Peer_to_Peer
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P2Pにおける通信端末はピア (peer) と呼ばれるが、トポロジー理論グラフ理論などで用いる「ノード」(node: 節点)という呼称を用いることも多い。またクライアントの機能とサーバーの機能を併せ持つという意味でサーバントという呼び方をすることもある。

端末装置の種類としてはPCやスマートフォンが使われることが多いが、セットトップボックス (STB) やHDDレコーダー、HDD内蔵ルーターといったものもピアになりうる。
インターネットにおけるP2P

インターネットの基盤であるIPネットワークIPアドレスさえ分かっていればどのコンピューター機器(以下機器)にも到達できる。つまり機器同士が相手のIPアドレスを知っていればP2P通信が可能である。したがってインターネット上のP2P応用技術はIPネットワークのオーバーレイ・ネットワーク(Overlay Network:以下、OLNと略記する)と見ることができる。

例えば放送型サービスにP2Pを応用する場合はマルチキャスト型の通信形態となる。そのためこれをオーバーレイマルチキャスト(英語版) (Overlay Multicast: OLM) あるいはアプリケーション層マルチキャスト (Application Layer Multicast: ALM) と呼ぶことがある[3]。後者の呼び方はIPマルチキャストがTCP/IPのレイヤーでのパケットの複製によりマルチキャストを行うのに対して、アプリケーション層でデータのコピーをしてマルチキャストを行う、という意味合いから来ている。
P2Pアプリケーションの分類

ピア間で何を行うか、という観点で、大きく以下の4つのタイプのアプリケーションに分けられる。
一対一通信型

放送型

オンデマンド型

分散型データ管理

複数の機能を併せ持ったアプリケーションも存在する。
一対一通信型

IP電話LINE電話Skypeに代表されるような、コンピューター間で一対一のコミュニケーションを行う使い方である。相手のIPアドレスを、電話番号やニックネームなどから見つけ出し(=IPアドレス解決と呼ぶ)、その後、ピアとピアが対等の立場で通信を行う。音声データであれば電話となり、映像データであればテレビ電話となる。インスタントメッセージやオンラインチャットもある。通常、アプリケーションの背後に特定の利用者がいることが想定されており、その人物に対して接続を行うような使い方が多い。この種のアプリケーションのほとんどには、相手がオンラインかどうかを認識する仕掛け(プレゼンス機能)が設けられている。

このタイプのアプリケーションでは、データは通常、リアルタイムでのストリーミングでやりとりされる。

P2P-SIPでは、SIP-URIからIPアドレスを知るためにP2P技術を利用しており、従来あったSIPサーバーを不要にできる。アドレス解決以外の、接続・切断のシグナリング、音声データのストリーミングに関しては、従来のSIPやRTP/RTCPの技術をそのまま利用している。

応用例:IP電話SkypeLINEMSN メッセンジャー、P2P-SIP、P2Pグループウェア
放送型

ノード間接続を、カスケード状に多段階層化して、配信ツリーを形成することで、放送型のサービスが実現できる。ツリーの根元のノードが、放送局となり、上流ノードから下流ノードへ、データをバケツリレーさせることで、全参加ノードに、ほぼ同時に同じデータを配信することが出来る。これにより、リアルタイムのストリーミング中継が可能となる。オーバーレイマルチキャストの配信ツリーの概念図

多くのP2P型放送システムでは、アドレス解決にハイブリッドP2P方式(後述)を採用しており、通常、チャンネル名でインデックスサーバーに問い合わせると、「あのノードの下流につながってストリームをもらいなさい」というようにノードを紹介してくれる。インデックスサーバーの役割を各ノードに分散させる(=ピュアP2P型OLM)ことも可能ではあるが、そのような実装例はまだ発表されていない。

上流ノードが脱退したときに、ストリームが途切れるが、内部にバッファを持つことで、一定時間は再生が途絶えないようにして、その間に、別の上流ノードを探し出して、再接続を行う。再接続の処理には時間がかかるため、通常、予備の上流ノードを用意しておく。再接続先候補のノードを、効率的に準備しておくために、様々な創意工夫が考案されている(詳細は、オーバーレイマルチキャストまたはアプリケーション層マルチキャストを参照)。

応用例:P2P放送(映像+音声、音声のみ); (PeerCast[4][5][6][7])
オンデマンド型

動画コンテンツの配信などでは、コンテンツを欲するノードが、当該コンテンツを持っているノードを探し出して、そこへデータを要求することで、保持ノードがそれに応じてデータを送信する(オンデマンド)、という一方向型の通信が行われる。言い換えると、持っている者から欲する者へ、という通信である。送信元は、使用しているコンピューターが複数ある場合、どれからでも良くて、不特定多数の中からアプリケーションまかせで選ばれる。送信元のIPアドレスは、コンテンツのタイトルなどを手がかりに、インデックスを検索して見つけ出し、コンテンツ保持ノードにデータ送信を要求することで、データ転送が開始される。

オンデマンド型のP2Pアプリケーションでは、配信効率を上げるために、コンテンツのコピー(レプリカ)を作ることが良く行われる。一度取得したコンテンツのコピーを保持して、他のノードに対して提供可能な状態にすることで、他の誰かが再度同じコンテンツをリクエストしたときに、負荷分散の効果が期待できるからである。これは特に、人気のあるコンテンツに対してのアクセス集中の緩和に効果的である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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