Phantasmal Island(ファンタズマルアイランド、PHI)は、β-Yak-38らによって1992年に誕生した日本国内最古のネットワークRPG。 工学院大学院生だったβ-Yak-38の修士論文のテーマ、仮想都市を舞台にしたサーバークライアント方式のコミュニケーション実験のためで、本来は研究用のシステムであったが、その後ユーザー有志によってサーバーが次々と立ち上げられ、独自に発展を続けている。 サーバーとの通信量を軽減する目的から、キャラクターの操作・コマンド入力とダンジョン表現にローグに似たシステムを採用している。クライアントはその機能によってこれらを適宜置換処理し、グラフィカルでプレイアブルなインタフェースを提供する。 クライアントは当初Unix版が中心だったが、Windows用の「Phantasmal Island for Windows95/NT(phiwin32)」が開発された。その後、TPHI、RPHIなどのWindows用クライアントを経て、現在は主にMPHIとRaphi、Phillyの3つのクライアントが使用されている。 サーバーソフトも公開されているため、Unix環境があれば、自ら世界の創造主「ワールドマスター」となることも可能である。サーバーはそれぞれ相互にリンクした複合世界を形成し、転送機能によって、プレイヤーはほかのサーバーに自由に移動できる。サーバーが増えるほど、探索できる世界が広がっていく。
概要
Phantasmal Islandの特徴
世界間を自由に移動
各世界は互いに接続され、プレイヤーは世界から世界へ徒歩や船などで移動することができる。冒険を中心とした国、不思議な仕掛けだらけの国、商業がさかんな国、井戸端会議が楽しい国などがあり、好きな国に落ち着く人もいれば、冒険して得た武器を別の国で商売する人もいる。
高いリアルタイム性
専用のクライアントを使用し現在の商用MMOと比べてもリアルタイム性が高い。主にテンキーでの操作による移動や攻撃、ショートカットなど素早い動作が求められる。特にプレイヤー同士の戦闘時は非常に速い速度で戦闘が進み、「腕」も重要な要素になる。
様々なアイテム
アイテムには武器、防具、アクセサリ、宝石(魔石)、リソース(建築資材)などがあり、武器一つを取っても、その攻撃の強さはもちろん、素材、重さ、形状、攻撃方向、火や水などの属性、30種類以上の攻撃効果に30種類以上の補助効果があり、それを生かす攻撃方法(技)も重要である。
創り出す楽しさ
素材を組み合わせ加工して強力な武器やアクセサリを作成したり、家や街道を建築するのもゲームの面白みの一つである。
サーバを立てて世界を公開
無料で配布されるサーバソフト(PHIDM)を使うことでゲームマスターとして世界を公開することができる。
Phantasmal Islandの歴史
学内サーバ時代
当初は大学の研究から始まったこともあり、その活動は学内サーバが中心であった。ファンタズマル諸島の首都を中心にいくつもの学内サーバが接続され、多くの世界が接続していた。初期のDMではFoodを食べないと飢餓状態になるなどの仕様もあったようである。
個人サーバ時代(1990年代後半)
大学時代にPhIに触れたユーザーが卒業後も独自にサーバ(世界)を立ち上げ始める。首都(Capital of Phantasmal Island)のゲート接続が自由だった事もあり、サンプルDMから接続し首都をハブにしてプレイヤーが行き交い始めるようになり、NEV等の大型の世界も登場し始める。既にβ-Yak-38や初期の開発メンバーの多くはPHIコミュニティでは隠遁状態であったが、多くの有能な有志によりPHIの開発や運営は継続され、当時、まだ国内でオンラインゲームというジャンルがマイナーであった中で、完成度が高く、無料でプレイできるオンラインゲームということで順調にユーザーを増やしていった。
PSPサーバ、RSPサーバ時代(2000年頃)
学内サーバ、個人サーバを経て、PHIは商用サーバ