEIA Technologiesを買収
^ “ ⇒How to restore PPU support with latest PhysX Drivers | PhysXInfo.com ? PhysX News”. PhysXInfo.com (2011年1月17日). 2017年8月24日閲覧。
^ PhysX SDK 。NVIDIA Developer
^PhysX SDK Downloads,PhysX SDK ダウンロードページ
^ GDC 2009#08 - NVIDIA,PhysXの可能性を広げる「APEX」の現状とデモを公開 4Gamer 2009年3月26日
^ NVIDIA APEX SDK Documentation NVIDIA
^ a b APEX - Unreal Engine Documentation Epic Games
^ APEX 1.4.1 - Release Notes (APEX has been deprecated) NVIDIA
^ GameWorks PhysX Overview NVIDIA
^ FractureTool NVIDIA
^ Clothing Tool NVIDIA
^ PhysX DCC Plug-Ins NVIDIA
^ Blast Authoring Tool Quick Start NVIDIA

関連項目

NVIDIA GeForce

Graphics Processing Unit

GPGPU

外部リンク

ゲーマー向けPhysX公式サイト(英語)

開発者向けPhysX公式サイト(英語)

PhysX公式サイト - ウェイバックマシン(2008年4月30日アーカイブ分)(英語)

AGEIA社公式サイト - ウェイバックマシン(2008年5月9日アーカイブ分)(英語)

PhysX対応ゲームのリスト - ウェイバックマシン(2010年2月8日アーカイブ分)(英語)

Projects using PhysX SDK(英語)

“多和田新也のニューアイテム診断室 新表現を生み出す物理演算プロセッサ「PhysX P1」”. PC Watch. Impress (2006年5月30日). 2016年10月28日閲覧。










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